相続人

弁護士監修記事 2018年09月30日

「法定相続人」が誰かを明らかにするために必要な戸籍の集め方

亡くなった家族が遺言を残していない場合、法律で定められた相続人(法定相続人)が全員で話し合って、遺産の分け方を決める必要があります(遺産分割協議)。 そのため、「誰が法定相続人なのか」ということを戸籍の情報で明確にしておく必要があります。 この記事では、「必要な戸籍の情報は何か」「どのように集めればよいのか」といった点について詳しく解説します。

目次

  1. 誰が法定相続人かを戸籍で確認する
    1. 「被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍」が必要
  2. 被相続人の戸籍情報を集める
    1. 戸籍謄本は役場の窓口や郵送で取り寄せられる
    2. 戸籍情報の収集は弁護士に依頼できる
    3. 相続人が誰か明らかになったら遺産の調査も進める

誰が法定相続人かを戸籍で確認する

亡くなった家族(被相続人)が遺言を残していなかった場合、原則として、法律で定められた「相続する権利がある人(法定相続人)」が遺産を相続します。 相続人が複数いる場合、相続人同士の話合いで遺産の分け方を決めることになります(遺産分割協議)。この協議には相続人全員が参加する必要があります。 協議に参加しない相続人が一人でもいると、協議をやりなおさなければならない可能性があります。 そのため、「誰が相続人なのか」を明確にしておく必要があります。具体的には、戸籍情報で、「夫婦」や「親子」「きょうだい」など、被相続人と相続人の関係を明らかにします。

遺産の分け方を決めて、被相続人の不動産や銀行の口座などを相続人の名義に変更する際も戸籍謄本などを提出する必要があります。

「被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍」が必要

相続人を調べるためには、「被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍」の情報を集める必要があります。 被相続人の戸籍の情報は、「戸籍謄本」で確認できます。被相続人が住んでいた自治体の市町村役場で入手することが可能です。 しかし、戸籍謄本だけでは情報が不十分な場合があります。 たとえば、被相続人の子どもが結婚すると、被相続人の戸籍には、子どもが除籍されたことが記載されます。 その後、被相続人が引越しなどで転籍することで、戸籍が作り直された場合、被相続人の戸籍謄本には、除籍された子どもの情報が記載されません。 こうした場合、被相続人と相続人の関係を証明するには、戸籍が新しく作られたり、作り直されたりする前の、古い情報が必要になります。 古い戸籍の情報は、「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」という書類に記載されています。 つまり、「被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍」を明らかにするためには、戸籍謄本に加えて、場合によっては除籍謄本と改製原戸籍謄本が必要となるケースがあるのです。

このほか、戸籍の様式が変更(紙からコンピューターでの管理に変更)となった場合などは、戸籍が作り直されます。

被相続人の戸籍情報を集める

alt まず、「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の違いについて説明します。

戸籍 氏名や生年月日、出生地、親や配偶者、子どもの氏名など、個人の情報が記載された書類
除籍 結婚や死亡、転籍などにより、戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態の戸籍
改製原戸籍 戸籍の管理が、紙からデータでの管理に変更されるなどしたときの、変更される前の情報が記載された戸籍

市町村役場などで取り寄せる「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」は、これらの戸籍をコピーしたものをいいます。 戸籍謄本などを取り寄せる手続きについて、下の図を例に解説します。 alt この図は、被相続人(甲さん)が生まれてから死亡するまでの戸籍の流れと、本籍地がある市を例示したものです。 A市で生まれた甲さんが、結婚してB市に本籍を移し、その後、C市への引っ越しを機に転籍しました。その後、C市の戸籍の管理方法が紙から電子データに変わったため(改製)、戸籍が作り直されました。甲さんはそのまま、C市で一生を終えました。 甲さんの相続人が戸籍の情報を集める手続きとしては、まず、甲さんが死亡した時点の本籍地があるC市の役場から、甲さんの戸籍謄本を取り寄せます。 C市から取り寄せた甲さんの戸籍謄本には、改製日が記載されているので、戸籍の改製により、戸籍が作り直されていることが分かります。 この場合、戸籍が作り直される前の、古い情報が記載されていない可能性があります。 たとえば、甲さんの戸籍が作り直される前に、甲さんの子どもが結婚などで甲さんの戸籍から抜けていれば、戸籍謄本には甲さんの子どもの情報が記載されていません。 戸籍が作り直される前の情報を把握するため、C市から「改製原戸籍謄本」も取り寄せます。 Cから取り寄せた改製原戸籍謄本には、甲さんが転籍した日と、転籍前の本籍地(B市)が記載されているため、甲さんが転籍していたことが分かります。 転籍前の情報を把握するためには、転籍前の本籍地があるB市の役場から、戸籍謄本を取り寄せる必要があります。 B市の役場から取り寄せた戸籍謄本には、甲さんの婚姻日と婚姻前の本籍地(A市)が記載されています。結婚により、甲さんが親の戸籍から抜け、甲さんの戸籍が新たに作られたことが分かります。 婚姻前の情報を把握するため、婚姻前の本籍地があるA市の役場から戸籍謄本を取り寄せます。 A市の役場から取り寄せた取り寄せた戸籍謄本には、甲さんが出生した時の情報が記載されています。 出生した時の情報にたどり着くことで、甲さんの「生まれてから亡くなるまでの戸籍」の情報が集まったことになります。

被相続人の戸籍謄本を取り寄せるとき、被相続人の家族全員が結婚や死亡などで被相続人の戸籍から抜けているため、被相続人の戸籍に誰もいない可能性があります。その場合は、「除籍謄本」を取り寄せることになります。

戸籍謄本は役場の窓口や郵送で取り寄せられる

役場窓口での取り寄せ

戸籍謄本などは、市町村役場にある市民課などの窓口で取り寄せられます。被相続人の配偶者や親・祖父母、子ども・孫といった親族だけではなく、委任状があれば代理人も取り寄せることができます。 取り寄せる際は、免許証やパスポート、マイナンバーカードといった本人確認書類が必要です。 手数料もかかります。一般的に、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本と改製原戸籍謄本は1通750円です(市町村によって異なる場合があります)。 役場の窓口では、担当者に以下のような点を伝えることをおすすめします。

  • 戸籍謄本などを相続の手続きに利用する
  • 〇〇(被相続人の氏名)が生まれてから亡くなるまでの戸籍が欲しい
  • 次はどこの市町村から取り寄せればよいか

上記のような点を担当者に伝えることで、必要な戸籍謄本などを集める手続きがスムーズになる可能性があります。

郵送による取り寄せ

戸籍謄本などを郵送で取り寄せることも可能です。 郵送で取り寄せる場合、主に以下のものが必要になります。

  • 請求書
  • 手数料分の定額小為替(郵便局で購入)
  • 返信用封筒(住所・氏名を記入し、切手を貼りつける)
  • 請求者の本人確認書類のコピー(運転免許証やマイナンバーカードなど)

請求書は市町村役場のホームページに雛形が用意されている場合があります。このほか、郵送での手続きの流れは、自治体によって異なる可能性があります。詳しくは、各市町村役場に問い合わせてみましょう。

市町村によって請求書の書式は異なりますが、「請求理由」や「使いみち」を記載する欄があることが一般的です。 窓口で請求するときと同様に、以下の点を記載欄に書くことで、手続きがスムーズになる可能性があります。

  • 戸籍謄本などを相続の手続きに利用する
  • 〇〇(被相続人の氏名)が生まれてから亡くなるまでの戸籍が欲しい
  • 次はどこの市町村から取り寄せればよいか

戸籍情報の収集は弁護士に依頼できる

被相続人が何度も転籍していたり、結婚や離婚を繰り返していたりする場合は、「被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍」をすべてそろえるまで、多くの手間と時間がかかるケースもあります。 自分ですべて対応することが難しい場合は、弁護士などの専門家に収集を依頼することを検討してもよいでしょう。 被相続人に前妻(夫)との間に生まれた子どもがいるなど、相続が複雑になるようなケースでも、弁護士が「法定相続人は誰か」という点を確認してくれるというメリットもあります。

相続人が誰か明らかになったら遺産の調査も進める

法定相続人が誰か明らかになったら、「被相続人がどのような遺産を残しているか」の調査も進めていきましょう。現金・預金や不動産に加え、株やゴルフ会員権なども遺産にあたります。

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