遺言執行者

弁護士監修記事 2018年09月26日

【相続】遺言執行者に選任された場合の職務内容と手続きの流れ

遺言執行者に選任された場合、実際に何をすればよいかわからない人も少なくないでしょう。遺言執行者は、遺言書に書かれた内容を実現するために必要な手続きを行います。

  • 遺言執行者は何をするのか
  • 手続きの流れ
  • 遺言執行者の報酬
  • 遺言執行者に就任する際の注意点

この記事では、このようなポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 遺言執行者とは
  2. 遺言執行者って何をするの?
    1. 遺言書に書かれていること全てを執行する必要はない
  3. 遺言執行者の仕事の流れ
  4. 遺言執行者の報酬
  5. 遺言執行者になる場合の注意点
    1. 遺言執行者の義務・責任
    2. 辞任するには家庭裁判所の許可が必要
    3. 解任されることもある

遺言執行者とは

alt 遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現するために必要な手続きを任された人のことです。 遺言執行者は、遺言書に書かれている場合と、遺言書には書かれておらず相続人などの申立てにより家庭裁判所から選任される場合があります。 遺言執行者になることができるのは、未成年者と破産者以外の人です。

遺言執行者って何をするの?

alt 遺言執行者は遺言書に書かれた内容を実現するために必要な手続きの全てを行います。 たとえば、遺産を第三者に与える(遺贈する)という内容が遺言書に書かれている場合、その遺産を引き渡したり、不動産であれば登記をしたりします。 もし遺言執行者がいない場合、相続人全員で行わなければならない手続きがあります。遺言執行者がいれば、遺言執行者だけで手続きを行うことができます。

遺言執行者がいる場合、相続人は勝手に遺産を処分したり、遺言執行者の手続きを妨害するような行為をすることはできません。

遺言執行者がやることは、遺言書の内容によって異なります。次の表のようなことが挙げられます。

遺言書の内容 遺言執行者がやること
第三者に遺産を与える(遺贈) 遺産を引き渡す、登記をする
遺産の分け前(相続分)が指定されている 遺産分割協議をした後に登記などをする
お墓などを受け継ぐ人(祭祀承継者)が指定されている 墓地の登記手続き、仏壇の引渡しなど
相続人の相続権を失わせる(廃除) 家庭裁判所に廃除の申立てをする
法律上の夫婦関係にない人との間に生まれた子を自分の子だと認める(認知) 市区町村役場に認知届出書を提出する
財団法人を設立する 設立許可申請、登記申請など
信託の設定 信託管理人の選任の申立てなど
生命保険金受取人の指定・変更 生命保険会社への通知など

遺言書に書かれていること全てを執行する必要はない

遺言書には様々なことが記載されていますが、その全てを遺言執行者が実現する必要はありません。 たとえば、遺言書に次のような内容が記載されていた場合、その項目に関しては特にやることはありません。

  • 相続人に特定の遺産を「相続させる」と記載されていた
  • 遺産の分け方が書かれている場合(「Aには不動産のすべて、Bには預金のすべて」など)
  • 生前贈与を特別受益として扱わなくてよいという内容(特別受益の持戻しの免除)
  • 遺産に思いがけない欠陥があり、その遺産を受け継いだ相続人が損をした場合にどうするかという内容(相続人担保の指定)
  • 相続人が遺留分減殺請求をする場合に対象となる人や物を指定する内容
  • 未成年後見人・未成年後見監督人を指定する内容

遺言執行者は遺言書に書かれていないことはできません。 また、相続税の申告・納税をすることもできません。

遺言執行者の仕事の流れ

alt 遺言執行者に選任されたら、まず、遺言執行者になることを承諾するか、辞退するかを決めます。 承諾するかの回答をしない場合には、利害関係人から回答を催告されることがあります。回答期限までに回答しない場合、承諾したとみなされるので、注意しましょう。 遺言執行者になることを承諾したら、遺言執行者としての任務が開始します。 まずは、相続人などの利害関係人に対し、遺言執行者になったことを通知します。 通知をしたら、遺言書の対象となる遺産を調査して、管理をします。 具体的には、次の表のようなことをします。

遺産の内容 遺言執行者がやること
預金 通帳や印鑑を預かる。銀行に対し、遺言執行者以外の人に払い戻しをしないよう連絡する。
貸金庫 鍵を預かる。遺言執行者以外の人が開閉しないよう銀行に連絡する。
土地建物 権利証などの関係書類や鍵を預かる。家賃の支払い状況などを確認する。
株式など 株式の銘柄、種類、数量などを把握する。株券などの書類や印鑑を預かる。遺言執行者以外の人が売買などをしないよう証券会社に連絡する。
貴金属など 種類、数量などを把握する。貴金属そのものや保証書・鑑定書などを預かる。
自動車 種類、型式、車体番号などを把握する。車検証、契約書などの書類を預かる。

管理することになった遺産は、一覧表(財産目録)にまとめて、相続人に交付します。 相続人から要望があった場合には、財産目録を作成する際に相続人を立ち合わせるか、財産目録の作成を公証人に依頼しなければなりません。 財産目録ができたら、遺言書の内容を実現するために必要な手続きをします。 具体的な手続方法は、手続きを行う市区町村役場や金融機関などに問い合わせて教えてもらうことができます。 手続きが難しい場合、たとえば土地の登記をしなければいけないのに、先代の登記がなされていない場合などには、弁護士などの専門家に相談しましょう。 手続きができたら、相続人と遺贈を受ける人に対し、任務完了と報告の通知をします。預かっているお金や書類がある場合には、相続人に返します。 一方、次のような場合は、途中までおこなった手続きを相続人に報告し、預かっているお金や書類などがある場合には返します。

  • 執行不能(遺贈を拒否された場合など)
  • 解任された場合
  • 辞任した場合

遺言執行者の報酬

alt 遺言執行者は報酬を受け取ることができます。 報酬の金額は遺言書に書かれている場合には、その金額です。遺言書に書かれていない場合には、家庭裁判所に「報酬の付与の審判」を申し立てることによって、報酬を定めてもらうことができます。 報酬の支払方法は、遺言書に書かれている場合には遺言書に従います。遺言書に書かれていない場合には、遺産の中から支払われたり、相続人から相続分に応じて支払われたりするなど様々です。相続人と合意できるやり方で請求するとよいでしょう。 報酬を請求することができるのは、遺言執行者の仕事が終わった後です。ただし、「1か月間で何円」というように、期間によって報酬が定められている場合には、その期間が経過した後に請求できます。 遺言執行者の責任ではない事柄によって手続きが途中で終了した場合には、すでに行なった手続きの割合に応じて報酬を請求することができます。

遺言執行者になる場合の注意点

alt

遺言執行者の義務・責任

遺言執行者になると、次のような義務や責任を負います。

  • きちんと任務を遂行する義務。
  • 相続人の要望に応じて任務の状況を報告する義務。
  • 財産目録を作成し、相続人に交付する義務。
  • 任務完了の報告をする義務。
  • 任務のために預かった金銭や書類などを相続人に返す義務。
  • 任務のために使うべきお金を自分のために使ってしまった場合に、利息を支払う義務。損害を与えてしまった場合の損害賠償責任。

このような義務を怠ると、相続人から解任を請求されたり、損害賠償請求をされたりする可能性があります。

辞任するには家庭裁判所の許可が必要

いったん遺言執行者になると、家庭裁判所から正当な事由があると認められて辞任を許可されなければ、辞任することができません。 辞任が認められる正当な事由には、長期の病気、長期の出張、仕事が多忙なことなどがあります。

解任されることもある

相続人などの利害関係人から家庭裁判所に遺言執行者の解任を請求されることがあります。 解任されるのは、「遺言執行者が任務を怠ったとき」や、その他の「正当な事由があるとき」とされています。

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