遺言の効力

弁護士監修記事 2018年09月30日

公正証書遺言が有効か無効かを確認する6つのポイント

公正証書遺言は公証人という法律の専門家が作成するので、無効となる場合は多くありません。しかし、一定の条件を満たしていない場合には無効になることがあります。

  • 公正証書遺言が有効であることの条件
  • 遺言作成時に認知症だったことが疑われる場合
  • 無効だと思う場合の対処法

この記事では、このようなポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 公正証書遺言でも無効になる場合がある
  2. 公正証書遺言が有効となるための条件
    1. 遺言書により財産を引き継ぐはずの人が亡くなっていた場合
    2. 証人2人以上の立会いがあること
    3. 遺言書の内容が、被相続人から直接口頭で伝えられた内容であること
    4. 公証人から被相続人と証人に対して遺言書の読み聞かせがなされたこと
    5. 被相続人、証人、公証人の署名押印があること
    6. 被相続人が15歳以上で「遺言能力」があること
    7. 公序良俗に反していないこと
  3. 遺言書が無効かもしれないと思った場合の対処法
    1. 明らかに無効だとわからない場合
  4. 遺言書が有効な場合には遺産の調査をしましょう
    1. 遺産の分け前が少ないと思ったら、遺留分を確認しましょう
    2. 遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者の手続きを確認しましょう

公正証書遺言でも無効になる場合がある

alt 公正証書遺言とは、亡くなった方(「被相続人」といいます)が遺言の内容を公証人に伝え、公証人が公正証書による遺言書を作成するという方法で作られた遺言書のことです。 公正証書遺言は、公証人という法律の専門家によって作成され、さらに2人以上の証人もいるため、無効となる場合はあまり多くありません。 しかし、公正証書遺言でも、一定の条件を満たしていない場合には、無効になることがあります。 遺言書が無効な場合、遺産の分け方を他の相続人と話し合って決めなければなりません。 また、遺言書が有効かどうか、他の相続人と意見が異なる場合には、裁判をしなければならない可能性もあります。 手元にある遺言書が有効かどうか、確認していきましょう。

遺言書が自筆証書遺言の場合には、この記事の下の「あわせて読みたい関連記事」で詳しく説明しています。

公正証書遺言が有効となるための条件

alt 公正証書遺言が有効となるための主な条件は、以下のとおりです。

  • 証人2人以上の立会いがあること
  • 遺言書の内容が、被相続人から直接口頭で伝えられた
  • 公証人から被相続人と証人に対して遺言書の読み聞かせがあった
  • 被相続人、証人、公証人の署名押印がある
  • 被相続人が15歳以上で「遺言能力」がある
  • 公序良俗に反していないこと

遺言書により財産を引き継ぐはずの人が亡くなっていた場合

遺言書により財産を引き継ぐはずの人が被相続人よりも先に亡くなっているケースがあります。 このような場合、亡くなった人に遺産を引き継がせるという遺言書の内容は無効となり、法律で決められた相続人(法定相続人)が引き継ぎます。

証人2人以上の立会いがあること

公正証書遺言を作成するには、2人以上の証人が必要です。 ただし、次のような人は、証人になることができません。

  • 未成年者
  • 相続人になる予定の人や、その家族
  • 遺言書によって財産を譲り受ける予定の人や、その家族
  • 公証人の家族
  • 公証役場のスタッフ・公証人に雇われている人

このような人が証人だった場合、公正証書遺言は無効となります。

遺言書の内容が、被相続人から直接口頭で伝えられた内容であること

公正証書遺言を作成するには、被相続人が遺言の内容を公証人に直接口頭で伝え、聞いた内容を公証人が用紙に書き記します。 実際には、あらかじめ電話などで被相続人が公証人に遺言の内容を伝え、公証人が遺言書の下書きを作成し、遺言書を作成する当日に改めて下書きの内容を確認するというやり方が行われています。このようなやり方も有効だと最高裁によって判断されています。

言葉を話すことができない人が公正証書遺言を作成した場合

言葉を話すことができない人が公正証書遺言を作成するには、遺言の内容を口頭で伝える代わりに、公証人と証人の前で、遺言の内容を通訳人の通訳によって伝えるか、自分で文字を書いて伝えるという方法があります。 このような方法で遺言書が作られた場合には、その旨が遺言書に記載されています。

公証人から被相続人と証人に対して遺言書の読み聞かせがなされたこと

公証人は、被相続人と証人に対し、書いた遺言書の内容を読み聞かせるか、閲覧させなければなりません。 被相続人が言葉を話せない場合や、被相続人や証人が耳が聞こえない場合には、読み聞かせの代わりに、通訳人の通訳により書いた内容を伝えるという方法があります。 このような方法で遺言書が作られた場合には、その旨が遺言書に記載されています。

被相続人、証人、公証人の署名押印があること

公正証書遺言の原本には、被相続人、証人、公証人それぞれの署名押印が必要になります。 公正証書遺言には、「原本」「正本」「謄本」の3種類があります。 原本は、最初に作られた文書です。公正証書遺言の原本は、公証役場に保管されています。 正本は、原本と同じ効力を持たせるために、権限のある人が作成した文書です。 謄本は、原本のコピーです。 これらのうち、押印がなされるのは原本のみです。原本に押印がない場合には、遺言書は無効となります。 正本や謄本には押印はなく、署名の横に「印」という文字が印字されています。正本や謄本に押印がなくても、原本に押印があれば有効です。 実際には、原本に押印がないということは、まず考えられません。

被相続人が15歳以上で「遺言能力」があること

遺言書が有効となるには、遺言書を書いた時点で被相続人が15歳以上であることと、「遺言能力」があることが必要です。 遺言能力とは、遺言がどのような意味をもち、どのような法律上の効力があるかを理解できる能力のことです。 たとえば、被相続人が亡くなる前に認知症だったような場合には、遺言能力があったかが問題になる場合があります。

成年後見人が選任されている被相続人が遺言書を作成した場合

被相続人に成年後見人が選任されていた場合でも、次の条件のもとに遺言書を作成することができます。

  • 被相続人が遺産を管理・処分できる判断能力が一時的に回復していること
  • 医師2人以上の立会いがあること
  • 立ち会った医師により、「被相続人の判断能力が一時的に回復していた」という内容の記載と、署名押印がなされていること

ただし、遺言書の内容が成年後見人や成年後見人の家族の利益になる内容だった場合、その遺言書は無効となります。 成年後見人が被相続人の親・子などの直系血族、夫・妻、兄弟姉妹だった場合には、このような内容の遺言書も有効です。

公序良俗に反していないこと

遺言書の内容が公序良俗に反している場合には、遺言書は無効となります。 たとえば、被相続人の不倫相手に遺産を受け継がせるという内容の遺言書は、不倫関係の維持を目的として書かれた場合には、無効となります。 ただし、不倫関係の維持が目的ではなく、不倫相手の生活を保障する目的で書かれた場合には、無効とならない場合もあります。

遺言書が無効かもしれないと思った場合の対処法

alt 遺言書が無効かもしれない思った場合、遺言書を見て明らかに無効だとわかる場合と、そうでない場合によって対処法が異なります。

明らかに無効だとわからない場合

被相続人が認知症などで遺言能力がなかったと思われる場合など、無効かどうか明らかではない場合、まずは他の相続人の意見を確認してみましょう。 他の相続人も遺言書が無効だと思っている場合、相続人全員の合意があれば、裁判などの手続きをしなくても、遺言書を無効として扱うことができます。その場合には、他の相続人と遺産の分け方について話し合いをすることになります。 どのような流れになるか、次の記事で詳しく解説しています。

他の相続人と意見が対立する場合

遺言書の有効無効について他の相続人と意見が対立し、話をしても結論が出ない場合には、裁判を起こすことになります。このような裁判を「遺言無効確認訴訟」といいます。 裁判を起こすには費用がかかります。 また、認知症の診断書や、カルテ、施設での活動記録などの証拠を集める必要があります。 自分の主張(遺言書は無効だと思う/有効だと思う)を効果的に裁判所に伝えるための専門知識も必要です。 このような場合には、弁護士などの専門家に相談してみましょう。 他の相続人から裁判を起こされた場合にも同様に、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

遺言書が有効な場合には遺産の調査をしましょう

alt 遺言書が有効な場合、どのような遺産があるのかを調べていくことになります。 詳しくはこちらの記事で解説しています。

遺産の分け前が少ないと思ったら、遺留分を確認しましょう

遺産の分け前が少ない場合、法律で決められている最低限の取り分を主張することができます。この最低限の取り分のことを「遺留分」といいます。 遺産の分け前が少ないと思ったら、自分の遺留分を確認しましょう。 遺留分については、こちらの記事で詳しく解説しています。

遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者の手続きを確認しましょう

遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合があります。 遺言執行者とは何をする人なのでしょうか?

詳しくはこの記事の下の「次に読みたい記事」で説明しています。

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