遺言書

弁護士監修記事 2018年09月30日

遺言書を見つけても開封してはいけないの?裁判所で遺言書を開封する「検認」手続き

遺言書を見つけると早く中身を確認したくなりますが、開封する前に裁判所で「検認」という手続きを行う必要があります。

  • 検認とは
  • 検認手続きの流れ
  • 検認の申立て方法

この記事では、このようなポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 「検認」とは
  2. 遺言書を開封してしまった場合でも検認をしましょう
  3. 検認手続きの流れ
  4. 検認の申立て方法
    1. 申立書を書く
    2. 戸籍を取り寄せる
  5. 検認が終わったら遺言書が有効か無効かを確認しましょう

「検認」とは

alt 検認とは、裁判所で遺言書を開封し、遺言書の内容を確認する手続きです。他の相続人に対して遺言書があることや内容を知らせ、遺言書の形状や状態、日付、署名などをはっきりと確認することで、遺言書が偽造されたり隠されたりすることを防ぎます。 検認が必要なのは、公正証書遺言ではない遺言を見つけた場合です。公正証書遺言の場合には、検認をしないで開封し、中身を確認することができます。 公正証書遺言ではない遺言書を見つけた場合、自分では開封せず、裁判所に検認の申し立てをしましょう。

検認をしないで遺言書を開封したり、相続手続きを進めたりした場合には、5万円以下の過料というペナルティーを受ける可能性があります。

検認手続きでは遺言書が有効か無効かまでは判断しません。検認を行った場合でも、遺言書が無効な場合には、実際の相続手続きに使えない場合があります。遺言書が有効な場合でも、内容が不十分な場合などには、実際の相続手続きに使えない場合もあります。

遺言書を開封してしまった場合でも検認をしましょう

alt 次のような場合には、検認をすべきか判断に迷うこともあるでしょう。

  • 遺言書を開封してしまった
  • 遺言書に封がされていない
  • 日付が異なる遺言書が複数ある

しかし、このような場合でも遺言書として有効な場合があります。また、検認しないでいると、他の相続人から「遺言書を偽造した」とか「遺言書を隠している」などと非難される可能性があります。 このような場合でも、手元にある全ての遺言書について検認の申し立てをしましょう。

検認手続きの流れ

検認手続きは、次のような流れで行われます。 alt まず、遺言書を見つけた人や、遺言書を保管していた人が、家庭裁判所に検認の申立てをします。 申立てが受理されると、検認の日時が裁判所から相続人に通知されます。 遺言書は検認の当日に裁判所に持っていきます。 検認の当日は、申立人、相続人、これらの代理人が立会いをします。ただし、必ずしも全員が出席をする必要はありません。 まず、申立人や相続人に対して、裁判官から本人確認のための質問がなされます。 その後、遺言書が開封され、相続人と確認します。 このとき、遺言書の筆跡や押印について、裁判官から「亡くなった方(「被相続人」といいます)が書いたものだと思うか?」などと質問がなされます。 検認が終わったら、「検認済証明書」を申請します。検認済証明書は、遺言書に従って遺産の名義変更をするときなどに必要となります。遺言1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。

検認の申立て方法

alt 検認を申し立てることができるのは、遺言書を見つけた相続人や、遺言書を保管していた人です。 申し立てる場所は、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所です。 申立てには費用がかかります。遺言書1通につき800円の収入印紙と、連絡用の郵便切手が必要です。郵便切手の金額は申し立てる家庭裁判所に確認をしてください。 申立てに必要な書類は、次のとおりです。もし申し立てる前に入手できない書類がある場合には、申立て後に追加で提出することもできます。

  • 申立書
  • 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍一式
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人となるはずだった人の中に被相続人よりも先に亡くなっている人がいる場合には、その人の出生時から死亡時までの戸籍一式

申立書を書く

申立書は、裁判所のホームページからダウンロードできます。「家事審判申立書」と「当事者目録」の両方を書きます。 書き方は、「記入例」が参考になります。

相続人が誰かを調べる

検認の申立てには、「当事者目録」に相続人全員の名前、本籍、住所、生年月日(年齢)を記入する必要があります。 ここでいう「相続人」は、遺言書に書かれている遺産を受け継ぐ人のことではなく、法律で決められた相続人(「法定相続人」といいます)のことです。 法定相続人は、おおむね次のように決まっています。 alt まず、被相続人に夫・妻がいる場合、夫・妻は必ず相続人になります。 さらに子どもがいる場合には、子どもも相続人になります。 子どもが今回被相続人よりも先に亡くなっている場合には、孫が相続人になります。 子どもも孫もいない場合には、被相続人の親が相続人になります。 親がいない場合には、祖父母など上の代の人が相続人になります。 子ども(孫)も、親(祖父母)もいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。 兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっている場合には、被相続人の甥・姪が相続人になります。

親戚関係がわからない場合には、戸籍を取り寄せることで、誰が相続人かを調べることができます。

相続人の住所がわからない場合には、相続人の住民票または戸籍の附票を取り寄せることで調べることができます。

戸籍を取り寄せる

戸籍は、市区町村役所の窓口や郵送で取り寄せることができます。 戸籍を取り寄せることができるのは、被相続人の夫・妻、親、祖父母、子ども、孫などの親族や、委任状があれば代理人も取り寄せることができます。

市区町村役場の窓口で取り寄せる

戸籍を市区町村役場の窓口で取り寄せる場合には、運転免許証などの本人確認書類が必要です。 取り寄せには手数料がかかります。金額は市区町村によって異なるので確認しましょう。 「相続手続きのために戸籍を取り寄せたい」「この人の出生から死亡までのすべての戸籍をください」と窓口の担当者に伝えると、手続きがスムーズに進む可能性があります。

郵送で取り寄せる

戸籍を郵送で取り寄せる方法は、自治体によって異なります。詳しくは市区町村役場に問い合わせましょう。 一般的には、次のようなものが必要になります。

  • 請求書
  • 手数料分の定額小為替(郵便局で購入できます)
  • 返信用封筒(住所と氏名を記入し、切手を貼り付けます)
  • 運転免許証など本人確認書類のコピー

出生から死亡までの戸籍を取り寄せる場合には、戸籍が数通にわたることがあります。戸籍の種類、通数、手数料がわからない場合、市区町村役場によっては、手数料を多めに同封することで対応してもらえる場合もあります。詳しくは市区町村役場に問い合わせましょう。

請求書は市区町村役場のホームページに雛形がある場合があります。

戸籍を取り寄せたけど出生時まで辿れなかった場合

結婚や引っ越しなどで死亡時の本籍地以外の場所から本籍を移したことがある場合、本籍を移した際に戸籍が新しく作り変えられているので、死亡時の本籍地で戸籍を取り寄せるだけでは、出生時まで辿れません。 このような場合には、本籍を移す前の戸籍を取り寄せる必要があります。 前の戸籍がどこにあるかは、取り寄せた戸籍に次のように記載されています。

戸籍が横書きの場合 「【従前戸籍】◯◯県◯◯市◯◯町◯番地」
戸籍が縦書きの場合(婚姻の場合) 「元号◯年◯月◯日◯◯(婚姻相手)と婚姻届出◯◯県◯◯市◯◯町◯番地 ◯◯(筆頭者)戸籍より入籍」
戸籍が縦書きの場合(転籍の場合) 「元号◯年◯月◯日◯◯県◯◯市◯◯町◯番地から転籍届出」

前の戸籍を確認し、その市区町村役場で前の戸籍を取り寄せましょう。 前の戸籍の記載がわからない場合には、市区町村役場の担当者に「前の戸籍はどこで取り寄せればよいですか?」と聞いてみてもよいでしょう。 前の戸籍を取り寄せる際には、「相続手続きのために戸籍を取り寄せたい」「この人の出生から死亡までのすべての戸籍をください」と改めて伝えましょう。

検認が終わったら遺言書が有効か無効かを確認しましょう

alt 検認が終わったら、遺言者が有効か無効かを確認しましょう。確認方法は、次の記事で詳しく解説しています。

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