相続人

弁護士監修記事 2018年09月28日

未成年の相続人がいる場合の相続手続きの進め方と代理人の選任方法

遺産の分け方を決める話合い(遺産分割協議)は、相続人全員の参加が必要ですが、未成年者は、協議に参加することができません。 そのため、相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者に代わって協議に参加する代理人が必要になります。 この記事では、相続人に未成年者がいる場合の代理人の選任方法などについて詳しく解説します。

目次

  1. 相続人に未成年がいる場合は代理人が必要
    1. 基本的に親権者が代理人になる
  2. 特別代理人を選任する手続き
    1. 遺産分割協議書の案を作成する際の注意点
    2. 特別代理人になれる人
    3. 申立てに必要な書類
    4. 申立て後の流れ
  3. 正式な遺産分割協議書を作成する

相続人に未成年がいる場合は代理人が必要

遺産の分け方は、相続人全員で話し合って決める必要があります(遺産分割協議)。相続人が一人でも加わらずに話し合われた協議は、やり直すことになる可能性があります。 一方で、未成年者は、契約など法的な行為をすることが制限されているため、遺産分割の話合いに参加することができません。 そのため、相続人の中に未成年者がいる場合は、その未成年者の代理人を用意して、その代理人が未成年者の代わりに協議に参加する必要があります。 未成年者自身が話合いに参加した場合には、協議をやり直すことになる可能性があるので注意しましょう。

基本的に親権者が代理人になる

一般的に、未成年者の代理人は、その親権者(原則は両親)です。 しかし、以下のような場合、親権者に代わって未成年者の代理人となる「特別代理人」が必要になります。

  • 未成年者だけでなく、その親権者も相続人になる場合
  • 相続人の中に未成年者が複数いて、その複数の未成年者の親権者になっている場合

具体的にどのような場合か説明します。

未成年者だけでなく、親権者も相続人になる場合

未成年者だけでなく、その親権者も相続人の場合、親権者は代理人になることができません。 たとえば、被相続人の配偶者と子ども(未成年)が相続人になるケースです。 このようなケースでは、子どもの利益と、子どもの親権者である母(被相続人の配偶者)の利益が両立できない可能性があるので、子どもの代理人になることができません。 そのため、親権者は子どものために特別代理人を選任するよう家庭裁判所に求めなければならないルールになっています。

相続人の中に未成年者が複数いて、その複数の未成年者の親権者になっている場合

また、親権者が代理人になれる場合でも、複数の未成年者が相続人になるケースでは、そのうち1人の未成年者の代理人にしかなれません。 複数の未成年の代理人になってしまうと、その未成年同士の利益が両立できない可能性があるからです。 そのため、親権者は、自分が代理人にならない方の未成年者に、特別代理人を選任するよう家庭裁判所に求めなければならないルールになっています。 たとえば、次のように代襲相続が起きるケースで考えてみましょう。

  • 被相続人の配偶者・子ども(息子1人)はいずれもすでに亡くなっている
  • 被相続人の息子には未成年の子どもが3人いる(被相続人から見て孫)
  • 被相続人の息子の配偶者は健在

このようなケースだと、代襲相続により、3人の孫が相続人になります。 3人の孫の母(息子の配偶者)は相続人ではないので、遺産分割協議を代理することができます。 ただし、それぞれの孫の利益を両立できない可能性があるため、3人のうち1人の代理人にしかなれません。他の2人には、特別代理人が必要になります。

特別代理人を選任する手続き

相続人の中に未成年者がいて、特別代理人の選任が必要であることがわかったら、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てることになりますが、手続きの流れが変則的なので、確認しておきましょう。 選任までの流れは、以下のようになっています。

  1. 特別代理人の候補者を決める
  2. 候補者を交えて協議をして遺産の分け方を決め、遺産分割協議書の案としてまとめておく
  3. 遺産分割協議書の案を、その他の必要書類とともに、家庭裁判所に提出して、特別代理人の選任を申し立てる
  4. 家庭裁判所が遺産分割協議書の案をチェックし、問題ないと判断すれば、選任の審判をして審判書を申立人と候補者に送付する

遺産分割協議のために特別代理人が必要となるのに、なぜ選任の前に、候補者の段階で実質的な遺産分割協議をまとめておかなければならないかというと、選任の必要書類として、遺産分割協議書の案の提出が求められるからです。 家庭裁判所は、遺産分割協議書の案をチェックして、未成年者の利益が害されていないかチェックします。 家庭裁判所が、問題がないと判断すれば、選任の審判をして、審判書を申立人と候補者に送付します。 つまり、実質的には、選任は、遺産分割協議が未成年の利益を害していないと「お墨付き」を与えるような意味があるのです。

遺産分割協議書の案を作成する際の注意点

申立てを行う前に、遺産の分け方をあらかじめ決めておく必要があることに注意しましょう。 裁判所は協議書案をもとに、「未成年者の相続分が法定相続分よりも少ないなど、不利益になっていないか」「未成年者の親が法定相続分よりも多く相続する場合、合理的な理由があるか」などをチェックします。 寄与分などを理由に未成年者以外の相続人の相続分を増やすような場合は、相続分が増える理由を協議書案に記載するようにしましょう。

特別代理人になれる人

原則として、未成年者と利害関係がなければ誰でもなることができます。 相続人にならない親族(その未成年者の祖父母や、おじ・おばなど)もなることができます。親族ではなく、弁護士などの専門家に頼むこともできます。

申立てに必要な書類

申立てに必要な主な書類は以下のようになっています。

  • 申立書
  • 遺産分割協議書の案
  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 親権者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 特別代理人の候補となる人の住民票または戸籍の附票
  • 800円分の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手

申立書は裁判所のホームページで書式をダウンロードできます。 郵便切手は、家庭裁判所によって必要な額が異なるので、申し立てる家庭裁判所に確認しましょう。 この他にも必要な書類がある可能性があるので、申し立てる家庭裁判所に確認しましょう。

申立て後の流れ

家庭裁判所に必要な書類を提出し、提出した書類に不備がなければ、裁判所から特別代理人の候補者に「照会書」が届きます。 「自分が特別代理人となることの申立てが行われたことを知っているか」などの質問が記載されているので、候補者は回答して返送します。 回答した内容にも問題がないことが裁判所に認められると、候補者が特別代理人に選任されたことを示す「審判書謄本」が、申立人と代理人になった候補者に届きます。

正式な遺産分割協議書を作成する

候補者が特別代理人に選任されたら、遺産分割協議書の案を、特別代理人の署名を入れるなどして、正式な遺産分割協議書の形にまとめましょう。

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