相続手続き

弁護士監修記事 2018年09月25日

【相続】お墓は誰が受け継ぐのか|祭祀承継者の決め方やお墓の名義変更の方法などを詳しく解説

お墓は他の遺産と異なり、「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」という人を決めて、その人が受け継ぐことになります。

  • 祭祀承継者の決め方
  • お墓の名義変更の方法
  • 墓じまいをしたい場合の対処法

この記事では、こうしたポイントを詳しく解説します。

目次

  1. お墓は「祭祀承継者」が受け継ぐ
  2. お墓の移転や墓じまいという方法もある
  3. どのようなお墓があるか確認しましょう
    1. 墓地の権利
    2. 墓石の権利
  4. 祭祀承継者を決める方法
    1. 1. 亡くなった方の意向を尊重して決める
    2. 慣習に従って親族間の話し合いで決める
    3. 家庭裁判所に決めてもらう
    4. 困ったときは弁護士などの専門家に相談しましょう
  5. お墓を受け継ぐ場合の手続き
    1. 墓地の権利が永代使用権の場合
    2. 墓地の権利が所有権の場合
  6. お墓を移転したい場合の手続き
  7. 墓じまいしたい場合の手続き
  8. お墓を受け継いでも相続放棄はできるのか?
  9. 将来的に他の親戚の遺骨を受け入れたくない場合
  10. 葬儀が終わって落ち着いたら、相続手続きを進めていきましょう

お墓は「祭祀承継者」が受け継ぐ

亡くなった家族が先祖のお墓を管理していた場合、そのお墓を誰が受け継ぐのかが問題となります。 預貯金や土地などの一般的な遺産の場合には、遺言書があれば遺言書の指示に従って、遺言書がなければ親族の中の相続する権利を持つ人たち(相続人)が受け継ぎます。 これに対し、お墓は、「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」という人が受け継ぎます。 祭祀承継者は、遺言書で指定されている場合があります。遺言書で指定されていない場合には、誰が祭祀承継者になるかを決める必要があります。 祭祀承継者は、相続人はもちろん、相続人以外の人もなることもできます。 祭祀承継者は、お墓だけでなく、遺骨、仏壇、位牌なども受け継ぎます。また、お墓を使用するための使用料などを支払う義務も受け継ぎます。

お墓や仏壇、位牌などを受け継いでも、その部分には相続税はかかりません。

お墓の移転や墓じまいという方法もある

お墓を今後どうするかについては、そのまま受け継ぐ方法のほかに、お墓を移転する方法(改葬)や、墓じまいする方法もあります。

お墓をどうしたいか 手続きの方法
お墓をそのまま受け継ぎたい 名義変更
お墓を移転したい 改葬
お墓を受け継ぎたくない 墓じまい

これらの方法のうちどれを選ぶかは、祭祀承継者が決めることになります。 ただし、改葬したり墓じまいしたりする場合には、他の親族がよく思わずにトラブルになる可能性があります。祭祀承継者になる予定の人がどのような考えを持っているか、予め確認しておくとよいでしょう。 それぞれの具体的な手続きについては後述します。

どのようなお墓があるか確認しましょう

祭祀承継者を決める前に、お墓がどこにあるか、お墓の権利者は誰かなどを調べておく必要があります。 次のような事項を確認しておきましょう。

  • どこにどのようなお墓があるか
  • 墓地、墓石それぞれの権利関係(所有権か、永代使用権か)
  • 永代使用権だった場合の契約内容(霊園などに支払う使用料など)

墓地の権利

お墓には、土地の部分(墓地)と墓石の部分があります。 土地の部分(墓地)の権利は、亡くなった方が所有していた場合もありますが、墓地を経営している霊園などが所有している場合も少なくありません。 霊園などがお墓の土地を所有している場合には、亡くなった方は「永代使用権(墓地使用権ともいいます)」という、お墓の土地を使用する権利を有していることになります。 永代使用権は、どのような契約を結んでいたかによって、権利の内容が異なります。 たとえば、契約によって使用料の金額は異なります。また、永代使用権を受け継ぐ人はお寺の檀家にならなければならないといった制約がある場合があります。 永代使用権の内容は、「永代使用許可書(墓地使用承諾書、使用権利書)」などといった書類で確認することができます。書類がない場合には、通帳で使用料の支払いを確認したり、霊園などに問い合せて確認をしましょう。 墓地の権利が永代使用権ではなく所有権の場合には、登記に所有者が記載されています。登記を確認するには、「権利証」や「登記識別情報通知」という書類を自宅などで探して確認しましょう。登記簿謄本を法務局で取り寄せて確認することもできます。

墓石の権利

墓石の権利は、所有権であることが多いです。墓石の所有者は墓地の権利者(所有者または永代使用権者)と同じ場合が多いことが一般的でしょう。

祭祀承継者を決める方法

祭祀承継者は、次のような順序で決めます。

  1. 亡くなった方の意向を尊重して決める。
  2. 亡くなった方の意向がない場合、慣習に従って親族間の話し合いで決める。
  3. 話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所が決める。

1. 亡くなった方の意向を尊重して決める

亡くなった方が、お墓を誰に受け継がせるかについて、生前に指定していた場合、その指定を尊重して祭祀承継者を決めます。 亡くなった方による指定は、遺言書の形式でなくても構いません。また、書面ではなく、口頭で話していた場合でもよいです。 はっきりとした指定がない場合でも、遺産のすべてを特定の相続人に受け継がせるという内容の遺言書がある場合など、お墓もその相続人に受け継がせたいという意向がうかがえる場合には、その意向が尊重されることになります。

慣習に従って親族間の話し合いで決める

亡くなった方の意向が特にない場合には、慣習に従って、親族間の話し合いで祭祀承継者を決めます。 祭祀承継者になる人は、相続人ではない人でも構いません。たとえば、内縁の妻を祭祀承継者にすることもできます。 喪主が祭祀承継者になるケースもあります。しかし、喪主は検討する時間が十分にない中でとりあえずの形で決めることもあるので、喪主となった人が必ずしも祭祀承継者になるとは限りません。 祭祀承継者になる人は、1人であることが一般的です。しかし、必ずしも1人である必要はありません。 たとえば、お墓が複数あり、それぞれが遠い場所にある場合には、それぞれのお墓の近くに住んでいる親族が、それぞれのお墓の祭祀承継者になるということもできます。

家庭裁判所に決めてもらう

話し合いで祭祀承継者が決まらない場合には、家庭裁判所に「祭祀承継者指定の申立て」をして、調停という手続きの中で、家庭裁判所の裁判官などを交えて話し合いをします。 調停でも話し合いがつかない場合には、審判という手続きに変わり、家庭裁判所の裁判官が祭祀承継者を決めます。

困ったときは弁護士などの専門家に相談しましょう

話し合いをしても祭祀承継者が決まらない場合、そもそも話し合いができない場合など、困ったときには、弁護士などの専門家に相談するのも1つの方法です。 弁護士などの専門家が話し合いに入ることで、感情的になっていた人が冷静に話し合いに応じるようになるなどの効果を期待することができます。 また、話し合いがつかない場合には、調停の申立てなどの手続きをサポート代行してもらえます。 審判までの手続きの流れを踏まえて、どのように調停の話し合いを進めていけばよいかという専門的なアドバイスを期待することもできます。

お墓を受け継ぐ場合の手続き

お墓をそのまま受け継ぎたい場合には、お墓の名義変更手続きをします。

墓地の権利が永代使用権の場合

永代使用権の名義変更手続きは、霊園などによって方法が異なります。霊園などに問い合わせて確認をしましょう。 手続きには、戸籍謄本や、印鑑証明書が必要になる場合があります。 また、手数料がかかる場合があります。 霊園などから手数料などの名目で、納得できない高額な支払いを請求された場合には、弁護士などの専門家に相談しましょう。

墓地の権利が所有権の場合

お墓の土地(墓地)の権利が所有権の場合には、登記の名義を新しい祭祀承継者に変更します。 登記をするには、法務局で手続きをします。 必要書類として、亡くなった方が祭祀承継者を指定していたことがわかる遺言書や、話し合いで祭祀承継者を決めた場合の相続人全員の合意書、家庭裁判所の審判や調停調書などがあります。 どのような手続きになるか、必要書類は何か、法務局に問い合わせて確認しましょう。

お墓を移転したい場合の手続き

お墓を移転する手続きのことを、改葬といいます。 改葬は、おおよそ次のような順序で行います。

  1. 新しい墓地を用意する。
  2. 新しい墓地のある霊園などから受入証明書(使用許可証)をもらう。
  3. 現在の墓地のある市区町村役場で改葬許可申請書をもらう。
  4. 現在の墓地のある霊園などから埋蔵証明書に記名押印をもらう。
  5. 改葬許可申請書を現在の墓地のある市区町村役場に提出して、改葬許可書をもらう。
  6. 改葬許可書を新しい墓地のある霊園などに提出する。
  7. 新しい墓地へ納骨する。

ただし、上記2〜4の流れは、市区町村によって前後する場合があります。実際の手続きの方法は、新しい墓地がある市区町村役場で確認しましょう。 現在の墓地は、墓石などを撤去して更地にして返還する必要があります。 その際、離壇料や寄付金などを請求される場合があります。納得できない高額な支払いを請求された場合には、弁護士などの専門家に相談しましょう。

墓じまいしたい場合の手続き

墓じまいをしたい場合には、おおよそ次のような手続きをします。

  1. 墓じまいをした後の遺骨をどうするか決める。
  2. 墓じまいしたい旨を霊園などに伝える。
  3. 墓石などを撤去して墓地を更地にして返還する。

墓じまいをした後の遺骨をどうするかについては、永代供養(祭祀承継者やその子孫に代わり霊園などが遺骨の管理や供養をする方法)や、散骨、自宅で保管する方法などがあります。 現在の墓地は、永代使用権の場合には、墓石などを撤去して更地にして返還する必要があります。 お墓の土地を所有している場合には、墓地の間は固定資産税が非課税ですが、墓石がなくなって墓地ではなくなると固定資産税がかかるので注意が必要です。 この場合も、離壇料や寄付金などを請求される場合があります。納得できない高額な支払いを請求された場合には、弁護士などの専門家に相談しましょう。

お墓を受け継いでも相続放棄はできるのか?

相続放棄を検討している場合に、遺産である預貯金を引き出すなどすると、相続放棄ができなくなる可能性があります(単純承認といいます)。 これに対し、お墓を受け継ぐ場合でも、相続放棄に支障はないと考えられています。 相続放棄をした場合でも、墓地の使用料などは祭祀承継者が負担することになります。

将来的に他の親戚の遺骨を受け入れたくない場合

たとえば今回、夫が亡くなったので、妻が祭祀承継者となり、夫の家系のお墓を受け継いだとします。 将来的に夫側の親戚が亡くなった場合にも、その遺骨を受け入れなければならないのか気になる人もいるでしょう。 お墓に誰の遺骨を受け入れるかは、祭祀承継者が自由に決めることができます。将来的に夫側の親戚が亡くなった場合でも、その遺骨を受け入れる義務はありません。 ただし、夫(妻)が亡くなった場合でも、夫(妻)側の親戚関係は継続します。もし親戚関係の継続を望まない場合には、「姻族関係終了届」を市区町村役場に提出することで、夫(妻)側の親戚関係を法的に終了させることができます。

葬儀が終わって落ち着いたら、相続手続きを進めていきましょう

葬儀が終わって落ち着いたら、少しずつ相続手続きを進めていきましょう。

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