相続手続き

弁護士監修記事 2018年09月29日

【相続】葬儀費用をすぐに用意できない場合の対処法

家族が亡くなった場合、突然のことで葬儀費用をすぐに用意できないという方もいるでしょう。そうした場合に、すぐに費用分のお金を支払ってもらえる仕組みがあります。

  • 葬儀費用を用意する方法
  • 葬儀を安く行う方法

この記事では、こうしたポイントを詳しく解説します。

目次

  1. 葬儀費用を香典でまかなえない場合がある
  2. 葬儀費用のお金を用意する方法
    1. 遺産の預貯金などを使う
    2. 葬祭費をもらう
    3. 市区町村の助成金をもらう
    4. 生命保険金をもらう
    5. 他の親族に相談する
  3. 葬儀にかかる費用を安く抑える方法
    1. 葬儀会社と交渉する
    2. 区民葬・市民葬を利用する
    3. 葬祭扶助の利用を検討する
  4. 支払い方法を葬儀会社と交渉する
  5. 入院費などが支払えない場合には、相続放棄も検討しましょう
  6. 葬儀が終わったら、お墓をどうするかを検討しましょう

葬儀費用を香典でまかなえない場合がある

葬儀費用は、葬儀に参列した人の香典でまかなえないかと考える人もいるでしょう。 しかし、どのくらいの人が葬儀に来るのか、どの程度香典が集まるのかは、事前にはわかりません。 また、香典をもらったら、「香典返し」として、香典の半額程度の贈り物をする風習があります。 そのため、香典に頼らなくても葬儀費用の支払いができるよう、ある程度のお金を自分で用意する必要があります。 葬儀費用を支払うタイミングは、一般的には葬儀が終わった後(1週間程度)です。一括払いの場合もあれば、分割払いにできる場合もあります。

葬儀費用のお金を用意する方法

葬儀費用のお金を用意する方法には、次のような方法があります。

  • 遺産の預貯金などを使う
  • 葬祭費をもらう
  • 区の補助金をもらう
  • 生命保険を確認する
  • 親族に相談する

どのような方法か順に説明します。

遺産の預貯金などを使う

遺産に預貯金などがある場合、そこから葬儀費用を工面する方法もあります。 ただし、銀行などの金融機関に、預金者が亡くなったことを伝えると、口座が凍結されて、預貯金を引き出すことができなくなります。 凍結された口座を解除するには、相続人全員の合意を得たり、戸籍謄本を取り寄せたりして、手続きを行うのが正規の方法です。しかし、これでは時間がかかるので、葬儀費用を用意するには間に合いません。 金融機関によっては、葬儀費用のためなど緊急の場合に、凍結された口座からの引き出しに応じてくれるところもあります。金融機関に事情を話して、お金を引き出せないか相談してみてもよいでしょう。 ただし、あくまでも例外的な対応なので、必ずしも引き出しに応じてもらえるわけではありません。金融機関に断られた場合には、別の方法を検討しましょう。

葬祭費をもらう

亡くなった方が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合には葬祭費を請求することができます。健康保険・共済組合の場合には埋葬料を請求できます。 葬祭費の金額は自治体により異なりますが、3万円〜7万円が一般的です。埋葬費は5万円です。 葬祭費・埋葬費を受け取ることができるのは、葬儀を行った人(喪主など)です。葬儀をしていない場合には受け取ることができません。 葬祭費を請求するには、葬儀を執り行った後に、亡くなった方が住んでいた市区町村役場で申請書を提出します。 埋葬費を請求する場合は、会社などの勤務先が手続きをしてくれる場合があるので、勤務先に手続きを確認しましょう。

市区町村の助成金をもらう

市区町村によっては、指定された葬祭場を利用した場合などの条件を満たした場合に、助成金がもらえる場合があります。 そのような助成制度がある場合には、利用を検討してもよいでしょう。

生命保険金をもらう

亡くなった方が生命保険に加入していた場合には、保険金を請求することができます。亡くなった方が生命保険に入っていたかどうかを確認しましょう。 保険金がいくらなのかは、生命保険の契約内容によって異なります。 生命保険会社に連絡すると、保険金を請求するのに必要な書類が送られてきます。 必要な書類を提出してから5日程度で保険金の支払いを受けることができます。 保険金を受け取ることができるのは、受取人に指定されている人です。

他の親族に相談する

他の親族に相談をして、お金を用意してもらう方法もあります。 葬儀費用を葬儀会社に支払うのは、葬儀会社と契約をした喪主です。ただし、話し合いによって、葬儀費用を遺産からまかなったり、他の親族と分担することが可能です。 もし、他の親族と話し合いができずに揉めてしまった場合には、裁判で喪主がすべて負担すべきと判断される可能性があります。なるべく事前に葬儀費用の負担について他の親族と話し合いをしておきましょう。 もし香典が余った場合に誰が香典を取得するのかも、話し合っておくとよいでしょう。 どのような話し合いをして、誰がいくら負担することになったのかを、メモなどの記録に残しておくことも重要です。 葬儀費用の明細書や領収書、香典の芳名帳などは、他の親族から問い合わせがあったときに見せられるように、しっかり保管しておきましょう。

葬儀にかかる費用を安く抑える方法

葬儀費用を確保するには、お金を用意するだけでなく、葬儀にかかる費用を安く抑える方法もあります。

  • 葬儀会社と交渉する
  • 直葬(火葬のみ)を検討する
  • 区民葬、市民葬を検討する
  • 生活保護葬を検討する

どのような方法か順に説明します。

葬儀会社と交渉する

葬儀会社は、病院で紹介されることが多いと思います。 葬儀費用がいくらなのかは、葬儀会社によって異なります。そのため、まずは見積書をもらって、どのくらいの金額になるのかをきちんと確認しましょう。 見積書の金額が高い場合には、こちらの予算を伝えて、その範囲内で葬儀をやってもらえるかを確認しましょう。

直葬(火葬のみ)を検討する

葬儀は一般的に、通夜、告別式、火葬という流れで行われます。 これに対し、通夜や告別式を行わず、火葬だけを行う「直葬」というやり方があります。 直葬にすれば、一般的な葬儀よりも費用を安く抑えることができます。 一般的な葬儀だと予算が厳しい場合には、直葬にする方法も検討するとよいでしょう。 ただし、直葬の場合には、通夜や告別式を行わないため、葬儀に参列することができない親族や関係者がいます。 また、お坊さんにお経をあげてもらうなどの宗教的な儀式がないため、不安に思う人もいます。そのような人たちの理解を得られるように説明や配慮をする必要があります。 宗教的な儀式を行わないため、納骨する予定のお寺などに直葬でも受け入れてもらえるか、確認しておくとよいでしょう。 直葬にする場合でも、費用がいくらかかるかは葬儀会社によって異なるので、きちんと見積書をもらって金額を確認しましょう。

区民葬・市民葬を利用する

葬儀会社は、病院で紹介された葬儀会社に頼むこともできますが、自分で葬儀会社を探して頼むこともできます。 通常よりも安い費用で葬儀を行うことができる制度として、区民葬、市民葬があります。 利用方法や費用は市区町村によって異なります。市区町村役場に問い合わせをして確認しましょう。

葬祭扶助の利用を検討する

葬祭扶助とは、生活保護法で定められている制度です。葬儀費用を支給してもらうことができます。 葬儀を行う人が生活保護を受けていない場合でも、条件を満たせば、葬祭扶助を利用できる可能性があります。

葬祭扶助を利用できる人

葬祭扶助を利用できるのは、次のような人です。 まず、あなたが、亡くなった方の直系血族(子、孫、親、祖父母など)・兄弟姉妹かどうかによって異なります。 直系血族・兄弟姉妹に当たる場合、あなた自身が生活保護を受けているか、これから生活保護を受けることを検討している場合には、葬祭扶助を利用できる可能性があります。 次に、あなたが亡くなった方の直系血族または兄弟姉妹ではない場合、亡くなった方が生活保護を受けていたかどうかによって異なります。 亡くなった方が生活保護を受けていた場合には、葬祭扶助を利用できます。 亡くなった方が生活保護を受けていなかった場合でも、亡くなった方が生前に所持していたお金などで葬儀費用をまかなうことができない場合には、葬祭扶助を利用できます。

葬祭扶助で支給される費用は約20万円

葬祭扶助で支給される費用は、市区町村により異なりますが、おおむね20万円前後です。 費用は、亡くなった方が大人か子どもかなどによっても異なります。 詳しくは市区町村役場に問い合わせて確認しましょう。

葬儀を行う前に市区町村役場に相談しましょう

葬祭扶助を利用したい場合には、市区町村役場や福祉事務所で、手続きの方法を確認しましょう。 葬祭扶助を利用できると思って葬儀を行ったが、後から利用できないことが判明するという場合もあります。そのようなトラブルを避けるために、葬儀を行う前に市区町村役場や福祉事務所に連絡して、葬祭扶助を利用できるか確認しましょう。

支払い方法を葬儀会社と交渉する

葬儀費用の支払方法は一括払いの場合が多いと思います。 一括払いが難しい場合には、分割払いにしてもらうなど、支払方法を葬儀会社と交渉しましょう。 葬儀会社と交渉する際には、何回払いにしてほしいのか、いつ頃なら支払えるのかなどを、なるべく具体的に伝えると交渉しやすいでしょう(「いつ頃に生命保険金としてまとまったお金が入るので、それまで支払いを待ってほしい」など。)。 葬儀会社によっては、クレジットカード払いができる場合もあるので、確認してもよいでしょう。

入院費などが支払えない場合には、相続放棄も検討しましょう

亡くなった方の入院費や、税金などの支払いが残っている場合があります。あなたが相続人にあたる場合には、それらの支払いをしなければなりません。 支払いが難しい場合には、相続放棄をすれば支払いをしなくて済みます。 ただし、相続放棄をすると、入院費や税金などの支払いだけでなく、預貯金などプラスの財産も放棄することになるので、注意が必要です。 相続放棄をするには、亡くなったことを知ってから3か月以内に手続きをする必要があります。 相続放棄の詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

葬儀が終わったら、お墓をどうするかを検討しましょう

葬儀が終わったら、お墓をどうするかを検討しましょう。

お墓については、この記事の下の「あわせて読みたい関連記事」で詳しく説明しています。

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