代襲相続

弁護士監修記事 2018年09月29日

代襲相続はどのような場合に生じるのか? 孫やおい・めいが相続するケース

被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、本来の相続人(子・兄妹など)がすで死亡していた場合、その「本来の相続人」をとびこえて、孫やおい・めいが遺産を引き継ぐことになります。「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」という仕組みです。

  • 代襲相続とは
  • 代襲相続はどんな場合に起きるのか
  • 死亡以外の原因で代襲相続が生じるケース

この記事では、こうしたポイントについて詳しく紹介します。

目次

  1. 代襲相続とは
  2. 「おい・めい」が相続人になるケース
  3. 相続人の死亡以外の理由で代襲相続が生じるケース
    1. 相続人が「相続欠格」にあたる場合
    2. 相続できる権利を奪う「廃除」の仕組み
    3. 相続放棄があった場合は代襲相続は起こらない
  4. 代襲相続する人が「養子」だった場合の注意点

代襲相続とは

被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、本来の相続人(子・兄妹など)が死亡していたり、相続する権利を失っていたりしたなどの場合、「本来の相続人」の代わりに、孫やおい・めいが相続するのが、「代襲相続」というルールです。 具体的にはどういうことなのか、次のケースで考えてみましょう。

  • 家族構成は、父(被相続人)・母・長男・次男・次男の子(孫)
  • 父が亡くなった時点で次男はすでに死亡していた
  • 父は遺言書を残していなかった

この家族構成で次男が生きていたとすると、父の遺産を受け継ぐ権利がある人とその割合は次のようになります。

  • 母(1/2)
  • 長男(1/4)
  • 次男(1/4)

しかし、次男はすでに死亡しているため、遺産を相続することができません。 「相続人が権利を引き継ぐためには、相続が開始する時点(被相続人が死亡した時点)で相続人が存在してなければならない」とう相続の原則があるからです。 この原則を、「同時存在の原則」といいます。この原則に忠実にしたがうと、被相続人が死亡した段階で「相続人は母と長男」ということになります。遺産の割合は次のようになります。

  • 母(1/2)
  • 長男(1/2)

この原則の例外にあたるのが、「代襲相続」の仕組みです。今回のケースでは、すでに相続人ではなかった(亡くなっていた)次男に代わり、次男の子(孫)が父の遺産を相続することになります。

  • 母(1/2)
  • 長男(1/4)
  • 次男の子(孫)(1/4)

孫も死亡していた場合は、「ひ孫→玄孫」というように、下の世代が相続していくことになります(再代襲相続)。

「おい・めい」が相続人になるケース

被相続人のきょうだいが相続人となるケースで、きょうだいが被相続人よりも先に死亡していれば、代襲相続が生じる可能性があります。 たとえば、次のようなケースです。

  • 被相続人の両親、祖父母はすでに他界している
  • 被相続人は結婚していたが、子どもはいなかった
  • 被相続人には姉がひとりいる
  • 被相続人の兄はすでに他界しているが、兄には息子(被相続人から見て「おい」)がひとりいる

もし、兄に息子がいなかった場合、相続人は姉と被相続人の妻ということになり、相続する遺産の割合は次のようになります。

  • 妻(3/4)
  • 姉(1/4)

今回のケースでは、兄に息子(おい)がいるため、兄の代わりに被相続人の財産を相続することになります。相続する遺産の割合は次のようになります。

  • 妻(3/4)
  • 姉(1/8)
  • おい(1/8)

「おい・めい」が死亡していた場合、「ひ孫→玄孫」のように、下の世代が相続していく「再代襲相続」は生じません。「孫」が死亡していたケースとは異なるので注意しましょう。

相続人の死亡以外の理由で代襲相続が生じるケース

相続人の死亡以外の理由で代襲相続が生じるケースとして、相続人が「相続欠格」にあたる場合と、相続人が「排除」されている場合があります。

相続人が「相続欠格」にあたる場合

相続欠格とは、遺産を不正に手に入れようするなど「相続人となるのにふさわしくない人」から相続する権利を奪うルールです。 欠格事由は民法に定められており、たとえば、次のようなことをした人は相続欠格にあたります。

  • 被相続人、自分よりも相続人になる優先順位が高い人、自分と同じ順位の相続人を、故意に死亡させ(または死亡させようとして)、刑罰を受けた
  • 被相続人が殺されたことを知っていたのに、告発・告訴をしなかった(犯人が自分の配偶者、子・親などの直系血族だった場合は除く)
  • 被相続人が遺言を作成・遺言の撤回などをしようとした際、だます・脅すなどして妨害した
  • 被相続人をだます・脅すなどして、遺言を作成させたり、取り消させたり、変更させたりした
  • 遺言書を偽造したり、破棄したりした

相続できる権利を奪う「廃除」の仕組み

「廃除」とは、被相続人の意思で、相続する権利を相続人から奪うことです。 たとえば、被相続人が生前、子から日常的にひどい暴力を受けていて「この子に財産をあげたくない」と考えたとしましょう。 こうした場合、被相続人は、家庭裁判所に子を相続人から廃除することの審判を申立て、その子に財産を相続させないことができます。 また、被相続人は、遺言によって廃除の意思を明らかにすることもできます。 廃除は、特に理由もなく認められるわけではありません。「被相続人に対する虐待」「著しい非行」など、特別な事情があった場合に認められます。

相続放棄があった場合は代襲相続は起こらない

一方、「相続人が相続する権利を失う」という点で、「相続放棄」は死亡や廃除と共通していますが、相続放棄の場合は、代襲相続は生じません。

代襲相続する人が「養子」だった場合の注意点

相続に関して、養子は実の子と同じようにあつかわれます。したがって、養親(養子の親)が死亡したときには、その遺産を相続することができます。 そして、養親が死亡した時、すでに養子が死亡していた場合には、養子に子がいれば、その子が代襲相続することになります。 ただし、養子の子が養子縁組前に生まれていた場合には、養子の子は養親の遺産を代襲相続することはできないことに注意が必要です。 養子と養親・その親族とは、「養子縁組の日」から法的な親族関係が生じるというルールが民法で定められています。 つまり、養子縁組の日時点での養子の親族(縁組前に生まれた子)とは親族関係が生じないことになります。 そして、代襲相続のルールが適用されるためには、被相続人の「直系卑属(ちょっけいひぞく)」であることが条件になっています。 そのため、養親との親族関係が生じていない「縁組前の養子の子」には、代襲相続のルールが適用されないのです。

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