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相続

2017年05月26日

相続を「争続」にしないために…知っておきたい手続きの流れ

家族の誰かが亡くなると、悲しみにひたるのもつかの間、死亡届の提出や葬儀の準備などに追われることになります。その中で忘れてはならないのが「相続」の手続きです。 相続は、「争続」とよばれることもあるように、遺産の取り分などをめぐって相続人同士で争いになることが少なくありません。

  • 相続の手続きの流れ
  • 遺言があるかどうかで手続きはどう変わるのか
  • 相続することができるのは誰なのか
  • 取り分はどう決まるのか

この記事では、こうしたポイントを詳しく解説します。いざという時あわてないよう、この記事で手続きを確認しておきましょう。

目次

  1. 相続の手続きの流れをおさえよう
  2. 遺言書のある・なしを確認しよう
  3. 誰に相続する権利があるのか?
  4. それぞれの相続人の取り分はどのくらい?
  5. 相続財産は何かを確認しよう
  6. 遺産分割協議はどのように行えばいいのか
  7. 遺産の分配が決まったら…

相続の手続きの流れをおさえよう

相続の手続きの流れ 相続のルールでは、亡くなった人を「被相続人」、亡くなった人の権利義務・財産を受け継ぐ人を「相続人」と呼びます。 ざっくりと言えば、遺言がなければ、法律のルールで決まっている「法定相続人」が遺産を受け継ぎます。遺言があれば、その中で指定された人が遺産を受け継ぎます(「指定相続人」といいます)。

遺言書のある・なしを確認しよう

家族が亡くなって、まずしなければならないことは、市区町村の役所に「死亡届」を出すことです。死亡届は、死亡したことを知った日から7日以内、国外で死亡した場合は、そのことを知ってから3か月以内に提出する必要があります。死亡診断書も一緒に提出します。 死亡届を提出できるのは、亡くなった人の親族や同居していた人などです。亡くなった人が死亡した住所か本籍がある住所、または死亡届を出す人の住所、いずれかの市区町村の役所に提出しましょう。 次に、「遺言書があるかないか」を確認しましょう。遺言にはいくつかの形式がありますが、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が多く使われています。 自筆証書遺言とは、文字通り手書きでつくった遺言書です。手軽につくることができますが、法律で定められた形式にしたがって作成されていないと無効になってしまいます。 公正証書遺言とは、遺言を残したい人が、公証役場で公証人(元裁判官・弁護士など法律の専門家)に遺言の内容を伝えて、それをもとに公証人がまとめたものです。 公正証書遺言は手間も費用もかかりますが、専門家である公証人によって作成されるため、無効になるリスクは、自筆証書遺言とくらべてかなり低いといえるでしょう。また、原本が公証役場に保管されるので、なくしたり、偽造されたりする心配がありません。 公正証書遺言があるかどうかは、公証役場に検索してもらうことができます。検索を依頼するときは、次の資料が必要です。

  • 被相続人が死亡したという事実・被相続人と自分との関係を示す戸籍謄本
  • 運転免許証など顔写真がついた身分証

自筆証書遺言は「検認」の手続きが必要

自筆証書遺言は、家庭裁判所の「検認」という手続きを受ける必要があります。 検認とは、家庭裁判所に遺言の形式・内容などを確認してもらう手続きです。遺言書が偽造されたりすることを防ぐためにおこないます。 検認の手続きは、終わるまでに1か月ほどかかる場合もあります。封印されている場合は、検認で開封するまで内容を知ることができません。 自筆証書遺言を発見したら、すみやかに家庭裁判所で検認の手続きを受けるようにしましょう。検認について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

遺言が封印(封筒がのり付けされ、印鑑が押された状態)されている場合は、検認の手続きを経ずに開封すると、ペナルティを受ける可能性があります(5万円以下の過料)。

遺言が無効になることもある

遺言は、法律に定められた形式にしたがって作成する必要があります。形式が守られていない遺言は無効になります。 遺言が無効の場合で、相続人の間で話し合いがまとまらない場合は、民法のルールにしたがって財産を分けることになります(法定相続)。 自筆証書遺言は被相続人がルールをよく理解せずに作成することがあり、「手書きではなくパソコンで作成された」「日付や署名がない」などの理由で無効になることがあります。 一方で、公正証書遺言は、専門家である公証人がチェックした上で作成するので、その形式や内容によって無効になるケースはほとんどないと言っていいでしょう。 ただし、無効になるリスクがまったくないわけでありません。たとえば、遺言を作成した時点で被相続人が認知症だったことを理由に公正証書遺言を無効とした裁判例があります。

遺言の内容を実行してくれる「遺言執行者」とは

遺言の内容にしたがって財産を分けるには、被相続人の銀行口座から相続人の口座にお金を移したり、不動産の登記名義を変えるなど、さまざまな手続きをする必要があります。手続きには手間がかかり、法律の知識が必要になることも少なくありません。 そんな複雑な相続の手続きをスムーズに進めるために、弁護士や司法書士などの専門家を「遺言執行者」に選任することができます。 遺言執行者は、相続人の代わりに預金の名義や不動産の登記を変更するなど、遺言に書いてあることを実行するための手続きをしてくれます。 遺言執行者は、被相続人があらかじめ遺言で指定することができます。指定がなければ、家庭裁判所にふさわしい人を選んでもらうこともできます。 遺言の内容を執行するために必ず遺言執行者が必要になるわけではありませんが、遺言執行者でなければできない手続きもあります。

誰に相続する権利があるのか?

相続の手続きは、「相続人は誰なのか」ということをしっかり把握してから進めることが重要です。 遺産を分けてしまった後で、他に相続人にあたる人がいることがわかった場合、遺産を分け直さないとならなくなるからです。 遺言で相続人が誰か指定されている場合でも、法定相続人に最低限の取り分(遺留分)が認められるケースがあります。 あとになってトラブルにならないよう、相続人が誰なのかということを事前にしっかり確認しておきましょう。 遺言書がない場合、誰にどのくらい遺産を相続させるのかは、原則として民法のルールにしたがって決まります(法定相続)。 配偶者(妻・夫)、子どもなど、被相続人との関係によって優先順位・相続できる遺産の割合が決まっています。次の図のような関係になっています。 alt 被相続人の配偶者(妻・夫)は常に法定相続人になります。この他の法定相続人は、優先順位で大きく3つのグループに分かれます。 最も優先されるのは被相続人の「子・孫」のグループ(第1順位)、「子・孫」がいない場合に相続人になるのが被相続人の「父母・祖父母」のグループ(第2順位)、「父母・祖父母」もいない場合に相続人になるのが、「兄弟姉妹・甥姪」のグループです(第3順位)。 たとえば、両親が健在で、妻・子どもが2人という家族構成で被相続人が亡くなった場合、法定相続人は、妻と子ども2人(第1順位)です。両親(第2順位)は法定相続人にはなりません。 一方で、両親が健在で、妻がいるけど子どもはいないという家族構成だった場合、法定相続人は妻と、被相続人の両親となります(第2順位)。 法定相続人について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

相続人の調査は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を確認するなどして、「相続人が誰なのか」を明らかにしていきます。複雑な調査が必要となるケースもあるので、場合によっては弁護士などの専門家に調査を依頼することを検討してもよいでしょう。

それぞれの相続人の取り分はどのくらい?

この3つのグループは、相続できる財産の割合にもかかわってきます。主なパターンは次のようになります。

法定相続人 相続できる割合
配偶者のみ 配偶者が100%
配偶者と子ども(第1位順位) 配偶者1/2、子ども1/2
※子ども(孫)が複数いるときは1/2を均等に分ける
配偶者と父母(第2順位) 配偶者2/3、父1/6、母1/6
配偶者と兄弟姉妹(第3順位) 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
※兄弟姉妹が複数いるときは1/4を均等に分ける
子どものみ 子どもが100%
※子どもが複数いるときは均等に分ける
父母のみ 父1/2、母1/2
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹で均等に分ける

特別受益・寄与分が認められる場合

遺言がなかった場合は、このような割合で遺産を分け合うのが原則ですが、それでは不公平となるケースがあります。 ひとつは、被相続人が生きている間に、特定の相続人が多額の金銭的な援助を受けていたといったケースです。もうひとつは、特定の相続人が、生前の被相続人の財産を管理するなど特別な貢献を果たしていたという場合です。 こうした場合に、法定相続分のルールにしたがって財産を分けると、「特定の相続人だけが多くの財産を受け取った」といった不公平や、「被相続人に多大な貢献をしたのに他の相続人と同じあつかいだった」といった不公平を生じます。 こうした不公平を調整するための仕組みが「特別受益」「寄与分」という仕組みです。それぞれ、「援助を受けた相続人の取り分を減らす」「特別な貢献を果たした相続人の取り分を増やす」といった形で調整します。

遺言でも変えられない最低限の取り分「遺留分」

遺言の中で遺産の分け方について指定してあれば、それにしたがうことが原則ですが、全てが被相続人の思い通りに決められるわけではありません。 兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺産の最低限の取り分である「遺留分」があります。たとえば、遺言書に「遺産は全て●●に与える」と書かれていたとしても、兄弟姉妹を除く法定相続人は、自分の遺留分を主張することができます。 遺留分について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

相続財産は何かを確認しよう

相続で受け継ぐ財産は、現金や預貯金、不動産といったプラスの財産だけではありません。借金や未払いの税金など、マイナスの財産を受け継ぐこともあります。 たとえば、プラスの財産にあたるのは次のものです。

項目 具体例
金銭 現金、預貯金など
不動産 土地、家屋、建物、畑、山林、借地権、借家権など
動産 自動車、家財道具、骨董品、貴金属など
有価証券 証券、株券、小切手など
その他 ゴルフ会員権、特許権、著作権など

これに対して、マイナスの財産は次のようのものです。

項目 具体例
負債 借金、ローン、保証債務など
未払金 未払いの税金、未払いの家賃、未払いの医療費(入院費など)など

マイナスの財産がプラスの財産を上回っていたら…

財産を調べてみたら、預貯金などがほとんどなく借金ばかりだった…。そんなケースで「相続したくない」という方は、「相続放棄」という選択肢があります。 これは、その名のとおり相続する権利を放棄する手続きです。相続は、被相続人のすべての権利義務を引き継ぐため、「プラスの財産だけ相続して、マイナスの財産は放棄する」といったことはできません。 また、プラスの財産とマイナスの財産がそれぞれどの程度あるのか分からない…。そんなケースでは、「限定承認」という形で相続を認めることができます。これは、プラスの財産でマイナスの財産を相殺できる限度で相続を認めることです。 たとえば、後から被相続人の財産が預貯金100万円、借金150万円ということがわかったとしましょう。単純に相続すると、マイナス50万円ということになります。 こうしたケースで限定承認しておけば、相続を認めるのは預貯金100万円でカバーできる限度となるため、残り50万円の借金は相続しないということになるのです。 相続放棄や限定承認は、「被相続人が亡くなったこと」を知ってから3か月以内に手続きをしなければなりません。この期間を過ぎてしまうと、相続放棄も限定承認もできなくなり、「相続することを認めた」と扱われることになります。 相続放棄・限定承認について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

遺産分割協議はどのように行えばいいのか

有効な遺言書が存在する場合は、基本的には遺言の内容にしたがって相続人の間で遺産を分けることになりますが、遺言が存在しない場合は、まずは相続人同士の話し合いで遺産をどう分けるかを決めていくことになります。「遺産分割協議」といいます。 遺産分割協議は、相続人全員ですすめる必要があります。相続人が一部が参加しないでされた遺産分割協議は無効です。 相続人全員で合意が成立すれば、遺産をどのように分けることも自由です。さきほど、「法定相続分」のルールや、「遺留分」の仕組みについて説明しましたが、全員の合意さえあれば、これらのルールにしたがう必要はありません。

協議がまとまらなければ、遺産分割調停・審判へ

財産の分け方について、話し合いではまとまらない場合、家庭裁判所での「調停」か「審判」という手続きを利用することができます。 調停では、裁判官と専門知識がある調停委員が間にはいり、対立している相続人の言い分をそれぞれ聞いた上で、客観的で公平な観点から財産の分け方についてアドバイスをしてくれます。 調停はあくまで話し合いでの解決をめざす制度なので、調停委員の示す遺産分割案に相続人が一人でも反対した場合は、調停は不調に終わります。 その場合、原則として手続きは審判に移り、裁判所にどのように遺産分割するか決定してもらうことになります。

土地などの財産はどうやって分けるのか?

主な遺産分割の方法は、(1)現物分割(げんぶつぶんかつ)、(2)換価分割(かんかぶんかつ)、(3)代償分割(だいしょうぶんかつ)の3種類です。 (1)現物分割は、「あの土地はAさんに、この株券はBさんに…」というように遺産そのものを分配する方法です。 (2)換価分割は、土地や株券などを売却して、いったんお金に変えて、それを分配する方法です。 (3)代償分割は、「この土地をAさんに分配すると、Aさんが相続分以上遺産を受け取ることになってしまう…」といった場合に、Aさんが土地をもらう代わりに、「とりすぎ」の分を他の相続人に金銭などで補てんする方法です。

遺産の分配が決まったら…

遺産分割協議などを経て、誰にどの財産を分配するのかが決まったら、土地などの不動産は名義変更、銀行預金であれば払い戻しの手続きをしましょう。 相続財産が一定額を超える場合は、相続税を納める必要があります。相続税は、相続人が相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付する必要があります。

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