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相続分 : 法定相続分とは?遺産の割合や計算、例外

相続した口座と不当利得請求権について

父からの相続で、相続人は私と妹の2人です。

父は生前、事業を営んでおりその売上用の口座を、私が相続することになっていました。そのため、私は父の生前から預金を引き出し、自宅購入や教育費として大半を使ってきました。一方、遺言では、自宅や株式、その他債権は、妹が相続することになっていました。

父が亡くなると、妹は私が口座から引き出したお金は不当利得に該当し、その請求権は全額妹が相続するのだから、引き出した全額を返せと裁判を起こされてしまいました。

父の口座は私が相続する筈のもので、現金で残っているものもありますが、妹に返さないといけないのでしょうか。
> 私は父の生前から預金を引き出し、自宅購入や教育費として大半を使ってきました。

そのことを父が承諾していれば贈与になり、不当利得にはなりません。ただ、自宅購入の費用などは、特別受益になる可能性が高いことになります。
(1)妹さんの主張について
 お父さんの遺言書により妹さんが相続するのは、あくまで相続が発生した時点での預金債権です。
 従って、お父さんの生前にあなたが自分のために預金を使っていたとしても、その時点では預金は妹さんのものではないのだから、当然に妹さんがあなたに不当利得返還請求権があるとは言えません。

(2)不当利得について
 もっとも、あなたのケースで、一切不当利得返還請求権が成り立たないわけではありません。
 あなたがお父さんの預金を引き出して自分のために使っていた場合、原則として、お父さんは、あなたに対し、お金を返すように請求することができます。
 つまり、妹さんではなく、あくまでお父さんがあなたに対して不当利得返還請求権を持つのです。
 そして、お父さんが亡くなった時点で、あなたに対する不当利得返還権を、遺言書に基づいて、妹さんがお父さんから相続した、という論理は成り立ち得ます。

(3)お父さんの承諾があった場合
 以上に対し、あなたがお父さんの預金を自分のために使うことについてお父さんの承諾を得ていた場合は、不当利得にはなりません。
 なぜなら、あなたはあくまでお父さんから贈与を受けていたと考えられるからです。
 もっとも、お父さんの承諾があったことについて立証すべき立場にあるのはあなた自身です。
 そして、お父さんがどのような意思であったかについて、明確な書面はないのではないかと思います。
 まして、お父さんの遺言書では、債権は妹さんが相続するとされていたのですから、あなたのおっしゃることは遺言書と矛盾しているように見えます。
 従って、あなたにとって、立証は容易ではないことが予想されます。

(3)時効について
 仮にあなたがお父さんの承諾を立証することができなかったことにより、お父さんのあなたに対する不当利得返還請求権が成立したとしても、一部は時効になっている可能性があります。

あと少しですが、字数制限の関係で、一旦投稿します。
続きです。

(5)特別受益について
あなたのケースでは、仮にお父さんの承諾を立証できたとしても、あなたが贈与を受けたことにより、お父さんの相続との関係では特別受益に当たる可能性があります。

もっとも、お父さんの遺言書の内容から、妹さんの遺留分は確保されているであろうこと、また、遺言書が存在することにより、遺産分割の対象となる財産はおそらく残されていないであろうことから、特別受益の存在自体は、おそらく大きな問題ではなさそうです。

(6)専門家の利用について
既に訴訟が起こされており、相手に弁護士が付いていることから、あなた自身も、一刻も早く弁護士に依頼されることをお勧めします。

特に、あなたのケースでは、お父さんの生前の承諾をどのように立証するかがキーポイントであるところ、仮に弁護士が付いたとしても簡単ではないと思われるので、ましてや素人のあなたが一人で太刀打ちできる状況にはありません。

また、インターネットや市役所等の相談は、その度ごとに回答者も異なるので、相談を繰り返しても統一的な方針で臨むことができず、訴訟には向きません。

早くお近くの弁護士さんに相談することを強くお勧めします。
加藤先生のご指摘通りの状況です。大変詳細にありがとうございます。

時効については、不当利得なら10年と思いますが、不法行為による損害賠償請求をされると20年分請求されてしまうのでしょうか。私が父の口座のお金を使っていたのは、父も妹もずっと知っていたことは確かで、このような事になるとは考えておりませんでした。
> 遺言では、(自宅や株式)その他債権は、妹が相続することになっていました。

・・・父があなたに有していた不当利得返還請求権を妹が相続すると考えられます。

> 時効については、不当利得なら10年と思いますが、不法行為による損害賠償請求をされると20年分請求されてしまうのでしょうか。

・・・父も承諾していなかったとなれば 無断での使用となり不法行為に該当する可能性がありますが 父がそれを知ってから3年経過しているということで3年の時効消滅を主張できると思います。
時効は、不当利得で10年、不法行為で3年ですので、あなたのケースのような状況では、通常、返還を求める側が不当利得を主張します。

実務上は、不法行為で20年の除斥期間は、めったに目にしません。通常は、どこかの時点で被害者が損害及び加害者を知っている状況になるため、そこから3年が経過しているからです。

あなたのケースでも、金額から考えてあなたが預金を下ろしていることをお父さんが知らなかったということは考えにくいので、様々な状況からあなたがそのことを立証し、3年の経過をもって時効を主張することになるものと思われます。

訴訟期日が迫ってきていると思いますので、早めにお近くの弁護士さんに直接相談されることをお勧めします。弁護士の側も、最初に相談を受けてから答弁書を書くまで準備の時間が必要です。
先生方、ご回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。参考にさせていただきます。

困った相談者さん
2017年01月03日 22時50分

みんなの回答

松丸 伸一郎
松丸 伸一郎 弁護士
弁護士ランキング 登録弁護士が過去30日における弁護士ドットコム内で行った活動(みんなの法律相談での回答など)を独自に数値化、ランキングしたものです。 千葉県3 遺産相続に注力する弁護士
ありがとう

2017年01月03日 23時53分

加藤 尚憲
加藤 尚憲 弁護士
遺産相続に注力する弁護士
ベストアンサー
ありがとう

2017年01月04日 00時48分

加藤 尚憲
加藤 尚憲 弁護士
遺産相続に注力する弁護士
ありがとう

2017年01月04日 01時01分

困った相談者 さん (質問者)

2017年01月04日 07時01分

森田 英樹
森田 英樹 弁護士
弁護士ランキング 登録弁護士が過去30日における弁護士ドットコム内で行った活動(みんなの法律相談での回答など)を独自に数値化、ランキングしたものです。 大阪府9 遺産相続に注力する弁護士
ありがとう

2017年01月04日 09時05分

加藤 尚憲
加藤 尚憲 弁護士
遺産相続に注力する弁護士
ありがとう

2017年01月04日 10時22分

困った相談者 さん (質問者)

2017年01月04日 11時14分

この投稿は、2017年01月03日時点の情報です。
ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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