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遺言執行者

2017年06月20日

遺言の内容を実現する「遺言執行者」の役割・選任する方法

亡くなった方の遺言にしたがって実際に財産を分けるには、預金口座や土地の名義変更など、さまざまな手続きをする必要があります。手間や時間がかかるものも少なくありません。 そうした手続きをスムーズに進めるために選任されるのが「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」です。遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な全てを行います。

  • 遺言執行者の役割
  • 遺言執行者を選任する方法

この記事ではこうしたポイントを詳しく紹介していきます。

目次

  1. 遺言執行者とは?
  2. 遺言執行者の選び方
  3. 必要な書類
  4. どんなことをするのか
  5. 遺言執行者を辞めさせる方法、辞める場合

遺言執行者とは?

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な手続きを全て行う人です。 相続の手続きは、相続人が自ら進めることもできますが、中には手続きが複雑なものも少なくありません。また、相続人の一人が勝手に相続財産を処分するなど、トラブルが発生することもあります。 遺言執行者を選任しておけば、トラブルを避け、スムーズに遺言の内容を実現することができます。

遺言執行者の選び方

被相続人(亡くなった方)が、遺言で遺言執行者を指定している場合には、その者が遺言執行者となります。ただし、未成年者と破産した人を選任することはできません。 遺言で指定されていない場合、相続人や被相続人の債権者、遺言で財産を譲り受けた人などが家庭裁判所に申し立てて、遺言執行者を選任することができます。 遺言執行者を指定されていた場合でも、指定されていた遺言執行者が死亡していた場合や遺言執行者に指定されていた人が就任を拒否した場合は、改めて選任することになります 遺言執行者は、相続人の中から選任することもできますが、遺言執行者となる相続人と他の相続人との間で利害が対立し、トラブルになる可能性があります。 そのため、相続人のうちの一人を遺言執行者に指定する際は、よく検討することをお勧めします。 遺言執行者には、弁護士や司法書士などの専門家を選任することができます。また、信託銀行などの法人を選任することもできます。

必要な書類

申立て先は、亡くなった人が最後にいた住所地を管轄する家庭裁判所です。必要となる主な書類は次のとおりです。

  • 申立書
  • 遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
  • 遺言執行者の候補者の住民票、または戸籍附票
  • 遺言書の写し、または遺言書の検認調書謄本の写し
  • 利害関係を証明する資料(親族の場合は戸籍謄本など)

申立ての費用として、執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手が必要です。申立書の書式と記載例は裁判所のHPからダウンロードすることができます。

どんなことをするのか

遺言執行者は、まず、相続人に対して、自分が遺言執行者になったことを通知します。 次に、相続人全員の戸籍を集めて、誰が相続人なのか確定し、相続財産を一覧にまとめた財産目録を作り、相続人に交付します。 そして、相続に必要な一切の行為を行います。たとえば、預金口座の名義変更や預金を払戻しして送金すること、不動産の登記名義を変更することなどです。そのほかにも、遺言の内容にしたがって次のようなことなどを執行します。

  • 遺贈(遺言によって財産の一部か全てを誰かにあげること)があった場合、遺贈を受ける人への財産の引き渡し(登記申請も含む)
  • 一般財団法人の設立
  • 祭祀(さいし)承継者(仏壇やお墓の管理などをする人)の指定
  • 生命保険金の受取人の指定と変更

これらは本来相続人も行うことができますが、遺言執行者が選任された場合は、相続人が遺言執行者に代わって相続財産の処分などを行うことができなくなります。 相続人がこれを行ってしまっても無効です。遺言執行者が指定されている場合、その者が未だ承諾していないうちに勝手に相続人がした処分であっても、やはり無効になります。

遺言執行者を選任しなければならない場合

遺言に書かれたことを実現するために、どんな時でも常に遺言執行者が必要なわけではありません。 ただし、「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)の認知」「相続人の廃除・取消」という2つの手続きを行うためには、遺言執行者が必要です。

非嫡出子の認知

結婚していない男女の間に生まれた子のことを「非嫡出子」といいます。 非嫡出子は、父親である男性が「自分の子だ」と認めなければ(認知)、相続人にはなれません。父親である男性が認知をするためには、「認知届」を子どもの本籍地か住所地の役所に提出します。 父親である男性が、自分が生きているうちに認知の手続きをしなかった場合、遺言で、子どもを認知することができます。 このとき、亡くなった男性の代わりに認知届を提出できるのは、遺言執行者だけです。 子どもは認知されることで優先順位の高い相続人となり、他の相続人と利害が対立するため、他の相続人に任せることは不適切と考えられているからです。

相続人の廃除・取消

「廃除」とは、遺言者の意思によって、相続人から相続する権利を奪うことです。 たとえば、被相続人が生前、子から日常的にひどい暴力を受けていて「この子に財産をあげたくない」と考えたとしましょう。 こうした場合、家庭裁判所に子を相続人から排除することを申し立て、審判をおこなって、子に財産を相続させないことができます。 後で心変わりして、「やはり相続人にしたい」と考えた場合は、家庭裁判所に廃除の取消しを求めることができます。 被相続人が、遺言で、このような相続人の廃除・その取り消しの意思を表示した場合には、 遺言執行者が、家庭裁判所で手続きを行います。 相続人の廃除・その取り消しは、他の相続人と利害が対立するため、相続人が行うことは不適切だからです。

遺言執行者を辞めさせる方法、辞める場合

遺言執行者が、財産を移転する手続きを進めてくれないなど、その職務をきちんと果たしていない場合には、家庭裁判所に遺言執行者の解任を求めることができます。 たとえば、つぎのような場合です。

  • 相続財産目録を相続人に交付することをおこたった。
  • 相続人が請求したのに、事務処理の状況を報告しなかった
  • 相続財産を管理するにあたって、注意義務をおこたった

また、この他にも正当な理由がある場合には解任を求めることができます。たとえば、次のような場合です。

  • 遺言執行者が一部の相続人に加担して、公正な遺言の実現が期待できない
  • 遺言執行者が病気・多忙などで、円滑に遺言を執行することが期待できない

さらに、遺言執行者自身も、正当な理由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、遺言執行者を辞めることができます。 この正当な理由とは、たとえば高齢・疾病や、長期の出張、業務多忙などの場合です。

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