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夫の趣味のコレクションを「断捨離」ーー妻が問われる法的責任

大掃除のシーズンがやってきました。「断捨離」ブームも衰えず、クーローゼットや押入れなど、あらゆる場所に潜む「不用品」に目を光らせる主婦の方も多いでしょう。

ネットにも、「断捨離」をめぐる様々な投稿がされています。1つのテーマが、妻から見たら「不用品」にうつる夫の趣味のコレクションが巻き起こす問題です。

筋トレ用品、ゴルフ用具、フィギュア、カメラなど、夫にとっては大切なもの。しかし「使っていないじゃない。本当に必要なの?」と一言物を申したくなる妻たちもいるようです。

中には「こっそり捨てました」という方も・・・。

でも、それって本当に問題ないのでしょうか? 夫の私物の「断捨離」にどんな注意が必要なのか、もし捨てられた側が離婚を希望したらどうなるのか。尾崎 博彦弁護士にお話をうかがいました。

ポイント1  「特有財産」を処分するのはダメ

夫婦間におけるこのレベルのトラブルは、法律的な解決以前に、両者で考えるべきことはあると思うのですが・・・。今回は、法律上の見解を示してみたいと思います。

夫の私物を「勝手に捨ててしまおう」と妻が考える背景には、「夫婦はすべてを共有してる」という思い込みがありそうです。しかし、共有だからといって相手の承諾なく勝手に処分して良いわけはありませんし、そもそも夫婦とはいっても、すべての持ち物が「共有」されるわけではありません

民法が定めた「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産」である「特有財産」は、「夫婦の一方が単独で有する」性質のものです。

したがって、夫婦それぞれが手に入れた趣味の品などは「特有財産」に該当します。たとえ夫婦であるとしても、これを勝手に処分することは出来ません。

夫が大事にしているゴルフ用品やカメラなどは「不要品」に見えたとしても、妻にとっては「他人の物」です。これを勝手に捨ててしまった場合には、夫婦間であっても、「器物損壊罪」が成立する可能性があります。

ただし、「誰が見てもゴミ!」といえる物を捨てた場合は「器物損壊罪」にあたるかは疑問です。そうでない場合でも夫からの告訴がないと処罰できません(刑法264条・親告罪)。

また仮に、夫が告訴しても、客観的に価値のない物であれば、通常はたいした処罰を受けることはないと考えられます。

ポイント2  夫は「損害賠償請求」することができる

ところで、刑事事件になるかどうかは別にして、夫は妻に対して損害賠償請求が可能です。この場合、捨てられた物の価値によって判断は異なります。

本人だけが大事な物と思っている「がらくた同然」の物については、特別な場合を除き,主観的な価値は法的に保護されませんので、慰謝料の請求も難しいでしょう。

これに対し、捨てられた物が高額品である場合には、損害賠償請求も覚悟しなければならないと考えられます。ただ、高価な物を「がらくた同然」に放置していたとすれば、「過失相殺」により、損害額が大幅に減額されるかも知れません。

では、私物を捨てられた側が「断捨離」を理由に離婚を希望した場合、離婚事由として認められるのでしょうか。

裁判における離婚事由として、それだけで認められるとは考えにくいです。ただ、こういった点の積み重ねから「性格の不一致」等により「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められる場合には、離婚原因の一つになると思われます。

取材協力弁護士 尾崎 博彦 (おざき ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員
尾崎法律事務所

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