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気がつけば「元夫」になっていた…勝手に出された「離婚届」への対応策

気がつけば、自分は離婚していたーー。いったい何の話? と思うかもしれませんが、弁護士ドットコムの法律相談をはじめ、ネットには「(パートナーに)離婚届を勝手に出されていたため、自分は離婚していた・・・」、そんな当事者の方からの投稿が寄せられています。

ある男性のケースでは、「夫婦喧嘩の翌日、妻が子供を連れて出て行きました。するとその数日後、『離婚届を出したから』とメールが届きました」。ただの喧嘩と思っていた男性にとっては、青天のへきれきでした。離婚届には「判も押していないし、用紙すら見たことがない」といい、妻と離婚したいとも考えていません。

離婚届には夫婦それぞれの名前と署名、また話し合いで離婚する「協議離婚」では証人2名の署名も必要です。男性のケースでは、男性の意思に反して、妻が勝手に作成したものですが、離婚する他ないのでしょうか? また、離婚届を一方的に出されてしまった場合、撤回するにはどうすればいいのでしょうか? 中西祐一弁護士に詳細な解説をしていただきました。

A. 裁判所に「調停」か「訴訟」を申し立てれば無効にできる

離婚届を提出することによって行う離婚を、「協議離婚」といいます。「協議離婚」が有効に成立するためには、(1)夫婦双方に離婚の意思があること、(2)離婚届が提出されること、という二つの要件が必要です。夫婦の一方が、勝手に離婚届を作成して提出した場合は、離婚は無効となります。

もっとも、市役所等の戸籍係には、夫婦に本当に離婚する意思があるかどうかを確かめる権限はありません。そのため、妻が勝手に作成した離婚届であっても、戸籍係に受理されてしまう可能性があり、そうなれば、戸籍上は離婚したことになってしまいます。

このような場合、まずは家庭裁判所に、「協議離婚無効確認」を求める調停を申し立てる必要があります。調停での話し合いの結果、離婚が無効であると夫婦双方が合意し、裁判所がその合意を正当と認めれば、戸籍の記載を訂正することができます。合意が成立しない場合は、「協議離婚無効確認」の訴えを提起し、勝訴すれば戸籍の記載を訂正できます。ただ、調停や訴訟を申し立てるには手間もお金もかかります。

相手が勝手に離婚届を提出することを予防できるなら、これに越したことはないでしょう。夫婦仲があまり良くないなどで、相手が勝手に離婚届を提出しそうな場合には、前もって「離婚届の不受理申出制度」を利用することをお勧めします。この制度を利用すると、申出をした本人が戸籍係の窓口で本人確認手続を行わない限り、離婚届は受理されません。

ところで、今回のケースで、ご相談者は離婚届について、「判も押していない上、用紙さえ見ていません」と言っています。恐らく、妻は夫の同意なく離婚届に夫の名前を書き、捺印して提出したのでしょう。

実は、このような妻の行為は、有印私文書偽造罪という犯罪です。また、離婚届を戸籍係に提出する行為は偽造有印私文書行使罪に、さらにその結果、戸籍に実態とは異なる記載をさせることとなれば公正証書原本等不実記載罪にあたります。このように、勝手に離婚届を作成して提出する行為は、重大な犯罪行為なのです。

万が一、離婚届を勝手に出されてしまった場合、もとの生活を取り戻すためには、「妻に戻ってきてほしい」「子供を返してほしい」など、離婚届を無効にして戸籍を訂正するだけではなく、様々な対応が必要となります。一日も早く、弁護士にご相談下さい。

取材協力弁護士 中西 祐一 (なかにし ゆういち)弁護士
金沢弁護士会所属。 地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。
中西祐一法律事務所

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