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介護に疲れた父が「離婚したい」…裁判所はどう判断する?

配偶者の介護では、精神的、体力的な負担感から「介護がつらいから、離婚したい」とまで、追い詰められることがあるようです。

弁護士ドットコムの法律相談にも「80歳の父が、75歳の認知症の母の介護をしていましたが、体力の衰え、精神的にも限界だと離婚をしようとしています」との相談が寄せられました。相談した娘さんは、父親の態度に腹を立てているようです。裁判所はこうした場合、離婚を認めるのでしょうか?

小澤和彦弁護士に詳細な解説をしていただきました。

A. 「症状の重さ」「離婚後の生活支援」が判断の決め手

認知症と一口に言っても、症状の程度は様々です。最近、ちょっと物忘れが出てきたという程度であれば、裁判で離婚が認められることはありません。

ただし、夫婦間で話し合って離婚届を提出する、「協議離婚」であれば、認知症の配偶者の方が離婚の意味内容を理解している限り、離婚は可能です。

認知症の程度が重く、離婚届にサインすることの意味すらよく分からないような状態であれば、協議離婚は無効になるので、裁判で離婚を求めることになります。

しかし、相手は認知症ですから、裁判を起こされても訳が分からないでしょう。そこで、相手に成年後見人をつけ、本人ではなく成年後見人を相手に離婚訴訟を提起します。

では、裁判で、「認知症である」ことを理由に、不貞や暴力の場合と同じように、裁判所に離婚を認めてもらえるのでしょうか。

民法では五つの離婚理由が規定されていますが、その一つに「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という理由があります。

しかし裁判上では、認知症だから精神病であり、症状が強度なら離婚を認める、というように、単純な解釈はされないのです。

それでも、離婚が認められる可能性はあります。民法上の離婚理由には、「婚姻を継続し難い重大な事由」という規定があります。

認知症の配偶者を、毎日お世話しているのに、相手は自分の顔さえ分からない。それどころか、「よそ者は家から出て行け」と罵倒される。そんな状況であれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断される可能性が高いでしょう。

ただ、裁判所は、症状の重さだけに着目しているわけではありません。認知症である相手が、離婚後もきちんと生きていけるような手当てがなされているか? ということも、離婚を認めるか認めないかの重要な判断材料です。

例えば、「相手に資産があり、成年後見人がついて資産管理をしてくれる」「面倒を見る親族がいる」「役所の担当者と話をして、生活保護が下りる予定になっている」など、相手が離婚後も安心して生活できる状況が整っていると主張・立証することが必要です。そこまでしなければ、離婚はなかなか認められないと言えます。

取材協力弁護士 小澤 和彦 (おざわ かずひこ)弁護士
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会委員。
弁護士法人 東京多摩法律事務所

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