財産分与

弁護士監修記事 2017年08月21日

離婚時の「財産分与」で「住宅ローン」が残っていたら…対処法を詳しく解説

離婚をするとき、結婚している間に貯めたお金や不動産、車などの財産を夫婦で分け合うことを、財産分与といいます。 財産分与の対象には、プラスの財産だけではなく、住宅ローンなどのマイナスの財産(債務)も含まれます。離婚するときには、こうしたマイナスの財産も夫婦で分けることになります。 この記事では、住宅ローンの返済が残っている場合の財産分与の方法について詳しく解説します。

  • 住宅ローンが残っていたら財産分与はどうなる?
  • 住宅を売る場合のローンの処理方法
  • 夫婦の一方が住み続ける場合のローンの処理方法

目次

  1. 住宅ローンが残っていたら財産分与はどうなる?
  2. 住み続けるか、売るかを選ぶ
    1. 夫が住み続ける
    2. 妻が住み続ける
    3. 住宅を売る
  3. 住宅ローンの財産分与をする場合、まずは話し合いを

住宅ローンが残っていたら財産分与はどうなる?

alt 結婚してから買った住宅は、原則として共有財産であり、財産分与の対象となります。しかし、その住宅にローンが残っている場合、ローンの処理をどうするか考えなければなりません。 まずは、住宅の「評価額」(市場価格)を算出し、ローンの残高と比較してどちらの額が大きいかを確認します。評価額とは、土地や建物を金銭的な価値に換算した場合のその金額のことです。 評価額は時期によって変わるので、財産分与の時点での評価額を算出します。そのとき、基準になるのは「今売ったらいくらで売れるか」であって、「いくらで買ったか」は考慮されません。 また、固定資産税を納める際に基準となる固定資産税評価額とも異なります。通常、固定資産税評価額は、市場価格の7~8割程度と低く設定されています。 住宅など不動産の評価額は個人で調べると、後々「本当はもっと価値があるのに、ごまかしているのでは?」と疑われるなど、トラブルの元になる可能性があります。 不動産業者や不動産鑑定士などの専門家に査定を依頼することをお勧めします。不動産業者の簡易査定であれば、無料で可能であり、複数の業者から相見積りを取るべきでしょう。

住み続けるか、売るかを選ぶ

alt 住宅の評価額を算出したら、その額がローン残高より大きい(アンダーローン)か、小さい(オーバーローン)かを確認します。 その上で、以下の3つの選択肢からどれを選ぶか、夫婦で決めます。

  • 夫が住み続ける
  • 妻が住み続ける
  • 売る

住宅の評価額がローン残高より大きい(アンダーローン)場合、そのプラスの部分については財産分与の対象となります。これは、夫婦のいずれかが住宅に住み続ける場合であっても同様です。 たとえば、評価額が2000万円でローン残高が1000万円とすると、差額の1000万円が財産分与の対象となります。 財産分与の割合が2分の1ずつとすると、住宅を出ていく夫婦の一方は、他方に対して、1000万円の2分の1である500万円を請求することができるということです。 それでは、以下において、「住宅の名義もローンの債務者も夫」というケースを想定して処理の方法を紹介します。

夫が住み続ける

住宅を売らずに、夫が住み続けることを選んだ場合、債務者である夫が引き続きローンを返済していくことになります。 このケースで注意したいのは、妻も連帯保証人として、ローンを負担している場合です。この場合、妻は住宅を出て行った後も、金融機関への返済義務を引き続き負うことになります。 妻が返済を免れるためには、金融機関と交渉して、連帯保証人から外してもらわなければなりません。 ただし、保証人を外れることは難しく、外してもらえたとしても、新たな保証人や、一部前倒しでの返済を求められるといった可能性があります。 財産分与の手続きをスムーズに進めるために、住宅ローンの契約書を見て、妻が保証人などになっている場合は、前もって金融機関と保証人を外れる条件を話し合っておくといいでしょう。

妻が住み続ける

ローンの債務者も住宅の名義も夫というケースで、夫が住宅を出て、妻が住み続ける場合、処理の方法にはいくつかのパターンがあります。 子どもがいる場合、一般論として、母親が親権を取得することが多いです。そして、母親が引っ越しをするとなると、当然、子どもも一緒に引っ越すことになり、転校が必要となる場合もあります。 そこで、母親(=妻)が、もともとの住居に住み続けることを希望することも多く見受けられます。

住宅の名義を妻に変更し、ローンは夫が返済する場合

妻が住宅の所有権を取得することを希望したものの、収入がない場合などは、「夫がローン返済を負担し、妻が住み続ける」と夫婦で取り決めることが考えられます。 もっとも、住宅ローンが残っている以上、金融機関がその住宅に抵当権を設定しているのが通常です。そこで、住宅の名義を変更するに当たっては、その金融機関の承諾が必要となります。 基本的に、物件所有者とローン債務者が異なることについて、金融機関としては受け入れ難く、あまり現実的ではない方法かもしれません。 また、仮に住宅を妻の所有とすることができても、住宅の評価額がローンの残高より大きい(アンダーローン)場合、プラスの部分は財産分与の対象になるため、評価額からローンの残高を引いた金額の半分について、妻から夫への支払いが必要になる可能性があります。 不動産以外にも財産がある場合は、その他の財産によって調整することになるでしょう。

住宅の名義とローンの債務者を夫のままにする場合

この場合、妻は、夫所有の住宅に居住するということになります。家賃を支払えば「賃貸借」、無償であれば「使用貸借」という契約の形で利用することになります。 所有者である元夫が亡くなった場合、その住宅の相続人から退去するよう言われてしまう可能性があるので、契約期間や諸条件について、書面で残しておくことが大切です。

妻に経済力があれば、夫に月々のローン返済額にあたるお金を家賃として支払うといった取り決めをすることもできます。この方法であれば、債務者は夫のまま、事実上は妻が返済の義務を負うことになります。

住宅の名義と債務者を妻に変更する場合

夫に代わって妻が住宅の名義とローンの返済義務を負うというケースです。 債務者の変更は、当事者の合意だけではなく、金融機関の許可を得なければなりません。妻の収入や資産の状況が調査され、債務者を変更できるかどうかが審査されます。 このような選択肢を考えている場合は、前もって借り換えの条件などを金融機関と話し合い、現実的なやり方を模索する必要があるでしょう。

住宅を売る

評価額>住宅ローン残高(アンダーローン)の場合

住宅の評価額がローン残高より多い場合、住宅を売って現金に変え、ローン残高を返して残ったお金が財産分与の対象となります。 このお金を夫婦で分ければ(原則2分の1ずつ)、住宅の財産分与は完了です。

評価額<住宅ローン残高(オーバーローン)の場合

ローン残高が住宅の評価額を上回る場合、住宅を売ってもローンが残ってしまいます。 たとえば、評価額が1000万円、ローン残高が1500万円の場合には、住宅を売っても500万円のローンが残ります。 では、この500万円のローンを夫婦2人で半分ずつ返済していけばいいのかというと、そう単純な話でもありません。 ローンはあくまでも、借り入れのときに債務者や保証人になった人が返済しなければなりません。借金は、貸し手が借り手の資産や収入、職業などを審査した上で貸しているので、借り手の判断で勝手に2つに分けることはできないのです。 とはいえ、夫婦の一方だけがローンの返済を負担するのは不公平に思えます。そこで、夫婦間の不公平を調整するために、現金や預金など他の共有財産でローンを返済し、残った財産を夫婦で分けるといった方法が考えられます。 もしローンを支払っていくことが難しい場合、最後の手段として、自己破産を申し立て、免責許可決定を得ることによって、ローンの残高をゼロにするという方法も考えられます。

住宅ローンの財産分与をする場合、まずは話し合いを

alt 財産分与について夫婦間で話し合い、お互いが納得すれば、分け方などは自由に決めることができます。 もっとも、住宅ローンや借金の処理が必要な場合は、法律の専門知識が求められることがあります。夫婦で話し合ってもどう対処すべきかわからない場合、弁護士など専門家のアドバイスを受けることを検討してもいいでしょう。 夫婦間の話合いでまとまらない場合には、離婚調停・財産分与請求調停や審判、離婚裁判といった家庭裁判所の手続の中で、財産分与の方法を決めていくことになります。そのとき作成される調停調書・審判書や判決書といった文書に従って、財産分与が行われます。

家庭裁判所を通じた手続を用いる場合は、話し合いによる財産分与の場合以上に専門知識が必要になるため、法律の専門家のアドバイスの必要性がより高まります。 離婚の際に財産分与の取り決めをせず、離婚後に話し合って決めることが難しい場合でも「財産分与請求調停」を申し立てれば、財産分与を求めることができます。 ただし、財産分与を請求できる期間は、離婚した時から2年以内という期間制限があるので注意が必要です。

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