親権を放棄したい場合の対処法

親権を取得したものの、海外出張や重い病気を患ってしまい、子どもを満足に育てることができない場合もあるでしょう。通常は親権の放棄は認められていませんが、止むを得ない事情があれば、親権の一部または全てを他人に委託することができます。どのような選択肢があるのかを知り、子どもにとって最良の選択を考えましょう。

目次

  1. 親権は本来放棄できない義務である
    1. 親権の委託が認められる場合
  2. 親権を委託する方法
  3. 監護者の指定
  4. 親権者変更調停
  5. 親権辞任の審判
    1. 後見人の選定
  6. 親権者が変わったら戸籍も変更する
    1. 子どもの戸籍は移動しない

親権は本来放棄できない義務である

親権は、子どもと一緒に生活し世話を行う「監護権」と、子どもの財産を管理する「管理権」から成り立っています。これらの役割は親権者にとっての義務であり、安易に放棄することは認められません。

親権の委託が認められる場合

裁判所は親権者を決定する際には、子どもが健全に成長できるかどうかを重視します。そのため、親権者を変更することが子どもの利益になる場合を除いて、親権者の変更が認められることはありません。 親権者が自身から親権を放棄し、親権者を変更する場合には、親権者としての役割を果たせないようなやむを得ない事情が必要です。以下のような理由であれば認められる可能性があります。

  • 親権者が重い病気にかかった
  • 親権者が子どもを残して海外出張に行かなければならない
  • 親権者が受刑することになった

このような状況になったら、もう一方の親や自身の親族など、子どもの養育に適切な人物に相談しましょう。

親権を委託する方法

状況に応じて、以下の手段で変更を行います。

  • 監護者の指定
  • 親権者変更調停
  • 親権辞任の審判

監護者の指定

親権のうち監護権のみを他人に移転し、子どもと暮らし世話をする監護者となってもらいます。話し合いだけで済ませられるため、一時的な子どもの委託に適しているでしょう。 監護者はもう一方の親だけでなく、祖父母もなることができます。祖父母と同居し、自身が仕事に出ている時間に、子どもの世話をしてもらっている場合には、祖父母に監護者となってもらうのがよいでしょう。 経済力、健康面、子どもとの関係に大きな問題がなければ、もう一方の親を監護者に指定することも可能です。しかし、転校などの環境変化は極力なくすことが望ましく、長期の海外出張が定期的に発生し、何度も転居が生じるようであれば、親権者の変更も視野に入れた方がよいでしょう。

親権者変更調停

長期的に子どもの世話ができず、もう一方の親へ親権を移すのがふさわしいと考えられる場合には、相手に相談し、親権者変更調停を申し立てましょう。詳しい流れについては「親権者を変更や剥奪・停止が認められる理由と手続き方法」をご覧ください。

親権辞任の審判

もう一方の親が親権者にふさわしいとは限りません。そのような場合に親権者による権利行使が困難となったケースでは、「親権辞任」を申し立て、裁判所に許可を求めます。辞任が認められると、代わりに子どもの世話を行う「未成年後見人」を指定し、親権者の役割を努めてもらいます。 事情が変化して権利行使が再び可能となれば、親権を回復するよう申し立てることもできます。しかし、後で回復が可能であるとはいえ、親権を完全に移転することになるため、申立ては慎重に行いましょう。

後見人の選定

未成年後見人とは、子どもの養育や財産の管理について責任を負う代理人のことで、裁判所が対象者の職業、子どもとの関係などを考慮して決定します。祖父母などの親族から選ばれることが多いですが、弁護士などの第三者から選ばれることもあるほか、養護施設を運営する団体や社会福祉法人などのように、複数名、また法人が務めることもできます。 通常は子どもをよく知っている親族に頼むのがよいのですが、それが難しいようであれば、養護施設を探すなどの方法を検討しなければなりません。

親権者が変わったら戸籍も変更する

子どもは、戸籍上に親権者の名前が記されるようになっているので、親権者を変更したら、併せて各市町村の役所に戸籍の変更を届け出ます。審判の確定から十日以内に、裁判所の作成した調停調書または審判書を持参し、子どもの戸籍を管理する役所で手続きを行います。 なお、監護権のみ変更する場合には、この手続きは必要ありません。

子どもの戸籍は移動しない

この手続きは、親権者名の表記を修正するためのもので、子どもの戸籍が移転する手続きではありません。親権を得ることとなったもう一方の親が、自分の戸籍に子どもを入れたいと希望するのであれば、別途手続きを行います。

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