
不倫の基準と離婚や慰謝料を請求する方法
不倫されていたと知ったときには、怒りや悲しみが溢れ、取り乱したくもなるでしょう。しかし、浮気・不倫をやめさせたい、相応の補償を受けたい、離婚したい、と思ったら、まずは冷静な対処が求められます。不倫の場合には慰謝料や離婚の請求が可能ですが、具体的な証拠が必要となり、場合によっては裁判まで発展する可能性もあります。不倫・浮気の基準や証拠、解決方法を学び、適切な対応を取りましょう。
目次
不倫や浮気の基準・不貞行為とは
一口に不倫・浮気と言っても、その定義は人ぞれぞれの価値観によって異なるでしょう。法律では「本人の意思で配偶者以外の異性と性交渉を行う」ことを不貞行為と定めており、ここでは不貞行為の伴う浮気を不倫と呼ぶことにします。不倫は不法行為ですので、離婚原因としても認められ、配偶者と不倫相手の両者に慰謝料を請求することができます。
性交渉がなくとも、デートやキスだけ、いわゆる浮気でも許せないことでしょう。しかし残念ながらそれだけでは不貞行為とはいえず、慰謝料請求はできません。しかし、浮気が原因で夫婦関係が破綻してしまった場合には、「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当するとして、離婚が認められる可能性があります。
ただし不貞行為があったからといって、即座に離婚・慰謝料が認められるとは限らないため注意が必要です。不貞行為は一度であろうと離婚原因に該当しますが、配偶者に十分に反省が見られる場合は、裁判所が夫婦関係の修復が可能と判断し、離婚を認めないケースもあります。
また、別居期間が相当に長いなど、すでに夫婦関係が破綻していた場合に、慰謝料請求が認められないケースもあるということは覚えておいたほうがよいでしょう。
浮気・不倫が発覚したら
浮気が発覚したら、まずは相手に何を要求したいかを考えましょう。単なる浮気ではなく、不倫していることが確かな場合、相手に要求できるのは以下の三点です。
- 浮気・不倫をやめさせる
- 離婚せず不倫相手(と配偶者)に慰謝料を請求する
- 離婚して配偶者と不倫相手に慰謝料を請求する
浮気をやめさせるだけであれば、単にとがめるだけでやめさせることができるかもしれませんが、もしできなかった場合、より慎重に行動されてしまうので、証拠が集めにくくなってしまいます。また、疑わしいだけで実際には浮気をしていなかった場合は、夫婦関係にしこりを残してしまうかもしれません。これらの要求を行うためには、まず浮気・不倫の証拠を集めることが重要です。
不倫の証拠
ではどのような不倫の証拠となるのでしょうか。単に浮気・不倫をやめさせるだけであれば、二人のメールのやりとりやデート現場の写真だけでも十分かもしれません。しかし、離婚や慰謝料を請求するとなると、不貞行為があったことを示す証拠が必要となります。不倫の証拠となるものの例は以下のとおりです。
- 二人でラブホテルに入っていく際の写真
- 二人のメールで肉体関係を前提とする内容のやりとり
- 本人が不倫を認めた旨の書面
キスやデートでは不貞行為の証拠にならないものの、証拠を補強する材料にはなるため、証拠になりそうなものはすべて保存しておくようにしましょう。 これらの証拠を自身で収集するのは困難なため、探偵社や興信所に依頼するケースも考えられます。現在持っている証拠でも十分かどうか、証拠集めを依頼する程の慰謝料額が見込めるかどうかなど、まずは弁護士に相談すると良いでしょう。
浮気・不倫をやめさせる方法
証拠が集まったらいよいよ行動に移します。しかし残念ながら浮気・不倫をやめさせる確実な方法はありません。ここでは効果的と思われる方法をご紹介しますが、相手の性格などもよく考えて実行してください。
夫婦で話し合う
まずは夫婦で話し合って解決を図りましょう。なるべく問題を大きくせずに解決できることに越したことはありません。証拠があれば配偶者も諦め、謝罪してくれる可能性も高いでしょう。また、離婚せず今後も夫婦関係を継続するなら、「なぜそうなってしまったのか」「今後の夫婦関係をどうしたいのか」もしっかりと話し合っておくことが重要です。
浮気相手に内容証明を送る
通常なら浮気はバレたくないものです。バレてしまったら面倒だと思い、自然と交際をやめるケースも多いでしょう。また、配偶者が未婚と偽って交際しているケースもあり、その場合は配偶者がいることを示すだけで交際をやめる可能性が高いでしょう。 それでも交際を続ける場合は、内容証明郵便で「交際をやめなければ慰謝料を請求する」という旨を通知します。多くの場合は、内容証明と慰謝料額に驚き、交際をやめるでしょう。ただし、不貞行為がなければ慰謝料は請求できないので注意してください。
相手の周囲に相談する
配偶者や浮気相手の親・兄弟に事情を説明し、説得してもらうのも効果的です。例えば、浮気相手が未婚女性であれば、親は今後の結婚のことも心配し、別れるよう説得してくれる可能性も高いでしょう。浮気相手の親族の住所は弁護士に依頼することで調査してもらえます。
誓約書・公正証書を残す
配偶者や相手が浮気を認め、謝罪するようであれば、「二度と交際しない」旨の誓約書を書かせると良いでしょう。その際のポイントは、不貞行為があったならばそれを認める旨と、謝罪の言葉を書かせることです。更に慰謝料を請求する場合は、その金額と支払い方法や時期も明示する、誓約したことに違反した場合は、賠償金を支払うことまで記載しておくのがポイントです。法的効力を高めるには公正証書にするのも良いでしょう。
脅迫にならないように注意
不倫・浮気されたときは浮気相手にも怒りの矛先が向かうことでしょう。しかし、感情的に行き過ぎた行動を取ると、逆に慰謝料を請求されてしまう可能性もあるので注意が必要です。例えば、浮気相手のところに怒鳴り込みに行けば「脅迫」で訴えられる可能性もあり、暴力を振るってしまえば刑事事件にもなりかねません。また、浮気相手が配偶者と同じ職場の際には退職を強要していけません。
離婚・慰謝料を請求する
不倫をやめさせるだけでなく、離婚や慰謝料を請求することも可能です。まずは当事者で話し合って離婚に応じるかどうかや慰謝料の金額を決めます。話し合いで納得ができない場合には、調停を起こし、それでも決まらない場合は裁判を起こすことになります。不倫慰謝料について詳しくは「不倫慰謝料の相場や請求方法・時効」をご覧ください。
不倫されてしまった場合には、感情的になってしまいがちですが、適切な補償を得るには冷静な対処が必要となります。ただでさえ不倫に傷ついている中、証拠を集めたり、場合によっては裁判まで必要になるのは耐え難いことでしょう。 証拠の集め方がわからない、できるだけ多く慰謝料をとりたい、相手が離婚を認めてくれない、などといった場合には弁護士に相談することをおすすめします。