婚姻費用

弁護士監修記事 2019年09月12日

婚姻費用分担請求調停とは|別居中の生活費を配偶者に請求する方法を詳しく解説

別居中の生活費について、配偶者が支払ってくれなかったり、話し合いを拒んだりしているような場合、「婚姻費用分担請求調停」という手続きを通じて支払いを求めることができます。

  • 婚姻費用分担請求調停を申し立てる方法・流れ
  • 調停が確定するまでの間、生活費を確保できない場合の対処法
  • 婚姻費用の支払いが滞った場合の対処法

この記事では、上記のようなポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 婚姻費用分担請求調停の流れ
    1. 申立て先
    2. 申立てに必要な書類
    3. 調停ではどんなことをするのか
  2. 調停や審判が確定するまで生活費が確保できない場合は?
    1. 調停で婚姻費用を支払うよう仮の処分を命じてもらえることがある
    2. 緊急の必要がある場合は「審判前の保全処分」を申し立てる
  3. 調停や審判が確定したのに婚姻費用を支払ってもらえない場合は?
    1. 裁判所からの履行勧告
    2. 裁判所からの履行命令
    3. 強制執行
    4. 弁護士への相談を検討した方がよいケースも

婚姻費用分担請求調停の流れ

alt 婚姻費用について夫婦間での話合いで決めることができない場合には、家庭裁判所に対して「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てることができます。 この調停は、話合いがまとまらない場合だけではなく、配偶者が話合いに応じない場合にも申し立てることができます。 離婚をするかどうかまだ決まっていない段階でも申し立てることができます。離婚調停を利用することが決まっていれば、同時に申し立てることもできます。

申立て先

申立て先は、配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意して決めた家庭裁判所です。 住所地とは、生活の本拠、つまり「主に生活をしている場所」のことです。本籍地とは関係ありません。 たとえば、配偶者が別居してアパートを借りている場合や、実家に戻ってそこで主に生活している場合には、その場所が住所地となります。

申立てに必要な書類

申立てには、次の書類が必要です。

  • 申立書とそのコピー1通(裁判所のホームページからダウンロード可能)
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立人の収入に関する資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書などのコピー)

この他、追加書類の提出が必要な場合もあります。また、申立ての費用として、収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手が必要です。

調停ではどんなことをするのか

調停は平日に行われ、1回にかかる時間は2時間ほどです。申立人と配偶者はそれぞれ別の待合室で待機し、交互に調停室と呼ばれる部屋に入ります。 実務上、調停が始まる時に、申立人と配偶者が同席のもとで、調停という手続きについて説明を受けることが原則ですが、同席を拒否することもできます。 調停室では、夫婦の資産・収入・支出、子どものために必要な費用がどのくらいあるのか、といったあらゆる事情について、調停委員による聞取りが行われます。 調停委員とは、弁護士や医師など豊富な専門知識と経験をもつ人です。当事者それぞれの事情をニュートラルな立場で聞き取り、婚姻費用の算定表を参考にしながら、双方の合意を目指して解決案やアドバイスを提示します。 調停での話合いがまとまらない場合、調停は不成立となり終了します。その後、自動的に審判という手続きに移ります。審判では、裁判官が一切の事情を考慮して、婚姻費用の金額を決定します。 調停で解決すると「調停調書」、審判で解決すると「審判書」という文書が家庭裁判所で作られます。 審判の決定に納得できない場合は、2週間以内に不服申立てをすれば、審判は確定せず、高等裁判所で判断がやり直されます。

調停や審判が確定するまで生活費が確保できない場合は?

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調停で婚姻費用を支払うよう仮の処分を命じてもらえることがある

調停での話合いに決着がつくまでには、ある程度の時間がかかります。「すぐに婚姻費用を支払ってもらわないと生活に困る」という場合もあるでしょう。 そうした場合に、調停委員や裁判官が、職権で婚姻費用を支払うように仮の処分を命じてくれることがあります(調停前の処分)。 この仮の処分は、配偶者が支払いを拒否した場合は、強制的に支払わせることまではできません。 ただし、正当な理由なくこの処分に従わない場合、10万円以下の過料というペナルティが課せられます。間接的に支払いを促す意味はあるといえるでしょう。

緊急の必要がある場合は「審判前の保全処分」を申し立てる

調停前の処分をしてもらえるかどうかは、調停員や裁判官の職権であるため、絶対に行われるとは限りません。 生活費を手に入れないとすぐにでも生活が困窮してしまうなど、緊急の場合には、「審判前の保全処分」という手続きを利用することを検討してみましょう。 審判で請求が認められる可能性が高いことと、保全の必要性があることを疎明(そめい・「一応確からしい」と裁判官を納得させること)できれば、配偶者に対して、婚姻費用として仮に一定額を支払うように決定が下されます。 配偶者がこの処分に従わない場合、配偶者の給与口座などを差し押さえて、そこから婚姻費用を支払わせることができます。

調停や審判が確定したのに婚姻費用を支払ってもらえない場合は?

alt 調停や審判で、婚姻費用を支払うよう判断してもらっているのに、配偶者が支払いに応じない場合は、次のような手段をとることができます。

  • 裁判所からの履行勧告
  • 裁判所からの履行命令
  • 強制執行

裁判所からの履行勧告

家庭裁判所に申し出ることにより、「履行勧告」という措置を求めることができます。履行勧告の申出には費用がかかりません。 履行勧告を申し出ると、家庭裁判所の調査官が、婚姻費用を支払うよう、電話や手紙、訪問などの方法で配偶者に勧告をします。

履行勧告は、あくまで自発的に支払いを促すものです。相手にプレッシャーをかける効果はありますが、法的な強制力はありません。

裁判所からの履行命令

履行勧告に相手が応じない場合は「履行命令」を申し立てます。履行命令とは、家庭裁判所が相当と認める場合に、期限を決めて、「この時までに支払いなさい」と命じる措置です。 履行命令でも強制的に未払いの婚姻費用を支払わせることまではできません。しかし、配偶者が履行命令に従わず、婚姻費用を支払わない場合には、10万円以下のペナルティが課せられます。 間接的に婚姻費用の支払いを強制する効果があるといってよいでしょう。

協議離婚の場合、履行勧告と履行命令の手段をとることはできません。

強制執行

相手の財産(給与、口座預金、不動産など)を差し押さえて、そこから婚姻費用を支払わせる措置「強制執行」といいます。 婚姻費用の支払いのために強制執行を行う場合、原則として、給与から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1までを差し押さえることができます。 給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1が33万円を超える場合は、差し押さえることができない金額は33万円が限度になります。つまり、2分の1を超える範囲についても差し押さえることができます。

協議離婚の場合でも、離婚協議書を強制執行認諾文言がついた公正証書の形にしておけば、強制執行をかけることができます。

弁護士への相談を検討した方がよいケースも

ここまでのポイントをまとめると、次のようになります。 alt 支払いが滞った場合の措置は、自分で手続きを行うこともできますが、プロセスが複雑で、法律の専門知識も必要です。支払われていないお金を少しでも早く回収するために、弁護士などの専門家に依頼することを検討してもよいでしょう。 弁護士費用を支払えるか不安な人は、法テラスの「民事法律扶助」という仕組みを利用することを検討してみましょう。 民事法律扶助とは、経済的に余裕がない人が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談できたり、一定の要件をみたせば弁護士費用などを立て替えてくれる仕組みです。 具体的には、弁護士費用として毎月5000円から1万円程度を法テラスに返済(償還)していきます。 生活保護を受給している人(または準ずる人)は、返済の猶予もしくは免除を受けることができるため、実質無償で弁護士に依頼することができます。 民事法律扶助で取り扱う事件として、離婚事件は、破産などの多重債務事件の次に利用されることが多い分野です。 弁護士費用の支払いに不安を感じている人は、利用を検討するとよいでしょう。まずは無料法律相談を予約しましょう。

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