
プロポーズ後に1年間半同棲…内縁関係といえる?
結婚していない男女であっても、その関係性によっては内縁関係が成立し、結婚している夫婦と同様の扱いを受けます。
- 同棲によって内縁関係は成立するのか
- プロポーズ後に半同棲している相手とは内縁関係が成立するのか
- 内縁関係を証明するための証拠とは
これら内縁関係に関する疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。
どんな関係性であれば内縁関係が成立するのか
結婚していない男女間において、内縁関係が成立するのは、どのような場合なのでしょうか。
相談者の疑問
彼と私と彼と私の子ども(0歳)の家族3人で暮らしています。ですが、彼と籍は入っていません。
彼と一緒に暮らし始めてから1年半経つので、このような場合、事実婚や内縁の妻という形になるのでしょうか。
籍が入っていないからなのか彼は好き放題生活をしていて、つい先日、前妻が妊娠中だということを知りました。
私達と暮らしているにもかかわらず前妻と関係を持ち続けていました。
籍が入っていない以上、こちらが何を言っても法律的には彼は何も問われないのでしょうか?
弁護士の回答緒方 直人弁護士
「彼と一緒に暮らし始めてから1年半経つ」ということですが、同棲期間だけで内縁(事実婚)の成立が認められるわけではありません。
単なる異性関係ではなく、内縁(事実婚)であると言えるためには、何らかの理由で婚姻届を提出していないものの、当事者に婚姻意思(社会通念上の夫婦となる意思)が必要です。
彼は単なる異性関係だと主張する可能性がありませんか。
内縁成立が認められば、ご相談のご記載からすると、彼の諸行為によって、内縁の不当破棄とされる事実関係はあるようですから、ご相談者が内縁の不当破棄を理由として、彼に慰謝料請求などを問うことはできるように思います。
内縁関係が成立するためには、当事者に、夫婦となる意思があることが必要です。同棲しているからといって、必ずしも内縁関係が成立するわけではないようです。 内縁関係が成立する場合、相手から関係を一方的に解消されたことなどを理由に、相手に慰謝料を請求することができます。
プロポーズ後の半同棲で内縁関係は成立するのか
同棲しているということだけでは、必ずしも内縁関係は成立しないようです。
では、相手からプロポーズをされた後に、籍を入れずに半同棲をしていた場合は、内縁関係が成立するのでしょうか。
相談者の疑問
プロポーズされ、遠距離だったのですが、すぐには無理だけど、学校卒業後に同棲するということで、彼の住んでいる土地まで引越しました。
私名義ですが、同棲するための部屋や家具類も揃え、とりあえず1人暮らしで住んでいる所に、週の半分くらい、彼が家に泊まりにくる状況で、半同棲のようになっていました。
彼の分の生活費を立て替えるために、お金も貸していました。約1年位になります。
その間に罵声や悪口、デートDV、モラハラ、妊娠もして、彼に対して訴えたいことがたくさんあります。
私たちの関係は内縁関係といえるのでしょうか?
弁護士の回答中間 隼人弁護士
内縁関係とは、婚姻の届はしていないが、当事者の意識や生活実態において、事実上夫婦同然の生活をする男女関係のことをいい、事実上婚姻としての実質を備えた男女関係でなくてはいけません。
つまり、夫婦同様、同居・協力扶助義務を負いかつこれを継続させる意思をもって、事実上夫婦としての共同生活を相当期間継続する必要があります。
あなたの場合、半同棲状態、ということで、またその期間も1年ということですから、夫婦同様の共同生活、とは言いにくいように思いますので、内縁の成立が認められる可能性は低いのではないかと考えます。
内縁関係が成立するためには、事実上の夫婦として、ある程度の期間、共同生活をしているということが必要なようです。 今回のケースのように、プロポーズされていたとしても、週に何日か相手が泊まりにくる半同棲状態で、その期間も1年程度という場合、内縁関係と認められる可能性は低いでしょう。
内縁関係を証明する証拠
単に同棲しているだけや、プロポーズを受けたということだけでは内縁関係とはいえず、内縁関係成立のためには様々な事情が必要なようです。
そのような事情に加えて、どのような証拠があれば、自分と相手の間に内縁関係が成立しているといえるのでしょうか。
相談者の疑問
2年付き合い、妊娠をきっかけに住所変更もして生活費をもらいながら共に生活しています。結婚することに関するメールもあります。
このような内容で事実婚を証明することは可能でしょうか?
弁護士の回答緒方 直人弁護士
事実婚(内縁)と言えるためには、婚姻の届出をしていないので法律婚ではないが、届出がないだけで、当事者は夫婦の意識と実態を備えて共同生活をしている場合だと言えます。
事実婚の夫がご相談者を扶養家族として勤務先に届けていたり、友人の結婚式や親戚の結婚式などに夫婦として出席するとかすれば、親族や友人などの周りの人々も、ご相談者とそのパートナーを夫婦であると認識し、そのように取り扱っていたことになりますから、事実婚である強力な証拠となります。
相手が自分を扶養家族として勤務先に届け出ていたことや、親族や友人の結婚式に夫婦として出席していたことなどが、内縁関係の証拠となるようです。
まとめ
内縁関係が認められるためには、同棲をしていたことやプロポーズを受けたことだけではなく、お互いが夫婦として過ごしていきたいという意思をもって、相当の期間、共同生活をしていることが重要なポイントとなるようです。 内縁関係が成立する場合、相手から一方的に関係を破棄されたような場合には、相手に慰謝料を請求することができます。 慰謝料請求をする場合に、相手との関係が内縁関係であることを証明するには、相手から扶養家族として勤務先に届を出してもらっていたことや、親族の行事に夫婦として出席していたことなどが1つの証拠となるでしょう。