
調停で決めた面会交流のルールが守られない場合の対処法
離婚調停で面会交流について取り決めをしたにもかかわらず、離婚後、約束通りに実施されない場合はどうすればよいのでしょうか。 この記事では、面会交流の約束が守られなかった場合の対処法について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。
面会交流が実施されない場合、どうすればよいのか
面会交流について、離婚調停でルールなどが決まったにもかかわらず、その通りに実施されない場合、どうすればよいのでしょうか。
相談者の疑問
離婚調停で離婚をし、面会交流は月1回と調書に書かれています。私は元夫で、別れた妻が親権者です。
しかし面会交流はいまだに実施されません。履行勧告もしましたが、子どもが会いたがってないという理由で一切面会に応じないです。この場合、どうすればよいのでしょうか。
弁護士の回答石井 康晶弁護士
会うこと自体を強制する方法はありませんが、間接強制といって、会わせないときは1回につきいくら支払うという形で履行を心理的に強制する方法はあります。
ただし、面会交流の条件を詳細に取り決めている必要があります。
再度の調停を申し立て、具体的なルール化を志向してもよいかと思います。
面会交流を強制的に実施することは難しいでしょう。 現実的な方法としては、子どもと共に暮らす親に対して、間接強制という措置を行い、心理的なプレッシャーをかけて、実施するよう促すことが考えられます。 ただし、間接強制を行うには、あらかじめ、面会交流の条件を詳細に決めておく必要があるようです。
間接強制が行えるのはどんな場合なのか
間接強制を行うには、具体的にどのような内容について決めておく必要があるのでしょうか。
相談者の疑問
調停調書に、「1か月1回程度の割合で交流」「具体的な日時・場所・方法は当事者間で事前に協議して定める」とあるのですが、離婚後一切面会交流が実施されません。
このような場合、間接強制の申立てはできますか?
弁護士の回答奥田 真与弁護士
最高裁の判断がでています。間接強制が認められるためには調停調書や審判書の文言で面会交流の日時場所などが具体的に定められていることが必要とされました。
ご相談のような文言では間接強制はできないことになります。間接強制をするためにはあらためて面会交流の審判を申し立てる必要があります。
間接強制が認められるためには、面会交流の日時や場所などを、離婚調停や審判で具体的に決めておくことが必要です。 そのような取り決めをしていない場合は、改めて面会交流の調停や審判を申し立てて、面会交流の具体的なルールを定めた調停調書や審判書を手に入れる必要があります。
まとめ
面会交流が約束通りに実施されない場合、間接強制という措置を取ることで、子どもと共に暮らす親に心理的なプレッシャーをかけるという方法が考えられます。実施を強制することは難しいでしょう。 ただし、間接強制は、調停や審判で面会交流の詳細なルールを決めている場合にしか認められません。 詳細なルールを決めていない場合は、改めて面会交流調停や審判を申し立て、その中でルールを決める必要があります。