
面会交流の履行勧告を申し立てられたら面会交流のルール変更は可能?
離婚調停などで面会交流のルールを決めた場合は、原則としてそのルールを守る必要があります。 では、やむを得ない事情でルール通りに面会交流が実施できない場合に、離れて暮らす親から履行勧告を申し立てられたら、どうすればよいのでしょうか。ルールを変更することはできないのでしょうか。 「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。
面会交流の履行勧告を申し立てられたら?
やむを得ない事情で面会交流が実施できないでいたところに、離れて暮らす親から裁判所を通じて履行勧告を受けた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
相談者の疑問
調停離婚が成立し、親権は私で養育費月3万円、面会交流月1回と決まりました。
子どもの体調が悪くて会わせられない、と伝えても信じてもらえず、今回、面会交流の履行勧告をされました。どのように対応すればよいのでしょうか?
弁護士の回答岡村 茂樹弁護士
面会交流はお子様の健全な成長のために行われます。福祉の尊重です。
面会交流することでお子様にかえって悪影響が生じる、お子様の健康面に配慮するため面会交流に割く時間がない、などのことを具体的に記載し、診断書を添えて履行勧告をしてきた裁判所に提出してください。
相手から面会交流の履行勧告を申し立てられた場合、なぜ面会交流を実施できないのか、具体的な事情を裁判所に対して回答する必要があります。 子どもの体調不良などの事情がある場合は、診断書など、その事情が事実であることを証明する証拠を添えましょう。
子どもが面会交流を嫌がっている場合、ルール変更は可能?
子ども自身が面会交流を嫌がったとしても、履行勧告を申し立てられた場合、調停で決めたルール通りに面会交流をしなければならないのでしょうか。ルールを変更することはできないのでしょうか。
相談者の疑問
調停離婚が成立し、面会交流調停が成立してから2年が経ちました。元夫が家裁に履行勧告の申立てをしたとのことで、家裁からの調査書が来ました。
娘は9歳ですが面会交流の話を毎回するたびに、「もう会いたくないと言っているのに何で毎回聞くの?やめてほしい」と言っています。今のところ面会交流は実施に至っていません。
今後どうすればよいでしょうか。
弁護士の回答森田 英樹弁護士
お子さんの心情を確認して、面会交流のルールを新たに作り直すことができます。あなたの一方的なルール変更は紛争のもとです。
調査官調査というのが行われ、あなたのお子さんの意向確認があり、それを前提に審判がなされます。
調停で決めたルールであっても、子どもが嫌がっているなどの事情がある場合は、変更することができます。 ただし、子どもと共に暮らす親の一方的なルール変更はトラブルの元になる可能性があります。変更したい場合は家庭裁判所に面会交流調停を改めて申し立て、子どもの意向を確認しながら、当事者それぞれが納得できるよう、ルールを調整していくことになるでしょう。 調停で解決しない場合は自動的に審判に移行し、裁判官が判断を下すことになります。
まとめ
面会交流の履行勧告を申し立てられた場合、なぜ実施できないのか、具体的な事情を裁判所に対して回答する必要があります。 子どもが拒否しているために実施できないような場合は、一度決めたルールであっても、変更することが可能です。家庭裁判所の面会交流調停の中で調整していくことになるでしょう。