養育費

弁護士監修記事 2018年10月01日

離婚後に元配偶者から養育費が支払われない場合の対処法

離婚をするとき取り決めたにもかかわらず、元配偶者からその通りに養育費が支払われない場合は、家庭裁判所に履行勧告などを申し立てることによって、支払いを促すことができます。 この記事では、離婚した後、養育費の支払いが滞った場合の対処法について詳しく解説します。

目次

  1. 条件どおりに養育費が支払われない場合の対処法
    1. 履行勧告
    2. 履行命令
    3. 強制執行
    4. 将来発生する養育費についても差押えを申し立てることができる
  2. 未払いの養育費を請求するときは「時効」に注意する
    1. 時効が進むことを止める方法
  3. 弁護士に依頼することを検討した方がよいケースも

条件どおりに養育費が支払われない場合の対処法

alt 家庭裁判所の調停や審判で養育費を支払うことが決められたのに、その通りに支払われない場合には、次のような措置を行うことが考えられます。

  • 履行勧告
  • 履行命令
  • 強制執行

履行勧告

家庭裁判所に申し出ることにより、「履行勧告」という措置を求めることができます。履行勧告の申出には費用がかかりません。 履行勧告を申し出ると、家庭裁判所の調査官が養育費の支払い状況などについて調査をします。そして、元配偶者が義務を果たすよう、電話や手紙、訪問などの方法で勧告をします。 履行勧告は、あくまで自発的に支払いを促すものです。プレッシャーをかける効果はありますが、法的な強制力はありません。

履行命令

履行勧告を行っても支払いに応じない場合は「履行命令」を申し立てます。履行命令とは、家庭裁判所が相当と認める場合に、期限を決めて、「この時までに支払いなさい」と命じる措置です。 履行命令でも強制的に未払いの養育費を支払わせることまではできません。しかし、元配偶者が履行命令に従わない場合には、10万円以下のペナルティが課せられます。 その意味で、間接的に養育費の支払いを強制する効果があるといってよいでしょう。

協議離婚の場合、履行勧告と履行命令の手段をとることはできません。

強制執行

強制執行を行うことで、元配偶者の給料や預貯金、不動産などを差し押さえて、そこから強制的に養育費を支払わせることができます。 強制執行では、原則として、給与から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1までを差し押さえることができます。 給料から税金と社会保険料と通勤手当を引いた金額の2分の1が33万円を超える場合は、差し押さえることができない金額は33万円が限度になります。つまり、2分の1を超える範囲についても差し押さえることができます。

協議離婚の場合でも、離婚協議書を強制執行認諾文言がついた公正証書の形にしておけば、強制執行をかけることができます。

将来発生する養育費についても差押えを申し立てることができる

養育費は、支払期限が到来した未払いの養育費だけでなく、期限がきていない将来の養育費も、一緒に申し立てることができます。 ただし、将来にわたる養育費を全額で一括して差し押さえられるわけではありません。 将来分の養育費については、「その養育費の支払い期限後に支払われる給料からしか、取り立てることができない」と法律で定められているからです。 これは、毎月支払い期限が来るたびに差押えを申し立てる手間をはぶくための仕組みです。 つまり、支払期限が来ている未払いの養育費について差押えをするときに、あわせて期限が来ていない将来分の養育費についても差押えの申立てをしておけば、毎月の支払い期限が来るたびに、差押えを申し立てる必要がなくなるのです。

未払いの養育費を請求するときは「時効」に注意する

alt 養育費を請求できる権利は、支払期日から5年経つと時効により消滅します。 たとえば、「毎月25日に養育費として5万円支払う」と定められていた場合、2013年5月に支払ってもらえるはずだった養育費5万円を請求する権利は、2018年5月25日が経過した時点で、その月分の養育費を請求する権利が消えてしまいます。

時効が進むことを止める方法

こうした事態を防ぐために、時効が進むことを止める手段があります。「時効の中断」と呼ばれる方法です。

  • 元配偶者に対して裁判を起こす
  • 話合いで、養育費を支払ってもらう権利があることを元配偶者に認めてもらう

このような方法によって、時効が進むことを止めることができます。 こうした対応がすぐに難しいという人は、内容証明郵便などで、元配偶者に対して「養育費を支払ってほしい」という意思を表明すれば、一時的に時効が進むことを止めることができます。「催告」という手段です。 ただし、催告は6か月間に限って時効が進むことを止める一時的な対処法です。また、催告は繰り返すことはできません。 6か月後になって、もう一度内容証明郵便を送ったとしても、そこからまた6か月間時効を止めることはできないのです。 そのため、催告を行った場合は、すぐに具体的に養育費を請求するための準備を行い、6か月以内に裁判を起こすなどの手続きをとることが必要です。

弁護士に依頼することを検討した方がよいケースも

alt 履行勧告などの措置を行うための手続きは、自分で進めることもできますが、プロセスが複雑で、法律の専門知識も必要です。 特に、強制執行を行いたい場合は、養育費を支払う親の給料や財産を自分で調べて、その上で給料や財産の差押さえを裁判所に求める必要があります。 書類の作成や申請、財産の調査などを全て1人で行うのは負担が大きいでしょう。 支払われていないお金を少しでも早く回収したい場合、弁護士などの専門家にサポートを依頼することも1つの方法です。 弁護士費用を支払えるか不安な人は、法テラスの「民事法律扶助」という仕組みを利用することを検討してみましょう。 民事法律扶助とは、経済的に余裕がない人が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談できたり、一定の要件をみたせば弁護士費用などを立て替えてもらえたりする仕組みです。 具体的には、弁護士費用として毎月5000円から1万円程度を法テラスに返済(償還)していきます。 生活保護を受給している人(または準ずる人)は、返済の猶予もしくは免除を受けることができるため、実質無償で弁護士に依頼することができます。 民事法律扶助で取り扱う事件として、離婚事件は、破産などの多重債務事件の次に利用されることが多い分野です。 弁護士費用の支払いに不安を感じている方は、利用を検討するとよいでしょう。まずは無料法律相談を予約しましょう。 詳しくは法テラスのホームページを確認してみてください。

次に読みたい記事 0 件 / あわせて読みたい関連記事 9

あわせて読みたい関連記事

離婚後に面会交流が約束どおり実施されない場合の対処法

面会交流について調停や審判でルールが決まったにもかかわらず、その通りに面会交流が実施されない場合、裁判所の手続きによって、子どもとともに暮らす親(...

離婚するときに財産分与について決めなかった場合に元配偶者に請求する方法

離婚をするときに財産分与について決めなかった場合でも、離婚した後に、元配偶者から財産の一部を分けてもらうことができます。 この記事では、財産分与...

離婚した後になって年金分割を元配偶者に請求する方法

離婚するときに年金分割について決めなかった場合でも、離婚後に、元配偶者に対して年金分割を求めることができます。 この記事では、年金分割の概要や、...

離婚するときに養育費について取り決めなかった場合に養育費を請求する方法

離婚にあたって、子どもの親権者となった親は、親権者とならなかった親に養育費の支払いを求めることができます。 離婚をするときに養育費について決めな...

離婚後に養育費を増額してもらえるケースと増額を求めるための手続きの流れ

離婚をするときに養育費について取り決めたとしても、離婚後に事情が変わり「金額を増やしてほしい」と思っている人もいるでしょう。 一度決めた養育費の...

離婚後に養育費を減額してもらえるケースと減額を求めるための手続きの流れ

離婚をするときに養育費について取り決めたとしても、離婚後に事情が変わり「金額を減らしてほしい」と思っている人もいるでしょう。 一度決めた養育費の...

離婚後に家庭裁判所の調停で面会交流のルールを変更する方法

離婚するときに面会交流について決めていても、離婚後に事情の変更があった場合は、面会交流のルールを変更できる場合があります。ここでは、ルール変更につ...

離婚後に親権者の変更が認められるケースと手続きの流れ

離婚するときは、親権者が誰かは夫婦で話し合って決めることができますが、離婚した後は、勝手に変更することはできません。 裁判所の関与のもとで、一定...

離婚が成立したあとに結婚中の姓を名乗りたくなった場合に必要な手続き

離婚したあとも結婚中の姓を使い続けたい場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」を提出する必要があります。離婚した後、3か月以上の...

解決までの流れ

解決までの全記事

次に読みたい記事 0 件 / あわせて読みたい関連記事 9

あわせて読みたい関連記事

離婚後に面会交流が約束どおり実施されない場合の対処法

面会交流について調停や審判でルールが決まったにもかかわらず、その通りに面会交流が実施されない場合、裁判所の手続きによって、子どもとともに暮らす親(...

離婚するときに財産分与について決めなかった場合に元配偶者に請求する方法

離婚をするときに財産分与について決めなかった場合でも、離婚した後に、元配偶者から財産の一部を分けてもらうことができます。 この記事では、財産分与...

離婚した後になって年金分割を元配偶者に請求する方法

離婚するときに年金分割について決めなかった場合でも、離婚後に、元配偶者に対して年金分割を求めることができます。 この記事では、年金分割の概要や、...

離婚するときに養育費について取り決めなかった場合に養育費を請求する方法

離婚にあたって、子どもの親権者となった親は、親権者とならなかった親に養育費の支払いを求めることができます。 離婚をするときに養育費について決めな...

離婚後に養育費を増額してもらえるケースと増額を求めるための手続きの流れ

離婚をするときに養育費について取り決めたとしても、離婚後に事情が変わり「金額を増やしてほしい」と思っている人もいるでしょう。 一度決めた養育費の...

離婚後に養育費を減額してもらえるケースと減額を求めるための手続きの流れ

離婚をするときに養育費について取り決めたとしても、離婚後に事情が変わり「金額を減らしてほしい」と思っている人もいるでしょう。 一度決めた養育費の...

離婚後に家庭裁判所の調停で面会交流のルールを変更する方法

離婚するときに面会交流について決めていても、離婚後に事情の変更があった場合は、面会交流のルールを変更できる場合があります。ここでは、ルール変更につ...

離婚後に親権者の変更が認められるケースと手続きの流れ

離婚するときは、親権者が誰かは夫婦で話し合って決めることができますが、離婚した後は、勝手に変更することはできません。 裁判所の関与のもとで、一定...

離婚が成立したあとに結婚中の姓を名乗りたくなった場合に必要な手続き

離婚したあとも結婚中の姓を使い続けたい場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」を提出する必要があります。離婚した後、3か月以上の...

解決までの流れ

解決までの全記事

次に読みたい記事 0 件 / あわせて読みたい関連記事 9

あわせて読みたい関連記事

離婚後に面会交流が約束どおり実施されない場合の対処法

面会交流について調停や審判でルールが決まったにもかかわらず、その通りに面会交流が実施されない場合、裁判所の手続きによって、子どもとともに暮らす親(...

離婚するときに財産分与について決めなかった場合に元配偶者に請求する方法

離婚をするときに財産分与について決めなかった場合でも、離婚した後に、元配偶者から財産の一部を分けてもらうことができます。 この記事では、財産分与...

離婚した後になって年金分割を元配偶者に請求する方法

離婚するときに年金分割について決めなかった場合でも、離婚後に、元配偶者に対して年金分割を求めることができます。 この記事では、年金分割の概要や、...

離婚するときに養育費について取り決めなかった場合に養育費を請求する方法

離婚にあたって、子どもの親権者となった親は、親権者とならなかった親に養育費の支払いを求めることができます。 離婚をするときに養育費について決めな...

離婚後に養育費を増額してもらえるケースと増額を求めるための手続きの流れ

離婚をするときに養育費について取り決めたとしても、離婚後に事情が変わり「金額を増やしてほしい」と思っている人もいるでしょう。 一度決めた養育費の...

離婚後に養育費を減額してもらえるケースと減額を求めるための手続きの流れ

離婚をするときに養育費について取り決めたとしても、離婚後に事情が変わり「金額を減らしてほしい」と思っている人もいるでしょう。 一度決めた養育費の...

離婚後に家庭裁判所の調停で面会交流のルールを変更する方法

離婚するときに面会交流について決めていても、離婚後に事情の変更があった場合は、面会交流のルールを変更できる場合があります。ここでは、ルール変更につ...

離婚後に親権者の変更が認められるケースと手続きの流れ

離婚するときは、親権者が誰かは夫婦で話し合って決めることができますが、離婚した後は、勝手に変更することはできません。 裁判所の関与のもとで、一定...

離婚が成立したあとに結婚中の姓を名乗りたくなった場合に必要な手続き

離婚したあとも結婚中の姓を使い続けたい場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」を提出する必要があります。離婚した後、3か月以上の...

解決までの流れ

解決までの全記事

離婚・男女問題の「トラブル体験談」

Aさん(30代女性)

DVを繰り返す夫から自由に - 2人の子どもの親権と養育費を勝ち取ったAさんの体験談

  • DV
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

結婚11年目のAさんは、パートで働きながら8歳と10歳の子どもを育てる母親でした。会社勤めをしている夫は、家事や育児に協力しないだけでなく...

Bさん(20代女性)

性格の不一致から夫との生活が苦痛に - うつ病を患いながら離婚を成立させたBさんの体験談

  • 性格の不一致による離婚
  • うつ病
  • 新居の処分

結婚1年目のBさんは、夫と共働きの二人暮らし。当時仕事に追われていたBさんは、家庭内での夫の態度に違和感を覚えるようになっていました。B...

Cさん(40代女性)

育児・家事に無関心な夫と離婚 - 3人の子どもの親権・養育費を争ったCさんの体験談

  • 親権
  • 養育費
  • 財産分与
  • 年金分割

Cさんは、3人の子どもを育てる専業主婦でした。公務員の夫は、結婚当初から家庭内のことに無関心でした。「子どもが生まれたら変わるかな」と...

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼
費用対処方針比べて選ぶことができます。

  • 弁護士費用がいくらかかるか知りたい
  • 弁護士の選び方がわからない
  • 弁護士が何をしてくれるか知りたい
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

養育費を扱う弁護士を探す

養育費に関する法律相談

  • 養育費の決め方について

    離婚が成立して、代理人である弁護士がはけたら、養育費はどのように判定されますか? 私が失業者で、金額に変動があるため。定まっていません。 就職後、もと夫婦で取り決めですか?

    4弁護士回答
  • 養育費の妥当金額と、成人年齢について

    主人以外の男性と関係をもち、 妊娠、出産しました。 主人にその事実を打ち明けましたが、 離婚はせず、今の家庭で育てることになり、 相手の男性は養育費を支払うと言っています。 そこで...

    3弁護士回答
  • 養育費の相手からの催促について。これは脅迫になりますか?

    離婚し、毎月養育費を調停での取り決め通り月末までにきちんと支払っています。 こちらとしては月末までにと思っているのですが、相手側から期日内に突然【今日中に必ず振り込むように】【振...

    1弁護士回答
  • 離婚後の養育費等について

    養育費は、今後、予定される年収(相手に確認して)で算出しても良いんでしょうか? 相手が了承すれば…ということでしょうか? また、離婚後、生活に掛かる費用を払う義務はありませんよね?...

    2弁護士回答
  • 離婚後に元夫と養子縁組した子供たちの養育費を請求したい

    再婚同士の夫婦、私(妻)の連れ子(小1、小4)と夫は養子縁組をしています。 昨日、ろくな話合いもしないまま勝手に離婚届けをだされてしまいました。 浮気をしていたようですが、家出をされ、...

    1弁護士回答
1 2 3 4 5 ... 30 ... 50

相談を絞り込む

養育費の法律ガイド

関連カテゴリから解決方法を探す

弁護士に相談しようと思ったら…

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼

  • 最短3分で依頼完了
  • 依頼内容は非公開
  • 分野に詳しい弁護士から見積り依頼が届く
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

離婚・男女問題のニュース

  1. 上司と不倫、「離婚する」は結局ウソ!? 「...
  2. 夫が給与明細を偽造、ごまかした金で飲酒、ギ...
  3. 「借金返して、結婚しよう」返済に協力したの...
  4. ホテル密会に不倫相手の夫乱入! 「誠意見せ...
  5. 夫婦間の「性的DV」…寝込みを襲われ、避妊に...
  6. 既婚の中年女性とワンナイト、恐怖の幕開け…...
  7. AV出演は「自己決定」なのか 「サインがあれ...