戸籍と姓

弁護士監修記事 2018年10月01日

離婚が成立したあとに結婚中の姓を名乗りたくなった場合に必要な手続き

離婚したあとも結婚中の姓を使い続けたい場合には、「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」を提出する必要があります。離婚した後、3か月以上の期間が経っていた場合は、別の手続きが必要になります。

  • 「婚氏続称届」の書き方と提出方法
  • 3か月以上経過していた場合に必要な手続き

この記事では、このような点について詳しく解説します。

目次

  1. 離婚したあとに結婚中の姓を使い続けるための手段
  2. 婚氏続称届を提出するまでの流れ
    1. 婚氏続称届用紙の入手方法
    2. 各記入欄に記入すること
    3. 届出日
    4. 届出先
    5. 離婚の際に称していた氏を称する人の氏名・生年月日
    6. 住所・世帯主の氏名
    7. 本籍・筆頭者の氏名
    8. 変更前の氏・変更後の氏
    9. 離婚年月日
    10. 離婚の際に称していた氏を称した後の本籍・筆頭者の氏名
    11. その他
    12. 届出人署名押印(変更前の氏名)
    13. 連絡先
    14. 捨印
    15. その他に必要となる書類など
  3. 離婚成立から3か月以上経過していたら「氏の変更許可の審判」を申し立てる
    1. 親の戸籍に戻っている場合は「分籍」の手続きをする必要がある
    2. 「やむを得ない事由」が必要
    3. 審判の申立書の入手方法
    4. 申立書の各記入欄に記入する際の注意点
    5. その他必要となる書類
    6. 氏の変更審判の進み方
    7. 「氏の変更届」を役所に提出する

離婚したあとに結婚中の姓を使い続けるための手段

離婚届を提出して、いったん元の姓に戻ったあとで、結婚中の姓に戻したい場合、手段は2つあります。 1つは「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」という書面を市区町村役場に提出する方法です。 ただし、婚氏続称届を提出できるのは、離婚が成立してから3か月以内に限られています。 離婚が成立してから3か月以上経っている場合は、姓を変更することを家庭裁判所に許可してもらう手続き(氏の変更許可審判)をする必要があります。 以下、それぞれの手続きの進め方について解説していきます。

婚氏続称届を提出するまでの流れ

婚氏続称届は本籍または住民登録のある市区町村役場に提出します。直接出向いて提出することもできるし、郵送することもできます。

婚氏続称届用紙の入手方法

市区町村役場の戸籍担当窓口でもらえるほか、郵送する場合は、自治体のホームページから雛形をダウンロードして入手することもできます。どこの自治体の雛形を利用しても構いません。

婚氏続称届はA4サイズの用紙でないと受理してくれない市区町村役場もあります。プリントアウトする際はA4サイズにするようにしましょう。

各記入欄に記入すること

届出日

窓口に持参して提出する場合は提出日を、郵送の場合は投函日を記入します。

届出先

すでに他の市区町村名が印刷・記入されている用紙を使う場合は、横線で消して提出する市区町村名を記入しましょう。

離婚の際に称していた氏を称する人の氏名・生年月日

現在の氏名を記入します。

住所・世帯主の氏名

婚氏続称届を提出するときに住民登録している住所と世帯主を記入します。 ただし、同時に転入届や転居届を提出する場合は、転入先または転居先の住所と世帯主を記入します。

本籍・筆頭者の氏名

現在の本籍地と筆頭者を、戸籍謄本の記載どおりに記入します。 親の戸籍に戻っている場合は、筆頭者は親になっているので、親の氏名を記入します。 結婚前の姓で新しい戸籍をつくった場合は、自分の氏名を記入します。

変更前の氏・変更後の氏

「変更前の氏」には現在の氏名を、「変更後の氏」には結婚中の姓を記入します。

離婚年月日

協議離婚の場合

離婚届を提出した年月日を記載しましょう。

調停離婚・裁判離婚の場合

調停調書・判決の確定証明書に記載されている日付を記入しましょう。

離婚の際に称していた氏を称した後の本籍・筆頭者の氏名

親の戸籍に戻った方のみ記入する必要があります。新しい本籍地と、筆頭者として結婚中の姓で氏名を記入します。

その他

特に記入する必要はありません。

届出人署名押印(変更前の氏名)

現在の氏名を自筆で署名して、押印します。印鑑は認め印でもかまいませんが、インク式浸透印などのゴム印は使えません。

連絡先

平日の日中に連絡が取れる電話番号を記入します。

捨印

書き間違いがあった場合に役所が訂正できるよう、欄外に婚氏続称届に押した印を捨印として押しておきましょう。

その他に必要となる書類など

本籍地以外の役所に婚氏続称届を提出する場合は、戸籍謄本が必要です。 本人が直接役所の窓口に提出するときは、婚氏続称届に押印したものと同じ印鑑を持参しましょう。窓口で不備が発見された場合に、その場で訂正することができます。

離婚成立から3か月以上経過していたら「氏の変更許可の審判」を申し立てる

離婚が成立してから3か月以上経っている場合は、家庭裁判所に「氏の変更許可の審判」を申し立てて、許可を得ることができれば、結婚中の姓に変更することができます。 許可の審判を確定した後は、本籍地か住所地の市区町村役場に「氏の変更届」という書類を提出します。 氏の変更許可の審判は、自分が住んでいる地域を担当(管轄)している家庭裁判所に申し立てます。 申し立てるときは、所定の書式がある申立書を作成して、それに800円の収入印紙を貼って家庭裁判所に提出しましょう。

この他、裁判所から書類などを送るための郵便費用を郵便切手の形で負担する必要があります。

親の戸籍に戻っている場合は「分籍」の手続きをする必要がある

氏の変更審判を申し立てることができるのは、戸籍の筆頭者に限られるので、離婚の際に親の戸籍に戻った場合は、氏の変更審判を申し立てることができません。 そのため、氏の変更審判を申し立てる前に、本籍地の市区町村役場に「分籍届」という書面を提出して、自分を筆頭者とする戸籍をつくる必要があります。

「やむを得ない事由」が必要

姓の変更は、どんな場合でも許可されるわけではありません。「やむを得ない事由」が必要になります。 「やむを得ない事由」とは、姓の変更を認めないと社会生活上著しく支障がある場合のことです。 裁判例では、離婚してからあまり時間が経過しない時期であれば、「やむを得ない事由」を比較的緩やかに判断する傾向があるようです。 たとえば、離婚裁判が確定してから4か月後に離婚届を提出したため、3か月の婚氏続称届を提出する期限を過ぎていたケースで、結婚中の姓に戻すことを認めた裁判例があります。

審判の申立書の入手方法

「氏の変更審判申立書」の用紙は、最寄りの家庭裁判所で入手することもできますし、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。

申立書の各記入欄に記入する際の注意点

申立人

戸籍の筆頭者(あなた)の氏名を記載します。

申立ての趣旨

記載例は以下の通りです。 「申立人の氏『鈴木』を『田中』と変更することを許可するとの審判を求めます。」

申立ての実情

氏の変更審判を申し立てる必要がある理由を具体的に記入します。 記載例は以下の通りです。

  1. 申立人は、平成◯◯年◯月◯日に田中太郎と婚姻し、長女月子(平成◯年◯月◯日生まれ)をもうけました。
  2. 申立人は、田中太郎と平成◯◯年◯月◯日に調停離婚しました。その際、申立人が長女の親権者となり養育していますが、母子の姓が異なるため、生活に不便をきたしています。
  3. 長女の氏を変えることは通学の都合のため難しいので、申立人の氏を婚姻中の氏である「田中」に変更する許可を求めます。)

その他必要となる書類

「氏の変更審判申立書」に添付する書類として、現在の戸籍謄本が必要です。 その他、姓を変更する必要がある理由を補強するためを資料を提出することができます。 たとえば、結婚しているときから申立てをするまでの全ての戸籍謄本や、「なぜ子がいるのに結婚前の姓に戻ったのか」という理由や婚氏続称したい理由を書いた陳述書などです。仕事などで結婚中の氏名を使っている場合は、郵便物なども資料になります。 審判中に、裁判官から追加書類の提出を求められることもあります。

氏の変更審判の進み方

家庭裁判所に審判を申し立てると、裁判官が事情を聞くための期日が書面で指定されるので、その日に裁判所に出向きます。 期日では、裁判官から、氏の変更をしたい理由や変更する意思が固いかどうかなど事情を聞かれます。 何回家庭裁判所に出向くことになるかは、ケースバイケースです。 裁判官は、申立人が述べた事情や提出した書類、調査官がおこなった調査の結果など、さまざまな資料に基づいて、姓を変更することを許可するかどうか判断します。 審判の内容は、審判書という書面の形で郵送されてきます。

審判の内容に納得出来ない場合は、審判書が手元に届いた日から数えて2週間以内に、高等裁判所に不服を申し立てることができます(即時抗告)。即時抗告せずに2週間が過ぎた場合は、審判が確定して、同じ理由で姓の変更を求めることができなくなります。

「氏の変更届」を役所に提出する

氏の変更が許可されても、自動的に姓が変わるわけではありません。姓を変更するための手続きを進める必要があります。 審判が確定したら、本籍地の市区町村役場の戸籍係に出向いて、姓を変更する手続きをしましょう。窓口で「氏の変更届」という書類に記入して提出します。

本籍地以外の役所で手続きをしようとすると、戸籍謄本の提出を求められることがあります。

手続きの際に必要となる書類

氏の変更届を提出する際には、審判書の謄本を提出する必要があります。それに加えて、審判が確定したことを証明する書類(確定証明書)も提出する必要があります。 確定証明書は、審判を受けた家庭裁判所に申請して交付してもらいます。申請用紙に記入し、150円分の収入印紙を添えて、申請しましょう。郵送してもらう場合は、返信用の切手を添えて申請します。

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