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DV

2018年10月01日

DVを理由とした慰謝料請求が認められるケースと必要となる証拠

配偶者からのDVを理由に離婚する場合、DV被害を理由に、配偶者に対して慰謝料を請求することができます。 この記事では、どのようなケースでいくら程度の慰謝料を支払ってもらえるのか、裁判で慰謝料を認めてもらうためにはどのような証拠を集めればよいのかといった点について、詳しく解説します。

目次

  1. 裁判で認められたDV慰謝料の金額
  2. DVを受けたことを証明する「証拠」を集める
    1. 診断書
    2. 写真
    3. 録音・録画
    4. メール
    5. 日記
    6. 配偶者が書いた念書
    7. 陳述書
    8. DV以外にも原因がある場合、その証拠も集めておく
  3. 離婚する際にDVを理由に慰謝料を請求する際の時効
  4. 弁護士に依頼することのメリット
    1. 弁護士費用を支払う経済的余裕がない場合

裁判で認められたDV慰謝料の金額

DV被害を受けている場合、配偶者との話合いで慰謝料の支払いについて合意することは難しいでしょう。 話合いや離婚調停の中で慰謝料について合意できない場合は、裁判で、裁判官に慰謝料の金額を判断してもらうことになります。 慰謝料の金額はケースバイケースですが、DVが原因で離婚に至ったようなケースの裁判では、100万円を超える慰謝料が認められる可能性があります。中には、800万円以上の慰謝料を認めた裁判例もあります。

ケース1…妻に暴力をふるった夫に対して、慰謝料300万円の支払いを命じた裁判例(東京地裁平成21年8月28日判決)夫から身体的暴力や脅迫などを受けた妻が、夫に対して慰謝料を請求したケースです。

・夫は妻に対して、わき腹を蹴ったり、全身を殴ったり蹴ったりした。これによって妻は左肋軟骨骨折のケガを負った
・夫は妻に対して、首を絞めるとともに、「今度は骨折くらいではなく、もっとひどいことをしてやろうか。殺してしまうとかさ」などと脅迫し、離婚届を書くように迫った
・夫は妻に対して、首を絞めたり、首に包丁を突きつけたりして、離婚届を書くように迫った

裁判所はこのような事実を認定したうえで、妻は夫の暴力などによって夫と離婚することを決意せざるをえず、精神的苦痛を受けたと判断しました。

最終的には、夫に対して慰謝料300万円を支払うよう命じました。

ケース2…妻に暴力をふるった夫に対して、慰謝料800万円の支払いを命じた裁判例(神戸地裁平成13年11月5日判決)夫から身体的暴力や言葉の暴力を受けた妻が、夫に対して慰謝料を請求したケースです。

・夫は妻の意思を無視して性行為を強要することがあった
・妻が体調不良を理由に夫との性行為を拒否したところ、夫は何度も妻の顔を殴り、腕を掴んで引っ張り、逃げようとする妻を押さえつけて髪の毛を引っ張るなどの暴行を加えた
・夫は、妻に対して言葉で責めたり暴力をふるったりするだけではなく、子どもに対しても、怒鳴ったり、暴力をふるったりすることがあった。子どもも夫に恐怖心を持つようになったことから、妻は子どもと一緒に自宅を出て夫と別居を始めた
・別居後、妻は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症しているという診断を受けた。その際、医師は「原因は被告(夫)により加えられた身体的及び性的暴行にある」と述べている

裁判所はこれらの事実を認め、妻は夫の暴力などによってPTSDを発症したと考えられ、妻が負った精神的苦痛はとても大きいと評価して、最終的に、夫に対して、800万円の慰謝料を支払うよう命じました。

DVを受けたことを証明する「証拠」を集める

配偶者からのDVを理由とする慰謝料請求を裁判で認めてほしい場合、実際にDVを受けたことを証明する証拠を集めて、裁判で提示する必要があります。 証拠として認められるのは、たとえば以下のようなものです。

診断書

DVでケガをして病院で治療を受けた場合は、診断書をもらっておきましょう。DVを受けてうつ病などの症状が出た場合も、病院で診断書を取得しておくとよいでしょう。 初診時にもらわなかった場合も、後から発行してもらうことができます。 治療のとき、医師には、配偶者の暴力によってケガをしたり、精神的に不安定になったりしたということを伝えて、カルテに記載してもらいましょう。

写真

DVによって身体にあざや傷ができた場合は、写真を撮っておきましょう。ケガをした日付がわかる場合は併せて記録しておきましょう。 配偶者が家の中で暴れたりした場合は、荒らされた部屋の様子や、壊された家具などの写真も撮っておくとよいでしょう。

録音・録画

脅迫や暴力の様子の録音・録画はDVの重要な証拠になります。配偶者との通話や留守番電話の録音も証拠として使えるので、消去せずに残しておきましょう。

メール

配偶者とのメールのやりとりも、内容によってはDVの証拠になります。消去したくなるかもしれませんが、暴言などをメールで浴びせられた場合は、残しておくことでDVの証拠として裁判所に提出することができます。 裁判所への提出時には、プリントアウトしたものや、メールの画面を撮影したものを出すことになるでしょう。

日記

DVがいつ、どこで、どんなふうに行われたかを書いた日記やメモも、1つの証拠になります。 どのような暴力を受けて、その結果どのようなケガをしたのか、記録が具体的であるほど証拠としての効力があるでしょう。

配偶者が書いた念書

DVを受けて別居し、配偶者が謝罪したため家に戻ったけれど、再び暴力が繰り返されているという状況の人もいるかもしれません。 このようなケースで、配偶者が「二度と暴力は振るわない」といった念書を書いている場合、その念書も重要な証拠になります。

陳述書

配偶者からいつ、どこで、どのように暴力や脅迫を受けたかを書いた陳述書も証拠になります。 陳述書とは、自分が体験したことを記載し、署名押印をした書類です。書き方に決まりはなく、直筆でも、パソコンなどで作成してもかまいません。 DVを目撃している第三者がいる場合には、その人が書いた陳述書も証拠として提出しましょう。 第三者の協力を得られる場合は、いつ、どこで、どのようにDVが行われたのか、時系列で書いてもらうとよいでしょう。署名押印とも忘れずにしてもらいましょう。 また、陳述書には作成した日付も記載しておきましょう。

DV以外にも原因がある場合、その証拠も集めておく

DVだけではなく、配偶者が不貞行為をしていたなど、別の事情もある場合、DVだけが原因の場合と比べて高額な慰謝料が認められる場合があります。 たとえば、不倫をやめるように求めた妻に対して、夫が、暴言をはいたり、物を投げつけるなどの暴行をしていたというケースで、夫に500万円の慰謝料の支払いを命じた裁判例があります。(仙台地方裁判所平成13年3月22日判決) 暴力をふるう配偶者が不貞行為もしていた場合、DVの証拠とともに、不貞行為が実際にあったことを証明する証拠も集めておくとよいでしょう。 不貞行為の証拠の集め方について、詳しくは以下の記事で解説しています。

離婚する際にDVを理由に慰謝料を請求する際の時効

DVを理由に離婚するときに請求する慰謝料は、暴力を受けた日の翌日から数えて3年が過ぎると、請求する権利が消滅します。 慰謝料は、離婚が成立した後から請求することもできますが、時効によって請求する権利が消滅してしまうというリスクがあります。 また、「どの時点から時効期間のカウントをはじめるのか(時効の起算点)」という点については、「離婚が成立した時点」と考える裁判例もあります。 このように考えた場合、「離婚が成立した時点から3年」で時効が完成することになり、DV行為があった時点からカウントすると時効が完成しているようなケースでも、慰謝料を請求できる可能性があります。 ただし、「離婚が成立した時点」を時効の起算点とする主張が認められるかどうかは、ケースごとの事情によって異なる可能性があります。 慰謝料をもとめる権利が時効にかかっているのかどうか、自分では判断が難しい場合は、弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

弁護士に依頼することのメリット

配偶者にDVの慰謝料を支払ってもらいたいけれど、調停や裁判などに自分1人で臨むことに不安を感じている人もいるでしょう。自分に暴力をふるった配偶者と直接関わりたくない、と思っている人もいるでしょう。 不安を解消するための1つの方法が、弁護士に間に入ってもらい、調停や裁判の手続きをサポートしてもらうことです。 弁護士にサポートを依頼すると、配偶者側との交渉を自分の代わりに行ってもらえるため、配偶者と慰謝料について直接話し合う必要はありません。 交渉を進めるうえでは、法律の専門知識や実務経験が不可欠です。弁護士に交渉を任せることで、有利に話を進めてもらうことができるでしょう。

弁護士費用を支払う経済的余裕がない場合

弁護士費用を支払えるか不安な人は、法テラスの「民事法律扶助」という仕組みを利用することを検討してみましょう。 民事法律扶助とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談できたり、一定の要件をみたせば弁護士費用などを立て替えてくれる仕組みです。 具体的には、弁護士費用として毎月5000円から1万円程度を法テラスに返済(償還)していきます。 生活保護を受給している人(または準ずる人)は、返済の猶予もしくは免除を受けることができるため、実質無償で弁護士に依頼することができます。 民事法律扶助で取り扱う事件として、離婚事件は、破産などの多重債務事件の次に利用されることが多い分野です。

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