面会交流が制限されるケース

夫婦の離婚や別居によって、一方の親が子どもと離れて暮らすことになった場合でも、その親には、子どもと面会するなどの交流(面会交流)をもつ権利があります。 ただし、面会交流を行うことが、子どもにとって明らかに悪い影響を与える場合には、その権利が制限される場合があります。 この記事では、具体的にどのような場合に面会交流の権利が制限されるのか詳しく解説します。

目次

  1. 面会交流は「子どものため」に行われる
  2. 子どもが面会交流を望まない場合
  3. 配偶者からの暴力や攻撃的な言動があるケース
  4. 面会交流があとになって禁止されたケース

面会交流は「子どものため」に行われる

alt 別居や離婚によって子どもと離れて生活する親にも、子どもと会って一緒に過ごしたり、連絡を取り合ったりする権利が認められています(面会交流)。 面会交流するかどうか、夫婦の話合いで決められない場合、最終的には、裁判所に「面会交流をするかどうか」「どのような形で面会交流をするかどうか」を判断してもらうことになります。 離れて暮らす親と交流することは子どもの利益になると考えられているので、裁判所は、基本的には面会交流を認めようとする傾向にあります。 ただし、一定の場合は、面会交流を認めなかったり、認めたとしても、その方法を手紙のやりとりに限定するなどの制限をしたりすることがあります。 裁判所は、面会交流が子どもの幸福や利益に悪影響を与えるかどうか、当事者から提出された資料や調査官による調査結果、当事者への聞取り結果などをもとに考え、そのうえで、面会交流を認めるかどうかを判断します。 具体的には、次のようなケースです。 alt

子どもが面会交流を望まない場合

alt 絶対ではありませんが、子ども自身の意思は重要視されます。裁判例では、少なくとも15歳以上であれば、子どもの意思が尊重される傾向にあります。 ある程度年齢が高い子どもが、離れて生活する親への恐怖心などから面会交流を拒否している場合や、面会交流を行うことで子どもの精神状態が不安定になると考えられる場合には、面会交流の拒否や制限が認められる可能性があります。

父親が、12歳、9歳、6歳の子どもとの面会交流を求めたケース(東京家八王子支審平成18年1月31日)このケースでは、次のような事実を重視して、子どもそれぞれについて、個別に面会交流を認めるかどうかを判断しました。

(1)12歳の子ども 

・父親に対して強い拒否感がなかった
・面会交流を行うかどうか自分で判断できる能力があると判断された

(2)9歳の子ども

・父親に恐怖心を持っていた
・父親との面会交流を拒否していた

(3)6歳の子ども

・母親の協力がない状態では面会交流の実施が難しい状態だった

こうした事情から、裁判所は、12歳の子どもについては面会交流を認め、9歳と6歳の子どもについては、面会交流を認めませんでした。

配偶者からの暴力や攻撃的な言動があるケース

alt 子どもと離れて暮らす親が、配偶者に暴力をふるっていたような場合、面会交流が認められない可能性があります。 「配偶者に対して暴力をふるうことは、子に対する虐待と同じ」と考えられているからです。 現在では暴力がおさまっていても、加害者が充分に反省していない場合や、子どもの怯えが続いている場合には、面会交流は認められません。 身体的な暴力だけではなく、攻撃的な言動がある場合にも、面会交流が認められない可能性があります。

配偶者に暴力を振るっていた父親が子どもとの面会交流を求めたケース(東京家審平成14年10月31日)子どもと離れて暮らす父親が、同居中、配偶者に暴力を振るっていたケースです。父親に対しては保護命令(配偶者に近寄らないことなどを裁判所が命令すること)が出されていました。

・同居していたとき、父親は配偶者に暴力をふるっていた
・父親には、「配偶者に近づいてはならない」などの命令(保護命令)が裁判所からでていた
・父親と配偶者は裁判で離婚を争っていた。
・父親は、子どもに会うために事前に連絡なく保育園を訪れ、園側の指示にも従わないことがあった
・父親と会った後、子どもが精神的に不安定になることが多くあった

裁判所は、このような事実を重視して、①両親が深刻な対立状況にある中で面会交流を行った場合、子どもを精神的に動揺させてしまう、②子どもへの心配りが十分ではない、③父親としての純粋な愛情に基づく面会交流を実施することは期待できない、などと評価して、父親の面会交流の申立てを認めませんでした。

面会交流があとになって禁止されたケース

alt いったんは夫婦の話合いや調停で、面会交流に関する条件を決めることができても、離れて生活する方の親が、面会交流のルールを守らなかったような場合は、面会交流が禁止されることがあります。

面会交流のルールを守らないことを理由に、父親が面会交流の取りやめを求めたケース(横浜家相模原支審平成18年3月9日)このケースでは、子どもと離れて暮らす母親が、子どもを待ち伏せする・無断で会いに行く、子どもを連れ回して逮捕されるなどの行動を重ねていました。

裁判所は、これらの事情から、母親が子どもにとって適切な面会交流を実施することは期待できないとして、面会交流を全面的に禁止しました。

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