離婚の際に財産分与で受け取った財産や慰謝料について、税金がかかるのか気になる方もいるのではないでしょうか?
- 財産分与で税金がかかることはあるの?
- 分与される財産が不動産など現金以外の場合は?
- 慰謝料に税金はかかるの?
この記事ではこうした疑問を、「みんなの法律相談」に寄せられた、実際の相談事例と弁護士の回答をもとに解説します。離婚して財産分与を受けたり、慰謝料を受け取ったりする予定がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
財産分与に税金がかかるケース
財産分与には税金がかかる可能性があるのでしょうか。また、税金がかかるのはどのような場合なのでしょうか。
相談者の疑問
離婚の財産分与に税金はかかりますか?
川添 圭弁護士
財産分与に対しては、その分与の額が適正と評価される限りで非課税とされています。
ただ、国税庁の見解によれば、(1)分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合は、その多過ぎる部分について贈与税が課税され、(2)離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には全額に対して贈与税が課税されるとしています(相続税基本通達9-8,所得税基本通達33-1の4)。
財産分与が適正と評価される範囲では非課税ですが、分与された財産の額が多すぎる場合や、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には、贈与税がかかる可能性があるようです。
分与される財産が不動産の場合はどうなるの?
財産分与で受け取った場合、原則として税金がかからないことようですが、受け取った財産が不動産の場合はどうなるのでしょうか?
相談者の疑問
離婚時のマンション財産分与について質問です。共有名義、ペアローンでマンション購入しました。離婚後はローンを借り換え、私単独ローン、単独名義にしようとしています。
①この場合夫から私への所有権移転手続きは不要でしょうか。(ローン借り換えの際に登記手続きしようと考えてます)
②名義変更による登録免許税は発生するのでしょうか
③その他何か税が発生しますでしょうか。
原田 和幸弁護士
①ローンを相談者の単独名義するなら、所有権についても単独名義の登記にするか、夫の持分についても抵当権を設定できないと、金融機関が応じてくれないと思います。
それに所有権を単独にしたいなら、普通は登記を移すべきだと思います。
②はい。
③夫側に譲渡所得税が発生する可能性があります。相談者側に、贈与税不動産取得税がかかる場合もなくはありませんが、一般的にはかからないとされています。あと、持分が増える分固定資産税都市計画税は増えると思います。
財産分与の対象が不動産の場合も贈与税や不動産取得税など税金は、一般的にかからないと考えてよさそうです。一方で、登録免許税や固定資産税などの負担は発生する可能性があるようです。
慰謝料に税金はかかるの?
受け取る金銭が財産分与ではなく、慰謝料の場合はどうなるのでしょうか?
相談者の疑問
協議離婚をしようと思います。理由は夫の浮気です。
相手を訴えるというと、自分が慰謝料を直接私に払うということでした。
個人的に慰謝料を受け取った時、税金などのお金は発生しますか?
小沢 一仁弁護士
慰謝料請求の場合は、過大な額を受領しなければ税金は発生しないと思います。
相談者の疑問
離婚慰謝料に税金はかかるのでしょうか?
好川 久治弁護士
離婚慰謝料とおっしゃっているものが精神的損害に対する慰謝料であれば税金はかかりません。法律的意味で厳密な離婚慰謝料ではありませんが、もし財産分与の趣旨でおっしゃっている場合でも、財産分与に名を借りて過大な金銭を授受することがなければ税金はかかりません。
相談者の疑問
慰謝料も税金がかかるのですか?
鐘ケ江 啓司弁護士
慰謝料には税金はかかりません。
ただし、実質的には慰謝料ではない、と税務署に判断される事例もあります。
常識的な金額であれば問題になりません。
慰謝料として受け取る場合であっても、過大な額でなければ問題なさそうですが、実質的には慰謝料ではないと税務署に判断されるような場合など、課税されるケースもあるようです。
まとめ
財産分与については、その分与の額が適正と評価される限りで非課税とされているようですが、分与された財産の額が多すぎる、もしくは離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には、贈与税がかかる可能性があるようです。 慰謝料についても、原則的には課税されることはないようですが、「実質的には慰謝料ではない」と税務署に判断されるような場合は、課税されることもあるようです。