ビートたけしさんが監修し、1986年にファミコン向けに発売された伝説のクソゲー「たけしの挑戦状」(タイトー)が今夏、スマートフォン向けゲームとして復刻されることになり、話題になっている。
しがないサラリーマンが島に眠る財宝を探しに出るというストーリーだが、何もせず1時間放置することが求められるなど、理不尽なまでに難易度が高く、攻略情報なしにクリアすることはほぼ不可能だ。
相当苦労してクリアしても、たけしさんから「こんな け゛ーむに まし゛に なっちゃって と゛うするの」と皮肉を言われるなど、独特の世界観であることから、ゲームの歴史上、伝説的なクソゲーとして、今に語り継がれている。
ファミコン時代のソフトは、あまりに攻略が難しいものが多かったが、ひどすぎる場合は「金返せ」と要求できるのだろうか。上田孝治弁護士に聞いた。
●当然に要求される便益や効能を備えているか
「ゲームに限らず、およそ商品やサービスには、そこから得られる『便益』や『効能』があります。購入者は、こうした『便益』や『効能』への対価として、代金を支払うわけです。
これをひっくり返すと、商品やサービスが、『当然に要求される便益や効能』を備えていなかった場合に、返金を求めることができるということになります。
それは、商品やサービスの特性や、商品説明などをふまえて、『便益』や『効能』があったかどうかを判断することになります」
●クリアできないわけではないので、返金は難しい
では、「たけしの挑戦状」のように、まともに挑んでも、ほとんどクリアできないゲームはどうなのか。
「次々と現れる障害を乗り越えて、クリアを目指すという形式のゲームの場合、『最終的にクリアできる』ということは、備えておくべき重要な要素といえるでしょう。
ゲームはもちろん、クリアするまでの一つ一つの過程が楽しいものですが、その楽しさは、最終的にクリアすることにつながるということも、大きく関係しています。
ゲームが『そもそもどうやってもクリアできない』なら、挑戦する気は起きにくいですし、過程を楽しむことも難しいでしょう」
たけしの挑戦状は超高難易度なので、「金返せ」と言えるのか。
「そうとも言えません。プレイヤーの技量にはかなりの開きがありますので、難しさのバランスについては、法律上、『これが正解』というような明確な線引きは、非常に困難です。
およそ誰もクリアできないようなゲームでもない限り、難易度を理由にして返金を求めるのは難しいと言えます。
『たけしの挑戦状』も難易度の高さがあるものの、攻略情報も広まっていて、クリアできないわけではないですし、そもそも難易度が高いということは広く知られているので、難しいでしょう」
上田弁護士はこのように述べていた。