2015年09月16日 16時45分

参院特別委の地方公聴会「単なるセレモニーですか?」という質問に、委員長は・・・

参院特別委の地方公聴会「単なるセレモニーですか?」という質問に、委員長は・・・
横浜で行われた参院特別委の地方公聴会は、ニコニコ生放送でも中継された。

安保法案を審議している参議院の特別委員会が9月16日、横浜市で地方公聴会を開いた。与野党推薦の公述人4人が出席し、それぞれ法案に対する意見を述べ、議員からの質問に答えた。

参院特別委は、公聴会が終了した後の同日18時から、安保法案審議の締めくくりとなる総括質疑を行う予定だ。

そのため、公述人の水上貴央弁護士は、意見を述べる前提として「この横浜公聴会は、慎重で十分な審議をするための会ですか、それとも採決のための単なるセレモニーですか」と質問。職権で総括質疑を決めたと報じられている鴻池祥肇委員長に、問いただした。

鴻池委員長は「この件につきましては、各政党の理事間協議において、本日の横浜の地方公聴会が決まったわけです。その前段、その後段については、いまだに協議が整っておりません」と述べた。

公聴会の様子はニコニコ動画で生中継された。

●「平和安全法制は抑止力を強めるもの」(自衛官OB)

伊藤俊幸・前海上自衛隊呉地方総監は、法案に賛成する立場から、次のように述べた。

「平和を守るとは平和な状態を維持し、戦わなくて良いようにすることだ。我が国は、外交等あらゆる手段で平和維持の努力をしている。その平和的手段の一つが抑止力だ。

抑止力は、世界中の軍隊の役割だ。日米安保に基づき、米軍と共に行動することで、抑止力はさらに強固になっている。

平和安全法制は抑止力を強めるものだ。中国の東シナ海での行動に抑制が効いているのは、海上保安庁による警戒監視や日米同盟が、島しょを占領しようとする中国の意図をくじいているからだ。

現在議論になっている平和安全法制は、この抑止力をさらに強化し、現状を変更しようとする他国の意思をくじくための法律だ」

●「現在の民意に耳を傾けることこそが、政治家の責務」(大学教授)

広渡清吾・専修大教授(法学)は、法案は違憲だと指摘。集団的自衛権の行使を容認した閣議決定について、「政府の権力をチェックする憲法を、チェックされる政府が、自分の政策に都合の良いように変更したというのが、事態の本質です」と批判した。

さらに、法案審議のあり方についても、「安保法案の強行は、民意を無視し、民主主義・国民主権に背くものだ」とし、次のように述べた。

「法案の進め方は、民主主義と立憲主義に対する挑戦だ。安倍首相は、今国会でどうしても成立させる気のようだが、国会の多数派と、国民の多数派のねじれは、深刻な問題だ。

主権者国民は、国会の多数派に、全くの白紙委任状を与えたわけではない。国民を、選挙のときだけの主権者に押し縮めることは、民主主義を形骸化させる。

安保法案は、審議が進むほど重大な問題点が続出し、国会が議論をつくしたとは、大多数の国民が考えていない。現在の民意に耳を傾けることこそが、政治家の責務だ」

●「アメリカの戦争に巻き込まれるリスクは大きくない」(安全保障研究者)

渡部恒雄・東京財団上席研究員(安全保障政策)は、「冷静に考えれば、日本の限られた資源と防衛力だけで日本の安全を守れないことは明らか。日米同盟があるから、より少ない予算とリスクで自国を守れる」と主張したうえで、次のように話した。

「人々が不安に思っているのは、日本が望んでいないのに、日本の防衛と関係ないアメリカの戦争に巻き込まれることだ。これを『巻き込まれの恐怖』と呼ぶ。この逆の『見捨てられの恐怖』もある。両方のリスクを勘案し、最善の策を取るべきだ。

法案と国際関係の現状を冷静に観察すると、『巻き込まれのリスク』は人々が不安に思っているほど大きくない。集団的自衛権が一部行使できるのは、存立危機事態と重要影響事態の2つだけだからだ。

たとえば、朝鮮半島等での有事は『巻き込まれ』を心配するケースではない。むしろ、そういう事態で協力しなければ、同盟国日本に対するアメリカの信頼は大きく揺らぎ、『見捨てられのリスク』はかなり大きくなる」

●「この状態の法案を通すなら、民主主義ではない」(弁護士)

水上貴央弁護士は「安保法案には欠陥がある」として、次のように述べた。

「(安保法案に含まれている)自衛隊法95条の2では、自衛官が武器を使用して、他国の武器等を守れることになっている。

この条文の主語は『自衛官』で、守る対象の武器等には、艦船や航空機が含まれる。つまり、自衛官個人が、武器を使ってアメリカの艦船を守る、というとんでもない規定だ。こんな不合理な条文になっているのは、もしもこの行為を我が国自身が組織的にやったら、明確に武力行使になるからだ。

しかし、条文に自衛官と書いたからといって、行為の本質は変わらない。しかも、この場合、新3要件の縛りはない。これは、完全にフルスペックの集団的自衛権だ。限定されてもいない。つまり、この条文は明確な違憲条文で、自衛隊法95条の2は、必ず削除しなければならない」

水上弁護士は「ここまで重大な問題が明らかになり、政府の説明とも乖離がある状態の法案を通してしまえば、国会の存在意義がなくなる。単なる多数決主義であって、民主主義ではない」と強調していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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