裁判IT化 4割以上が「非弁行為の横行」に懸念【民事裁判手続IT化アンケートvol.2】

弁護士ドットコムでは、民事裁判手続のIT化に関して、全国の弁護士にアンケートを実施した(実施期間:2020年7月17日から31日)。7月31日の時点で、182名の弁護士から回答を得た。アンケート結果の概要を5回に分けて紹介する。2回目は、「利用者が裁判を受ける権利に関する懸念点」「裁判所の情報セキュリティに関する懸念点」などについて聞いた結果をまとめた。
1回目 民事裁判手続IT化への期待大 弁護士の8割が賛成

目次

  1. 半数以上が「裁判所に対する適切な心証形成」に懸念
  2. 4割以上が「データの誤送信」や「機密保持が保たれない」ことを不安視

半数以上が「裁判所に対する適切な心証形成」に懸念


民事裁判手続きのIT化による、利用者が裁判を受ける権利に関する懸念点を複数選択可能な方式で尋ねたところ、「証人尋問などをWeb会議にすると、裁判所に対して、適切に心証形成ができない可能性がある」(56.6%)との回答が最多。次いで「IT機器の補助などに関する非弁行為が横行する可能性がある」(42.3%)となった。

日弁連の「民事裁判手続のIT化における本人サポートに関する基本方針」でも、本人訴訟で、紙の訴状をPDF化して、オンラインで裁判所に提出するケースを例として、「本人へのサポートは、裁判手続に特化することなく、多数のアクセスポイントがあり、廉価な民間サービスで相当の機能を担える。しかし、純粋な形式サポートに限定されない場合(PDF化だけでなく、法律事務面のサポートを行うなど)には、非弁の問題が生じる」と懸念が示されている。

「本人訴訟の際の、IT機器を使いこなせない市民への救済案が不十分」(35.2%)「IT機器の操作熟練度によって、裁判所を利用することへの格差が出てくる」(27.5%)と続く。

また、自由記述の回答では、「地方の支部等が裁判官不在になり、直接の審理を受けられない」「本人訴訟でも、ITフォローと称して弁護士が事件についても助力を求められる蓋然性が高い」「裁判所側(特に高齢の書記官)がITを使いこなせずグダグダになること」などに対する懸念の声が聞かれた。

4割以上が「データの誤送信」や「機密保持が保たれない」ことを不安視


民事裁判手続きIT化による、裁判所の情報セキュリティへの懸念点を複数選択可能な方式で尋ねたところ、「データ送達時に誤送信する可能性がある」「機密情報が保たれるかどうか不安」(共に46.2%)の2つが最多となった。「被告などへのなりすましが横行する可能性がある」(35.2%)、「書証の電子データを原本にすることで、不正改ざんなどの不安がある」(33.5%)と続く。

また、自由記述の回答では、「(データを)送ったか送ってないかでトラブルになりそう」「裁判所(もシステム)へのハッキング」「天災や人災によるデータの消失」「裁判記録が安易にネット上に流される(恐れがある)」「裁判所側のリテラシーの低さ」などの意見が見られた。

情報セキュリティに関して、公益社団法人商事法務研究会による「民事裁判手続等IT化研究会報告書」では、裁判所に、オンラインシステムによる簡易な訴状などの書面の送達方法を設けて、書面がアップロードされたら、事前に登録された電子メール等のアドレスに通知したい考えを示している。

対して、日弁連は、なりすまり奉仕のために、確実な本人確認の方法の検討を求めているほか、「IT機器の使用が困難な者や、その取り扱いに習熟しない者がいるため、送達書面を全てシステム送達で行うのではなく、送達システムに登録または届出をした当事者の利用に限定するべき」との見解を示している。
3回目 6割近くが「初回期日から6ヶ月以内に訴訟を終了するルール」を懸念

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