「社会運動に取り組むために欠かせぬツール」 嶋﨑量弁護士が語るTwitterの活用方法


民間調査会社が2018年12月にまとめた調査結果で、国内におけるSNS(ソーシャルネットワークサービス)の利用者数は7,523万人(普及率75%)で、2020年末には7,937万人へ拡大すると予想されている(ICT総研 2018年度 SNS利用動向に関する調査より)。

利用率を見ると、Twitterが37.3%、Instagramが35.5%、Facebookが32.8%となっていて、Twitterの利用率が一番高い(総務省の「2019年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」より)。

社会活動や営業活動、プライベートなどでTwitterを利用している弁護士、または、これから利用しようと考えている弁護士も多いと思われる。今回、Twitterで1.8万人のフォロワーを持ち、労働問題を中心に発信を続け、大量懲戒請求の対象ともなった嶋﨑量弁護士に、Twitterの活用方法や効果、誹謗中傷対策などについて話を聞いた(インタビュー2020年6月15日)。

目次

  1. 誹謗中傷は、自分の意見の拡散に利用する
  2. 不当な扱いに屈し、「社会的に意味があると考えている発信をやめる」という選択肢はない
  3. twitterでの発言は、「常に全方位から見られている」という意識を持つべき
  4. この瞬間に世間で起こっている出来事に対して、リアルタイムで意見を述べられる
  5. Twitterを利用する目的によって、使い方は千差万別

誹謗中傷は、自分の意見の拡散に利用する


ーー Twitterを利用する目的について、教えてください。

2014年6月から、主に社会運動に取り組む際のツールとしてTwitterを活用しています。主に労働者や労働組合などを対象に、労働問題等に関する様々な情報を発信する機会を提供する目的で発信を続けています。

ーー 投稿する上で、工夫していることはありますか。

通常の投稿も誹謗中傷に反論する場合も、意識的に理性的な書き方にしています。

理由としては、今のTwitterの言論空間は歪んでいて、反対意見に対して、理性的に意見交換ができない場合が多いからです。対立する意見に対しても、意識的に、冷静な言葉を選ぶようにはしています。

フォロワーを増やす、リツイート数やファボ数などのインプレッションが上がること自体を目的とするなら、強く激しい言葉を投げかけるほうが効果的ですが、私の場合は、そこが目的ではありません。「バズって意見が拡散されること」と、「閲覧者に意見が浸透すること」は違うと考えています。Twitterを通じて、自分とは異なる意見を持つ方に、自分の意見を伝えようとする際、相手を罵倒する厳しい言葉を使うことは、意見を浸透させることには繋がらないと考えています。ですから、理性的な言葉を選ぶことで、自分と違う意見でも、耳を傾けてもいいという気持ちになってもらうことが狙いです。政治家などを批判することも多いですが、公職者でも敬称はつけるし、どぎついキツイ形容詞で注目を集めるような書き方はしないようにしています。

私の主たる取扱い分野である労働分野や、貧困問題や差別の問題など様々な人権課題に関する分野は、いずれも意見対立激しい分野なので、私のツイートに対して誹謗中傷が送られてくることも少なくありません。

ですが、基本的に誹謗中傷するツイートには取り合わないようにしています。たまに取りあげることもありますが、取りあげてコメントを書くことで、多くの方が誤解している点などを指摘して他の閲覧者に自分の意見をより深く伝える、議論を深めるために行うことが多いです。

とはいえ、その場合も、Twitter上での真摯な意見交換はほとんど期待はしていません。そういった真摯な意見交換ができるアカウントは、最初から誹謗中傷のレスなど送ってきませんから。

ーー 誹謗中傷をしてきたアカウントへは、どのような対策をしていますか。

ブロック(特定のアカウントからのフォローや連絡、ツイートの閲覧などを禁止する機能)はしていません。せいぜい、ミュート(特定のアカウントの返信やリツイートなどを、自分のタイムラインに表示しない機能。プッシュ通知やメール通知も届かない)程度にする。ブロックするのは簡単だが、相手の意見を見ることができなくなってしまうので、私は今のところ使っていません。

私の場合は、ミュートで視界に入らなければ、それだけでストレスも感じないので(ブロックする主義の方もいらっしゃいますし、そのやり方を否定もしません)。

不当な扱いに屈し、「社会的に意味があると考えている発信をやめる」という選択肢はない


ーー 誹謗中傷だけでなく、2017年11月以降、同一の理由で958件もの大量の懲戒請求を受けました。対して、自らが原告となって、2018年11月以降、懲戒請求者に対して民事訴訟も提起をしています。「Twitterを辞める」という選択肢はありましたか。

弁護士を中心に多くの方に、多額の訴訟実費カンパをいただき、何とか訴訟を遂行できています。まずはこの場を借りて、カンパをいただいた皆さまに御礼をさせて下さい。

私の場合は、懲戒請求を理由にTwitterでの発信をやめるという選択肢は考えたことはありません。

不当な懲戒請求は、弁護士の活動に対する明白な業務妨害であり、無視すべきではないと考えています(Twitterをやめたところで懲戒請求が止むわけではありませんし)。私は、労働弁護士として、職場で不当な扱いを受けた労働者が必死に抗う際のサポートをしてきました。自身に対する大量懲戒請求という威迫に対して、口を閉ざすというのは、自分の信条からはあり得ないことでした。

ただ、実際に私が大量の不当懲戒請求に提訴ができたのは、幸い執務環境などから可能だったというだけです。声をあげなかった方が悪いとは全く思っておりません。

twitterでの発言は、「常に全方位から見られている」という意識を持つべき


ーー Twitterを利用する上で心がけていることはありますか。

Twitterに投稿したツイートは、鍵アカウント(該当のアカウントをフォローしている人以外は、そのアカウントのツイートを閲覧することができないモード)でもない限り、あらゆる人間が制限なく閲覧することができます。そのため、実名でアカウントを持っている弁護士は、「相談者や依頼者、裁判官、検察官、相手方弁護士、同僚弁護士や事務員などの仕事上で関わる人物にも、閲覧される」ということを念頭に置いて投稿を行う必要があるでしょう。

相手方の弁護士も、私のTwitterを見ている方も少なくないでしょうし、裁判官も見ているでしょう。ですから、自分の「弁護士」としてのある種のブランディング上も、Twitterだから何を書いても良いという風には思いません。乱暴な書き振りの投稿を行うと、私はもちろんのこと、私の依頼者も裁判官や相手方から予断をもって見られるので、そこにも気は遣います。

また、相談者や依頼者の視線も考慮します。

生活面で困窮状態にある方や、大きな苦難に直面している方も多いので、私的なこと、とりわけ楽しい日常生活などは、Twitter上では書きません。Facebookには個人的なことばかり書いていますが、Facebookを閲覧できる「友達」は交友関係がある方や信頼のおけそうな方にかぎっています。

とはいえ、これはあくまで「私」の使い方にすぎません。顧客層やTwitterの利用目的によって、利用方法は千差万別でしょう。

他の弁護士アカウントなどをみても、Twitterでプライベートな話をすることで、自分のキャラクターを伝え、ブランディング化をしており、成功しているな、と思う方も多いです。Twitterは、多くの方に自分のキャラクターをわかりやすく伝えることができるので、たとえば、敷居の高い弁護士が潜在的な顧客層に対して親近感を持ってもらうことを意識した利用方法や、業務にもつながる自分の関心分野の投稿を通じて伝えていく利用方法等も、効果があると思います。

自分なりの利用方法を追及してみると良いと思います。

この瞬間に世間で起こっている出来事に対して、リアルタイムで意見を述べられる


ーー Twitterを活用する利点はありますか。

私の場合は、その瞬間に世間を賑わせている事件や社会問題に対して、リアルタイムで専門家としての意見を伝えることができることです。書籍等になるのを待たずに、意見を専門家としての発信できるため、タイムリーな情報発信ができます。私自身は、労働問題などについて、労働側の立場で様々な政策提言(例:教員の働き方改革、高度プロフェッショナル制度の是非など)等を行っているのですが、SNSの投稿を通じて、新聞・ラジオ・テレビなど大手メディアへの出演や寄稿、コメントなどの依頼がくることも多く、さらに意見を広く発信する契機にもなっています。

例えば、教員の働き方改革に関しては国会に参考人として招致されましたが、SNSなどでの情報発信などをしていたことも参考人に選ばれた要因の一つであると思います。

今後、社会問題にも関わっていこうと考えている弁護士さんには、SNSのアカウントはもった方が良いと伝えています。そして、その活動についてTwitterを使用するのであれば、実名アカウントの方がよいとも思います。

理由は、上記の様に、弁護士として責任ある言動につながれば、他の大手メディアなどを通じて情報の拡散もなされやすいからです。

私は作っていませんが、依頼者などのことを気に掛けず弁護士・匿名アカウントで仲間内の気楽なやり取りをしたいのであれば(「法クラ」と呼ばれます)、別途匿名アカウントも作ればよいのでは、と思います。

Twitterを利用する目的によって、使い方は千差万別


ーー 現在、Twitterの活用を検討している弁護士に向けて、アドバイスなどありましたら、お願いします。

Twitterを社会運動に使うのか、営業活動に使うのか、プライベートに使うのか、用途によって、アカウントを実名にするかどうか、投稿の内容、書き振りなどは異なってくるでしょう。

いずれにせよ、Twitterの活用に興味があるのならば、まずは気楽に始めてみることをお勧めします。使ってみないとわからないことも多い世界なので、最初は、自分からの情報発信(ツイート)はせずとも、ただ情報を受け取る(流れてくるツイートを見る)だけでも良いと思います。自分とは意見や立ち位置、専門分野などが違っても、業務の参考になる意見や業務上のノウハウを発信している方も多数いらっしゃるので、私はいつも参考にさせてもらっています。業務用の情報収集用としても、Twitterは大いに利用価値があると思います。
※嶋﨑弁護士のツイッターアカウント https://twitter.com/shima_chikara 弁護士ドットコムタイムズのロゴマーク

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