名誉毀損罪の公然性と伝播可能性の判例
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大判昭和12年11月19日刑集16巻1513頁の名誉毀損罪に関する判例を読んで疑問をいだきました。
概要
当該判例の概要は下記のようなものであると思います。
「通常、特定多数(公然性あり)と判断される8名の者に対し、被告人が被害者の名誉を毀損しうる事実を摘示した。しかし、
・被告人は当初、言うのを拒んでいた。
・周りの人間が言うように迫り、被告人は仕方なく述べた。
以上の二点から判断して、話を聞き出した8名には聞いた話を外に漏らさない義務が当然に備わる。よって名誉毀損罪は成立しない。」
疑問
「ここだけの秘密にする」等といって話を聞きだしたからには、聞いた者には確かに外に内容を漏らさない義務が発生するとは思いますが、仮に外に漏らさなかったとしてもそれにより否定されるのは適示事実の今後の伝播可能性だけであり、8名という通常は特定多数の者と判断される人数の人に話した(公然と事実を適示し、人の名誉を毀損した。)という事実にはかわりはないと思うのですが、それでも名誉毀損罪は成立しないのでしょうか?