後遺障害

弁護士監修記事 2018年04月15日

後遺障害が残っても収入は減らなかった…逸失利益は支払われる?

交通事故で後遺障害が残った場合、「後遺障害が残らなければ得られたはずの収入」を逸失利益(後遺障害逸失利益)として保険会社に支払ってもらうことができます。 では、後遺障害が残っても実際には収入が減らなかった場合でも、逸失利益を支払ってもらうことはできるのでしょうか。 最高裁の判例を踏まえて詳しく解説します。

目次

  1. 後遺障害逸失利益とは
  2. 収入が減らない場合には原則として逸失利益はもらえない
  3. 収入が減らない場合でも逸失利益がもらえる場合がある
    1. 特段の事情があると認められるために裁判例で考慮される事情
  4. 収入が減らない場合には弁護士に相談を

後遺障害逸失利益とは

alt 逸失利益とは、交通事故の賠償金の費目のひとつで、簡単に言えば「被害者が交通事故にあわずに後遺障害が残らなければ得られたはずの利益」のことをいいます。被害者の年齢や収入、後遺障害の程度などに応じて金額が変わります。 逸失利益は賠償金の中でも金額が大きい費目です。保険会社から提案された額が、どのような計算で算出されたのか、自分でも理解できるようにしておいた方がよいでしょう。 後遺障害逸失利益の計算方法について、詳しくは次の記事で解説しています。

収入が減らない場合には原則として逸失利益はもらえない

alt 後遺障害が残っても収入が減らなかった場合の逸失利益について、最高裁は、後遺障害の程度が比較的軽微であり、被害者の職業からすると現在だけでなく将来的にも収入が減ることはないといえる場合には、特段の事情のない限り、逸失利益を認める余地はないと判断しました。 簡単に説明すると「収入が減っていないということは、交通事故による損害が生じていないと評価できるので賠償する必要はない」ということが理由です。

収入が減らない場合でも逸失利益がもらえる場合がある

alt ただし、収入が減らない場合でも、後遺障害があることで被害者に経済的な不利益があるといえるような「特段の事情」がある場合には、逸失利益が認められる場合もあります たとえば、被害者本人が収入を減らさないように特別に努力している場合など、交通事故以外の理由がある場合で、本人の努力がなければ収入が減っていたといえるような場合が挙げられます。 そのほかにも、収入は減っていないけれど、被害者の仕事の内容からみて、昇給、昇任、転職などの際に不利益な取扱いを受けるおそれがあると認められるような場合も「特段の事情」があるといえます。 裁判例では、このような「特段の事情」があるとして逸失利益を認めた例も見受けられます。

特段の事情があると認められるために裁判例で考慮される事情

収入が減っていない場合に逸失利益を認めた裁判例では、後遺障害が残ったことで被害者に経済的な不利益があるといえるような「特段の事情」があると認めるために様々な事情が考慮されています。

  • 昇進・昇給などにおける不利益
  • 業務への支障
  • 退職・転職の可能性
  • 被害者本人の努力
  • 勤務先の配慮など

どのような事情なのか簡単に紹介します。

昇進・昇給などにおける不利益

収入が減っていない場合でも、後遺障害のために昇進や昇給などで不利益を受けたり、降格したりしたような場合には、経済的不利益が発生していることを裏づける事情になります。 具体的に次のような事情を考慮した裁判例があります。

  • 昇進・昇給などの遅れが生じている。
  • 降格された。
  • 交通事故により昇進試験を受験できなかった。
  • 将来の幹部候補だったが、後遺障害のためにその可能性がなくなった。
  • 事故後、営業職に復帰できず、支店長への昇進が困難になった。

業務への支障

収入が減っていない場合でも、後遺障害を理由に業務に支障が出ている場合には、将来的に収入が減るかもしれないことを裏づける事情になります。 具体的に次のような事情を考慮した裁判例があります。

  • 仕事の能率が3分の1に低下した。
  • 業務に支障が生じたため、配置転換された。

退職・転職の可能性

収入が減っていない場合でも、現在の職場で働き続けることが不確実で、退職や転職の可能性がある場合には、再就職で不利になる可能性があることから、将来的に収入が減るかもしれないことを裏づける事情になります。 具体的に次のような事情を考慮した裁判例があります。

  • 派遣会社の期限つき契約社員で、契約期間が終了した後に再契約できるかわからない。
  • 勤務先が従業員の6分の1をリストラすることを発表しており、被害者がその対象になる不安がある。

被害者本人の努力

収入が減らないように被害者本人が努力している場合、その努力がなければ収入が減っている可能性があるので、実質的には経済的な不利益が生じていることを裏づける事情になります。 具体的に次のような事情を考慮した裁判例があります。

  • リハビリやマッサージに励んでいる。
  • 残業をして、平日の夜や土日も仕事をしている。
  • 利き腕が使えなくなったので反対の手で字を書けるようにした。
  • 記憶力の低下を補うために頻繁にメモを取っている。
  • もともと目指していた職業を諦め、別の資格を取得した。

勤務先の配慮など

被害者の収入が減らないように勤務先が配慮してくれている場合には、経営状況によってはそのような配慮が続く保証はないので、将来的に収入が減るかもしれないことを裏づける事情になります。 具体的に次のような事情を考慮した裁判例があります。

  • 勤務先が被害者の過去の功績を考慮して給与を減らさなかった。
  • 勤務先の代表者が、後遺障害があっても被害者の能力を生かせるように適正な配置を考えている。
  • 車が運転できなくなった被害者のために勤務先がタクシー代を負担している。

収入が減らない場合には弁護士に相談を

alt このように収入が減らない場合でも逸失利益が認められたケースはありますが、実際に収入が減っていない状況の中で、経済的な不利益があるという「特段の事情」について保険会社を説得することは難しいでしょう。 保険会社を説得できないけれど逸失利益を認めてほしい場合には、裁判で争うことになります。 ただし、実際に収入が減っていない中で、裁判で逸失利益を認めてもらえるかどうかは、「具体的にどのような事情があったのか」「どのような証拠があるのか」といった事情に左右されます。必ず裁判所が認めてくれるとは限りません。 収入が減っていない場合には、弁護士などの専門家に相談し、裁判をすれば逸失利益が認められる可能性があるのかどうかを確認してもらった方がよいでしょう。

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