交通事故

弁護士監修記事 2018年03月30日

【交通事故】自賠責保険で支払われる後遺障害逸失利益の金額と計算方法

交通事故で後遺障害が残った場合に自賠責保険に賠償金を請求する場合、賠償金はいくら支払ってもらえるのでしょうか。この記事では、自賠責保険から支払われる賠償金のうち、逸失利益の計算方法について解説します。

目次

  1. 後遺障害逸失利益とは
    1. 休業損害との違い
  2. 自賠責保険でもらえる逸失利益の計算方法
  3. 1.年収を計算する
    1. 仕事をして収入を得ていた場合
    2. 退職してから1年が経っていない失業者
  4. 2.労働能力喪失率を確認する
  5. 3.ライプニッツ係数を係数表で調べる
  6. 4.計算式に当てはめて計算する
    1. 具体的な計算例
  7. 自賠責保険には支払い上限がある

後遺障害逸失利益とは

逸失利益とは、後遺障害が残らなければ得られたはずの利益のことをいいます。被害者の年齢や収入、生活費に応じて金額が変わります。 逸失利益は賠償金の中でも金額が大きい費目なので、保険会社から提案された額が、どのような計算で算出されたのか、自分でも理解できるようにしておいた方がよいでしょう。

休業損害との違い

逸失利益と似ている賠償金の費目に「休業損害」があります。交通事故によってケガをしたため仕事を休まなければならなくなった場合、「仕事を休まなければ得ることができたはずの収入」を休業損害として請求できます。 休業損害と逸失利益は、どちらも被害者の収入を補償するという点で共通しています。 しかし、休業損害は、治療のために入通院したことにより仕事を休むことについての補償です。これに対して、逸失利益は、治療しても後遺障害が残った場合、そのことによって減少する将来の収入を補償する意味があります。 つまり、症状固定日(これ以上治療を続けても症状が改善しないと医学的に判断された時点) までの収入の補償が休業損害で、それ以降の損害が逸失利益という関係にあります。 休業損害は、逸失利益とは別の費目として請求することになります。休業損害の詳しい計算方法については次の記事で詳しく解説しています。

自賠責保険でもらえる逸失利益の計算方法

では、具体的に求めることができる逸失利益の額は、いくらくらいなのでしょうか。 自賠責保険から保険金が支払われる場合、保険金の金額は国土交通省で定められている計算方法(自賠責基準)にもとづいて決められます。

保険金の計算方法には自賠責基準のほかに、任意保険から支払いを受ける場合の「任意保険基準」、裁判をする場合の「裁判基準」もあります。

自賠責基準で定められている逸失利益の金額は、次の順序で計算します。

  1. 被害者の年収を計算する
  2. 労働能力喪失率を確認する
  3. ライプニッツ係数を係数表で調べる
  4. 次の計算式に当てはめて計算する

逸失利益の計算式逸失利益=年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数

では、実際に計算していきましょう。

1.年収を計算する

年収の計算方法は、被害者の職業によって変わります。

  • 仕事をして収入を得ていた場合
  • 退職してから1年が経っていない失業者
  • 主婦・主夫、学生、子ども
  • 退職してから1年以上経った失業者など、上記以外で働く意思と能力がある人

被害者が年金収入を得ていた場合には、仕事の有無にかかわらず、別の計算方法があります。

仕事をして収入を得ていた場合

被害者が仕事をして収入を得ていた場合の年収の計算方法は、「後遺障害が確定したときの年齢が35歳以上かどうか」「事故前1年間の収入の金額を証明することができるかどうか」により変わります。 次の表を見て、被害者がどのパターンに当てはまるのか確認してみましょう。 パターンAからDまでの計算方法をそれぞれ説明しますので、当てはまる箇所を読んでください。年収を求めた後の計算方法については、各パターンを説明した後に詳しく解説しています。

【パターンA】35歳以上で、事故前1年間の収入の金額を証明できる場合

後遺障害が確定したときの年齢が35歳以上で、事故前1年間の収入の金額を証明できる場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額と、事故前1年間の収入の金額のうち、どちらか高い方が被害者の年収となります。

【パターンB】35歳以上で、事故前1年間の収入の金額を証明できない場合

後遺障害が確定したときの年齢が35歳以上で、事故前1年間の収入の金額を証明できない場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額が被害者の年収となります。

【パターンC】35歳未満で、事故前1年間の収入の金額を証明できる場合

次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額と、事故前1年間の収入の金額のうち、どちらか高い方が被害者の年収となります。

【パターンD】35歳未満で、事故前1年間の収入の金額を証明できない場合

35歳未満で、事故前1年間の収入の金額を証明できない場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額が被害者の年収となります。

退職してから1年が経っていない失業者

被害者が退職してから1年が経っていない失業者の場合の年収の計算方法は、「後遺障害が確定したときの年齢が35歳以上かどうか」「退職前1年間の収入の金額を証明することができるかどうか」により変わります。 次の表を見て、被害者がどのパターンに当てはまるのか確認してみましょう。 パターンEからHまでの計算方法をそれぞれ説明しますので、当てはまる箇所を読んでください。年収を求めた後の計算方法については、各パターンを説明した後に詳しく解説しています。

【パターンE】35歳以上で、退職前1年間の収入の金額を証明できる場合

後遺障害が確定したときの年齢が35歳以上で、退職前1年間の収入の金額を証明できる場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額と、退職前1年間の収入の金額のうち、どちらか高い方が被害者の年収となります。

【パターンF】35歳以上で、退職前1年間の収入の金額を証明できない場合

後遺障害が確定したときの年齢が35歳以上で、退職前1年間の収入の金額を証明できない場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額が被害者の年収となります。

【パターンG】35歳未満で、退職前1年間の収入の金額を証明できる場合

次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額と、退職前1年間の収入の金額のうち、どちらか高い方が被害者の年収となります。

【パターンH】35歳未満で、退職前1年間の収入の金額を証明できない場合

35歳未満で、退職前1年間の収入の金額を証明できない場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額が被害者の年収となります。

主婦・主夫、学生、子ども

主婦・主夫、学生、子どもの場合には、後遺障害が確定したときの年齢が58歳未満の場合には、次の表の金額が年収となります。 58歳以上の場合には、次の表の金額が年収となります。

退職してから1年以上経った失業者など、上記以外で働く意思と能力がある人

退職してから1年以上経った失業者など、上記以外で働く意思と能力がある人の場合、次の表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応する平均給与額を調べます。 調べた平均給与額が被害者の年収となります。

2.労働能力喪失率を確認する

労働能力喪失率とは、「後遺障害によって仕事がどのくらいできなくなったか」を割合で示したものです。 労働能力喪失率が高いほど、仕事が全くできない状態に近くなります。 労働能力喪失率は、労働能力喪失率表から確認できます。

3.ライプニッツ係数を係数表で調べる

就労可能年数とライプニッツ係数表を見て、後遺障害が確定したときの年齢に対応するライプニッツ係数を調べましょう。 たとえば、後遺障害が確定したときの年齢が30歳の場合、ライプニッツ係数は「16.711」です。

4.計算式に当てはめて計算する

最後に、今まで調べてきた数値を次の計算式に当てはめて計算します。

逸失利益の計算式逸失利益=年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数

具体的な計算例

たとえば、後遺障害が確定したときの年齢が30歳、男性、後遺障害等級12級、仕事をして収入を得ており、事故前1年間の収入の金額は証明できない場合、次のように計算します。 まず、年収は、4,984,800円です(平均給与額)。 次に、労働能力喪失率は、「14/100」です。 年齢に対応するライプニッツ係数は、「16.711」です。 最後に、計算式に当てはめて計算した数字が逸失利益の額になります。

逸失利益=年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数

4,984,800円×(14/100)×16.711=約11,662,138円 この11,662,138円が逸失利益となります。

自賠責保険には支払い上限がある

自賠責保険には、支払いの上限額があります。 後遺障害が残った場合の上限は次の表のとおりです。 逸失利益やその他の慰謝料などを合わせた金額が上限額を超える場合には、上限額までしか支払ってもらうことができないので、注意しましょう。

後遺障害等級 上限額
要介護1級 4000万円
要介護2級 3000万円
後遺障害等級 上限額
1級 3000万円
2級 2590万円
3級 2219万円
4級 1889万円
5級 1574万円
6級 1296万円
7級 1051万円
8級 819万円
9級 616万円
10級 461万円
11級 331万円
12級 224万円
13級 139万円
14級 75万円

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