日弁連交通事故相談センターとは?
日弁連交通事故相談センターは、交通事故の争いを扱う代表的なADR機関で、無料で法律相談や示談あっせんを受けることができます。
あっせんで示談することが難しい場合、相手方が日弁連交通事故相談センターと協定を結んでいる自動車共済なら、審査委員会という組織が一定の結論を示す審査手続きを受けることができます。
協定を結んでいる共済は、審査委員会が出した審査結果(評決)を尊重する義務があります(事実上の拘束力があります)。
つまり、審査委員会の示した結論を被害者が受け入れれば、共済組合はその結論に拘束され、審査会の示した結論で示談が成立することになるのです。
日弁連交通事故相談センターと協定を結んでいるのは以下の共済です。
- 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- 全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連)
- 全国自動車共済協同組合連合会(全自共)
- 全日本火災共済協同組合連合会(日火連)
- 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)
- 自治協会(全国自治協会)
- 町村生協(全国町村職員生活協同組合)
- 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)
- 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)
- 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)
利用手続きの流れ
日弁連交通事故相談センターの利用の流れは次のようになっています。
無料相談
電話相談
弁護士による無料の電話相談を受けることができます。ただし、電話による相談は、1人10分程度となっているため、過失割合(事故の落ち度)の判断など、事故の状況を詳しく述べる必要がある場合は、面接での相談を利用しましょう。
受付時間
月~金曜日(土・日・祝祭日を除く) 10時~15時30分(12時30分〜13時は休憩時間)
相談を受けられる時間
10分程度
電話番号
03-3581-1770
面接での無料相談
日弁連交通事故相談センターは、各都道府県の弁護士会館など全国に相談所を設けており、交通事故被害について無料で弁護士に対面で法律相談できます。 予約なしで利用できる相談所もありますが、予約制の相談所もあるので、最寄りの相談所を調べて問い合わせてみましょう。 日弁連交通事故相談センターのホームページに一覧が掲載されています。
相談できる内容
無料相談は、治療が継続中など、示談に向けた話合いが本格的にはじまっていない段階でも利用することができます。 相談できる回数は、同じ事案について、原則として5回(相談所によっては3回)までです。 たとえば、以下のようなことを相談することができます。
- 事故の損害額の計算
- 事故が起きたことの落ち度(過失割合)について
- 損害賠償を請求する方法(誰にどのような賠償を求めることができるのか)
- ひき逃げの被害にあったり、加害者が無保険だった場合の対処法
相談者が、すでに弁護士を代理人として選任している場合は、無料相談を利用することができません。
事前に準備すること・書類
事前に以下のような書類、情報を準備しておくと相談がスムーズに進めることが期待できます。可能な範囲で用意しておきましょう。
- 交通事故証明書
- 事故状況を示す図面(道路の状況、加害者と被害者の位置関係、事故の場所、日時、天候など)、
- 現場の写真
- 壊れた車両の写真
- 診断書・後遺障害診断書
- 治療費明細書(入通院日数、治療費、通院費のメモなど)
- 事故前の収入を証明するもの(給料明細書、休業損害証明書、源泉徴収票・確定申告書の写しなど)
- 加害者が提出してきた書類
- 示談交渉をすでに始めている場合は、その過程
- 加害者の任意保険の有無と種類
- その他(差額ベット代、付添日数・費用、修理費、家屋改修費、有給休暇日数、相手方加入保険内容のメモ)など
示談あっせん
日弁連交通事故相談センターの弁護士が間に入り、公平・中立な立場で示談の成立を目指す手続きです。
示談あっせんを受けられる相談所は、主に県庁所在地の弁護士会館です。全ての相談所が示談あっせんを行っているわけではないので、日弁連交通事故相談センターのホームページで確認しましょう。
任意保険会社(共済組合)が提案する賠償額は、裁判で認められている賠償額(裁判基準)よりも低いことが一般的ですが、日弁連交通事故相談センターでは、裁判基準に近い賠償額をあっせん案として提示してくれます。
示談あっせんの手続きを利用できるかどうかは、ケガ・死亡など人の被害(人損)が生じた事故か、自動車が破損するなど物の被害(物損)のみが発生した事故かによって異なります。
人損(人損+物損)
加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険のみに加入している場合でも利用できます。自賠責保険にすら加入していない場合でも利用できます。
物損のみ
加害者が以下の任意保険または任意共済のどちらかに加入している場合に利用できます。
任意保険会社(物損の示談代行付きの保険に加入している場合)
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- アクサ損害保険株式会社
- 朝日火災海上保険株式会社
- イーデザイン損害保険株式会社
- AIG損害保険株式会社
- SBI損害保険株式会社
- 共栄火災海上保険株式会社
- セコム損害保険株式会社
- セゾン自動車火災保険株式会社
- ソニー損害保険株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- そんぽ24損害保険会社
- 大同火災海上保険株式会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 日新火災海上保険株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 三井ダイレクト損害保険株式会社
※2018年1月現在
共済組合
- 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- 全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連)
- 全国自動車共済協同組合連合会(全自共)
- 全日本火災共済協同組合連合会(日火連)
- 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)
- 自治協会(全国自治協会)
- 町村生協(全国町村職員生活協同組合)
- 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)
- 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)
- 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)
示談あっせんを受けるためのその他の要件
この他、示談あっせんを受けるためには、主に次の要件をみたす必要があります。
- 自賠責保険または自賠責共済に加入することを義務づけられている車両による自動車事故事案であること
- 治療が終了していること(人身事故の場合)
- 後遺障害の有無や等級認定の結果に争いがないこと(人身事故の場合)
- 加害者側(保険会社・共済)から具体的な金額が提示されてあること
- 調停、訴訟、他の機関によるADRなどの手続きが係属中でないこと
提出書類
日弁連交通事故相談センターのホームページに一覧と書式が用意されています。
審査
審査は、示談あっせんが不調(不成立)になった場合、弁護士や学識経験者で構成される3名の審査員が一定の結論(評決)を示す手続きです。
裁定の内容に被害者が同意すれば、日弁連交通事故相談センターと協定を結んだ共済組合はその結論に拘束され、評決の内容で示談が成立することになります。
示談あっせんが上手くいかなかった場合でも、加害者が加入する共済組合が協定を結んでいる場合は、裁判などに移行する前に審査手続きを利用することをお勧めします。
日弁連交通事故相談センターと協定を結んでいるのは、次の共済組合になります。
- 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- 全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連)
- 全国自動車共済協同組合連合会(全自共)
- 全日本火災共済協同組合連合会(日火連)
- 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)
- 自治協会(全国自治協会)
- 町村生協(全国町村職員生活協同組合)
- 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)
- 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)
- 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)