物損事故

弁護士監修記事 2018年03月27日

【交通事故】物損事故の被害を回復する手段と解決までの流れ

交通事故は、大きく分けて「物損事故」と「人身事故」があります。 物損事故とは、人が死亡したりケガを負ったりすることなく、車などの物のみに被害が生じた交通事故のことです。 この記事では、物損事故の被害にあった場合に被害を回復する手段と、解決までの流れを解説します。

目次

  1. 加害者が保険に加入していない場合・自転車だった場合
  2. 警察の事故処理が終わった後にするべきこと
    1. 加害者が加入する保険会社からの連絡を待つ
    2. 加害者の保険会社に自分から連絡をしないといけない場合もある
    3. 自分の加入している損害保険会社への事故報告も忘れずに
  3. 物損事故と人身事故の違い
  4. 人身事故への切り替え
  5. 切替えの手続きができなかった場合
  6. 物損事故の場合に利用できる保険
  7. 任意保険会社に請求できる賠償金の内訳
    1. 車以外に発生した被害
    2. ペットが死傷した場合
  8. 「過失割合」がどの程度になるかを想定しておく
  9. 保険会社との交渉を進める
  10. 示談交渉がまとまらなかった場合にとるべき手段は?
    1. 弁護士に示談交渉を依頼する
    2. ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する
    3. 裁判をする

加害者が保険に加入していない場合・自転車だった場合

加害者が任意保険や自賠責保険に加入していないという方や、加害者が自転車だった方は以下の記事を参考にしてください。

  • 加害者が無保険だった場合
  • 加害者が自転車だった場合

警察の事故処理が終わった後にするべきこと

交通事故の被害にあい、現場で警察の処理を終えたあとは、交通事故被害の回復に向けた具体的な準備を進めていくことになります。 保険会社とのやりとりや、必要な書類の収集など、進めていくべき準備は少なくありません。

加害者が加入する保険会社からの連絡を待つ

交通事故で負った被害に対して適切な金額の賠償金を受け取るためには、相手の保険会社と連絡を取れるようにしておくことが重要です。 事故が起きたときには、通常、加害者が自分の加入している保険会社に連絡し、その保険会社の担当者から被害者に連絡が来ます。 車を運転する人は、交通事故に備えて自賠責保険と任意保険に入っていることが一般的です。事故の被害は、加害者が加入するこれらの保険から保険金を支払ってもらうことで回復します。 自賠責保険は、法律で全ての自動車の所有者などに加入が義務付けられた保険で、支払われる保険金の限度額が設定されています。限度額を超えた分が、任意保険から支払われるという形です。 加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社の示談代行サービスによって、加害者の代わりに保険会社の担当者が示談交渉を行います。

加害者の保険会社に自分から連絡をしないといけない場合もある

保険会社に対する連絡は、保険会社が事故状況をすばやく把握するために必要なことです。今後の対応や、保険金支払いまでの期間がどのくらいかかるのか、といったことにも関わってきます。 場合によっては、加害者が保険会社に事故の連絡をしなかったり、連絡したかどうかわからなかったりすることがあるかもしれません。このような場合は、自分から加害者の保険会社に事故の連絡をしておきましょう。 こうした事態に備えて、あらかじめ、加害者が加入している任意保険会社名や保険の内容を確認しておくとよいでしょう。 保険会社への連絡が遅くなると、支払われる保険金が減ってしまう可能性があります。加害者がなかなか対応してくれない場合は、自分から早めに加害者の保険会社に連絡しましょう。24時間フリーダイヤルで相談を受け付けている場合もあります。

自分の加入している損害保険会社への事故報告も忘れずに

交通事故はお互いの不注意が原因で起きることも多く、どちらが被害者でどちらが加害者とは言い切れない場合があります。 「私は被害者だ」と考えていても、自分が加入している保険会社があれば連絡をしておきましょう。自分が加入している保険を利用する可能性もあるので、契約内容を確認するためにも重要なことです。 自分が加入している任意保険に示談代行サービスが付いていれば、保険会社の担当者が代わりに加害者側との示談交渉を行ってくれます。 ただし「もらい事故」のように、事故の原因が100%加害者にあり、自分には全く責任がない場合、示談代行サービスを受けることはできません。加害者もしくは加害者が加入している保険会社と自分で直接示談交渉をすることになります。 自分1人で示談交渉に臨むことが不安な場合は、弁護士に交渉を依頼することを検討してもよいでしょう。任意保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、利用することで費用負担を大きく抑えられる可能性があります。 弁護士特約とは、弁護士費用を負担する保険の特約のことをいいます。弁護士特約を利用すると、ほとんどの場合、弁護士費用の実質負担がなく弁護士に依頼することができます。 弁護士特約は自動車保険や火災保険についていることが多く、300万円を限度に弁護士費用をカバーする内容になっていることが一般的です。 被害者が加入していた保険の弁護士特約を使うこともできますし、被害者遺族やその家族の弁護士特約を利用することができる場合もあります。 弁護士に依頼したいと考えている場合には、弁護士特約がついていないか確認するとよいでしょう。 弁護士特約について、詳しくは次の記事で解説しています。

物損事故と人身事故の違い

物損事故と人身事故の違いは、「ケガ(死亡)をしているか・していないか」というシンプルな違いです。違いはシンプルですが、一見外傷がなくても、後になってむち打ちなどの症状が現れるケースのように、人身事故と物損事故のいずれか判断が難しいケースもあります。 もちろん、後になって症状が出てくる可能性がないと判断できる場合は、物損事故として届け出て問題ありません。 しかし、少しでもケガや後遺症の可能性があるなら、事故にあった後は速やかに医師の診察を受けて人身事故か物損事故かの判断をしましょう。 なぜなら、交通事故の被害にあった場合、人身事故と物損事故のどちらで処理されるかによって、その後の手続きに大きな影響があるからです。 損害として支払ってもらえる金額の範囲が広がります。また、利用できる保険の種類も、人身事故の場合の方が多く用意されています。 物損事故と人身事故の取り扱いの違いについて詳しくは次の記事で解説しています。

人身事故への切り替え

交通事故直後はケガをしたと思わず、物損事故として届け出たケースでも、後になって身体に痛みなどの症状が出てきた場合には、警察に医師の診断書を提出することで、物損事故から人身事故に切り替えられる可能性があります。 物損事故から人身事故への切替え手続きは、「いつまでにしなければならない」という明確な期限があるわけではありません。 しかし、時間が経てば経つほど、「この症状は交通事故が原因で生じた」という関係(因果関係)を明らかにすることが難しくなってきます。そのため、切替えの手続きは、できる限り速やかに行うことをお勧めします。 事故からあまりにも日数が過ぎていたり、事故の状況と診断書記載の症状の内容が合っていない場合には、「事故とケガ・症状との関係性(因果関係)が不明」という理由で人身事故に切り替えてもらえないことがあるので注意が必要です。 物損事故から人身事故へ切り替える手続きについては、次の記事で詳しく解説しています。

切替えの手続きができなかった場合

「事故にあった時は何ともなかったけど、後から痛みが出てきた。ただ、物損事故から人身事故への切替え手続きをしていない」「警察での切替え手続きが認められなかった」。 そうした場合でも、加害者が加入している損害保険会社あてに「人身事故証明書入手不能理由書(理由書)」という書類を提出することで、警察では物損事故の取り扱いのまま、治療費や慰謝料など人身事故の損害を保険金で支払ってもらうことができます。 人身事故証明書入手不能理由書について、詳しくは次の記事で解説しています。

「人身事故証明書入手不能理由書」を提出すれば、保険会社が無条件に人身事故として取り扱ってくれるわけではありません。 「事故によって、ケガを負った」ということを、医師の診断書などで保険会社にも示す必要があります。 そもそもケガの治療費や入通院慰謝料などを保険会社に請求するに当たって必要となるのは、原則として、人身事故証明書なので、物損事故として当初処理された場合には、まずは、人身事故への切替えを目指してください。 そして、それが認められなかった場合には、速やかに保険会社に人身事故証明書入手不能理由書を提出してください。

物損事故の場合に利用できる保険

交通事故の損害は、保険を利用することで被害者に支払われることが一般的ですが、人身事故と物損事故とでは利用できる保険が異なります。 交通事故の保険の種類は大きく2種類に分けられます。 一つは、「自賠責(自動車損害賠償責任保険・共済)」と呼ばれる保険です。自動車を利用する人が必ず加入しなければならない保険なので、「強制保険」とも呼ばれています。 もう一つが、自動車の利用者が各々任意で加入する自動車保険(任意保険)です。 人身事故の場合、自賠責でカバーしきれない額の被害が発生した場合でも、残りの部分を任意保険でカバーすることができます。つまり「2段階」の補償が受けられます。 一方、人が死傷する結果が生じていない物損事故は、自賠責から保険金を支払ってもらうことができません。任意保険から支払ってもらうことになります。

加害者が任意保険に加入していなかった場合は、加害者自身に賠償金を支払ってもらうよう交渉していくことになります。

任意保険会社に請求できる賠償金の内訳

保険会社から賠償額を提示された時に、それが適切な金額かどうか判断できるようにしましょう。 まず、車が修理可能な場合は、修理費用を請求することができます。修理費用の計算方法は次の記事で詳しく解説しています。

車を修理できても、事故によって車の価値が落ちてしまった場合、その落ちた車の価値を損害として賠償してもらえる可能性があります(評価損)。評価損について詳しくは次の記事で解説しています。

車が修理できないほど壊れてしまった場合(あるいは、修理できても、その費用が車の時価額を上回ってしまうような場合)は、「全損」として、車の時価額を支払ってもらうことになります。 車の時価額の計算方法については、次の記事で詳しく解説しています。

この他、車を修理する間、または買い替える間に代車(レンタカー)が必要になった場合、その費用を支払ってもらえる可能性があります。 代車費用について詳しくは次の記事で解説しています。

車以外に発生した被害

衣類や携行品など、車以外の物が破損することで発生した被害についても、賠償を求めることができます。 詳しい計算方法については、次の記事で解説しています。

ペットが死傷した場合

飼い主としてはペットを家族同然の存在と考えていても、残念ながら法律では「物」として扱われます。そのため、ペットが交通事故の被害にあった場合は、物損事故として扱われます。 ペットが事故でケガをしたり死亡したりした場合に支払われる賠償金については、次の記事で詳しく解説しています。

「過失割合」がどの程度になるかを想定しておく

交通事故では、加害者の不注意(過失)によって発生する場合もありますが、被害者にも一定の不注意(過失)がある場合も少なくありません。 そのような場合に、お互いの過失の程度に応じて賠償金の金額を減額する「過失相殺」という仕組みがあります。「双方に不注意がある場合、一方に100%の賠償をさせることは公平ではない」という考え方が背景にあります。 お互いの過失の程度は「過失割合」として、どちらに何%あるのかという形で示されます。 たとえば、過失割合が加害者80%、被害者20%の場合、賠償金が200万円だとすると、受け取れる保険金は200万円の80%、つまり160万円になります。 過失割合は、交通事故が「車同士なのか」「車対歩行者なのか」「車対自転車なのか」「交差点かどうか」「信号の色は赤だったのか青だったのか」といったポイントである程度パターン化されています。 そのパターンの中で自分の事故がどれに近いのかによって、おおよその過失割合が決まります。 過失割合について、詳しくは次の記事で解説しています。

保険会社との交渉を進める

請求できる金額を把握したら、保険会社と賠償金に関する話合い(示談交渉)を進めていきましょう。 双方が納得する条件を話し合って決めることを「示談」といいます。 加害者が任意保険に加入している場合、加害者の代理人として任意保険会社の担当者から示談交渉の連絡が来ます。 被害者が任意保険会社に加入している場合は、被害者の任意保険会社が示談交渉の窓口になってくれることがあります。

停車中の追突事故などのいわゆる「もらい事故」で、被害者に過失が一切ない場合などは、示談を代行してもらうことができません。被害者側の保険会社が加害者に保険金を支出する必要がないため、本来弁護士しか担当できない「非弁行為」になってしまうからです。

示談交渉がまとまらなかった場合にとるべき手段は?

相手方の保険会社と保険金(賠償金)を取り決める手段は、自分自身で示談交渉を行う以外にも、主に3つの手段があります。

  • 弁護士に示談交渉を依頼する
  • ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用する
  • 裁判を利用する

弁護士に示談交渉を依頼する

弁護士に示談交渉を依頼すると、これまで自分で進めてきた示談交渉の手続きすべてを弁護士に進めてもらうことになります。 個人と組織である保険会社の間には、もともとの基礎知識や交渉力、情報収集力などの面で大きな差があります。そのため、個人が保険会社と対等に交渉を進めることは容易ではありません。 交通事故紛争の専門知識がある弁護士が示談交渉を担当することで、保険会社と対等な立場で交渉を進めることができ、納得できる内容で示談が成立することを期待できます。

ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する

「ADR(裁判外紛争解決手続)」とは、示談交渉がまとまらないときに、公正中立な第三者が間に入り解決を目指す裁判以外の手続きのことをいいます。 交通事故の場合に、主に利用されているADR機関は「交通事故紛争処理センター」と「日弁連交通事故相談センター」の2つです。どちらも無料で利用できます。 この2つのADRでは、弁護士による無料相談を実施しています。弁護士は保険会社からも話を聞いた上で、「この内容で示談したらどうですか」という解決案を提案します。解決案に被害者遺族も保険会社も納得できれば、示談が成立します。 解決案に納得ができない場合には、審査会による「審査」を申し立てることができます。審査会は「この内容で示談すべきである」という「裁定」を出します。 交通事故紛争処理センターを利用した場合には、被害者が同意した場合、保険会社は原則として裁定に従わなければなりません。 ADRによって、利用の条件が異なります。それぞれの場合に合った適切な機関を選びましょう。 ADRの選び方について、詳しくは次の記事で解説しています。

裁判をする

裁判では、当事者が、証拠を提出するなどして、自分の言い分を裁判官に認めてもらうための活動を行ないます。裁判官は、それぞれの言い分を証拠によって吟味して、「判決」という形で判断を示します。 ADRは、歩み寄って妥協点を目指す手続きなのに対して裁判はお互いの主張を述べて、白黒はっきりつけて解決する手続きです。 自分の言い分を認めてもらうためには、証拠に基づいて「その言い分が事実である」ということを証明する必要があります。 裁判は手続きが厳密で、訴状の書き方や証拠の集め方、証人尋問や本人尋問の対処法など、専門知識や訴訟技術が求められます。 そのため、経験の乏しい個人が一人で裁判に臨んでも、期待どおりの金額が認められない可能性があり、弁護士に依頼することが一般的です。

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