通勤中や仕事中の交通事故で後遺障害が残った場合の後遺障害等級認定の手続き

通勤中の交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害の等級を認められれば、労災保険や自賠責保険・任意保険から支払いを受けられます。

  • 労災保険で後遺障害の場合にもらえる補償内容
  • 後遺障害等級認定の内容
  • 労災保険と自賠責保険どちらを先に申請するべきか

この記事では、上記のようなポイントについて詳しく解説します。等級認定は労災保険と自賠責保険のそれぞれにあり、どちらから利用するかを自由に決めることができるので、補償内容を確認して検討しましょう。

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目次

  1. 後遺障害の場合に労災保険で受けられる補償の内容
    1. 後遺障害が残ったことに対するお金が支払われる
    2. 症状固定後の治療費(アフターケア)
    3. ケガのため介護が必要になった場合の費用
  2. 労災保険を使うには「後遺障害等級認定」を申請する
  3. 労災保険にない慰謝料を自賠責保険(任意保険)に請求する
  4. 自賠責保険に請求する方法
    1. 労災保険の等級認定と違う結果が出る場合がある
  5. 自賠責保険の等級認定を先に申請した方がよいケース
    1. 先に多くのお金を受け取りたい場合
  6. 労災保険の等級認定を先に申請する場合の手続きの流れ
    1. 労基署に障害給付を申請する
    2. 労災保険を先に使いたいことを任意保険の担当者に伝える
  7. 自賠責保険の等級認定を先に申請する場合の手続きの流れ

後遺障害の場合に労災保険で受けられる補償の内容

交通事故でケガをして治療をしたけれど、完治せずに症状が残った場合、医師から「症状固定(これ以上治療を続けても症状が改善しないと医学的に判断されること)」と診断されます。 残った症状の内容によって、労災保険では後遺障害等級が1級から14級まで定められています。 症状固定の診断を受けた場合には、残った症状がどの等級になるのかを決めるために、「後遺障害等級認定」の手続きを行います。 等級が認められると、労災保険から等級に応じた補償を受けることができます。 補償の内容は次のとおりです。

補償の対象 通勤中
(通勤災害)
仕事中
(業務災害)
後遺障害が残ったこと 1級

7級
障害年金 障害補償年金
障害特別年金
障害特別支給金
8級

14級
障害一時金 障害補償一時金
障害特別一時金
障害特別支給金
症状固定後の治療費 アフターケア
介護が必要となった場合の費用 介護給付 介護補償給付

後遺障害が残ったことに対するお金が支払われる

労災保険からは、事故で後遺障害が残ったことに対するお金が支払われます。 後遺障害等級が1〜7級であれば、毎年、年金の形で支払われます。 後遺障害等級が8〜14級であれば、一時金の形で支払われます。 1〜7級の場合の年金を「障害給付」(仕事中の事故の場合は「障害補償給付」)、8〜14級の場合の一時金を「障害一時金」(仕事中の事故の場合は障害補償一時金)といいます。 これらの年金や一時金は、被害者の給料をもとに計算します。 さらに、上記の年金や一時金とは別に、ボーナスをもとに計算した「障害特別年金」(後遺障害等級が8〜14級の場合は一時金)と、一時金として支給される「障害特別支給金」も支払われます。

症状固定後の治療費(アフターケア)

通勤中や仕事中の交通事故で次のケガや病気になった場合には、症状固定と診断された後も、再発防止や、後遺障害によって新たな病気が発症するのを防ぐため、労災保険指定医療機関での診察や治療などを無料で受けることができます。

  • せき髄損傷
  • 頭頸部外傷症候群等(頭頸部外傷症候群、頸肩腕障害、腰痛)
  • 尿路系障害
  • 慢性肝炎
  • 白内障等の眼疾患
  • 振動障害
  • 大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨折
  • 人工関節・人工骨頭置換
  • 慢性化膿性骨髄炎
  • 虚血性心疾患等
  • 尿路系腫瘍
  • 脳の器質性障害
  • 外傷による末梢神経損傷
  • 熱傷
  • サリン中毒
  • 精神障害
  • 循環器障害
  • 呼吸機能障害
  • 消化器障害
  • 炭鉱災害による一酸化炭素中毒

アフターケアを受けるためには、所轄の労働局に申請をします。

ケガのため介護が必要になった場合の費用

ケガのため介護が必要になった場合には、介護費用として「介護給付」(仕事中の事故の場合には「介護補償給付」)が支払われます。

労災保険を使うには「後遺障害等級認定」を申請する

症状固定の診断を受けたら、後遺障害についての保険金を受け取るために、「後遺障害等級認定」を申請することになります。 労災保険では後遺障害等級が1級から14級まで定められています。それぞれの等級の内容は次のとおりです。 等級が決まると、等級に応じた補償を労災保険から受けることができます。 後遺障害等級認定の申請先は、労働基準監督署です。労働基準監督署は厚生労働省のホームページから探すことができます。 申請をすると、労災保険の指定医と面談するように求められます。面談で話したことや、提出した書類などをみて、審査が行われます。 等級認定の結果に納得がいかない場合には、不服申立てをすることができます。

労災保険にない慰謝料を自賠責保険(任意保険)に請求する

通勤中や仕事中に交通事故にあった場合、労災保険だけでなく、通常の交通事故と同じように、加害者が加入している「自賠責保険」や「任意保険」も利用できます。 自賠責保険は、法律で全ての自動車に加入が義務づけられている保険です。ただし、自賠責保険の補償には限度額があります。 任意保険は、自賠責保険で支払いきれない賠償に備えて、ドライバーが任意で加入する損害保険です。事故の損害が自賠責保険の限度額を超える場合に、その超える部分の賠償金が任意保険から支払われます。 労災保険と自賠責保険の補償には同じような補償と、異なる補償があります。それぞれの補償の主な違いをまとめると、以下のようになります。 任意保険は実際の損害額が自賠責保険の限度額を超える場合に支払われる保険なので、補償内容は自賠責保険とほぼ同じように考えることができます。 労災保険で後遺障害等級認定を受けた場合、慰謝料は別途、自賠責保険や任意保険などに請求することになります。

補償の対象 労災保険 自賠責保険
後遺障害が残ったこと 1級

7級
障害年金
(障害補償年金)
逸失利益
障害特別年金 ×
障害特別支給金 ×
8級

14級
障害一時金
(障害補償一時金)
逸失利益
障害特別一時金 ×
障害特別支給金 ×
症状固定後の治療費 アフターケア ×
介護が必要となった場合の費用 介護給付
(介護補償給付)
×
精神的苦痛 × 慰謝料

自賠責保険に請求する方法

自賠責保険の補償を受けようとする場合、労災保険とは別に、自賠責保険の「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。 自賠責保険の等級認定の申請方法は、大きく2つあります。 1つは「事前認定」といって、任意保険会社に申請手続きを行ってもらう方法です。 事前認定には、手続きが楽というメリットがあります。 もう1つは「被害者請求」といって、被害者が自分で申請手続きをする方法です。 被害者請求には、認定される確率を高めるために自分で証拠書類を補って申請できるというメリットがあります。 どちらの方法を選ぶべきかは、こちらの記事をご覧ください。

労災保険の等級認定と違う結果が出る場合がある

自賠責保険の等級認定を行うのは、「損害保険料率算出機構」という機関です。 労災保険の場合には、提出書類のほかに指定医との面談の内容も踏まえて審査が行われますが、自賠責保険の場合には原則として書類のみで審査が行われます。 このように、等級認定の判断のプロセスが異なるため、労災保険の方が被害者に有利な認定結果になることがあります。 たとえば、自賠責保険では非該当(後遺障害等級表の後遺障害には当たらない)と判断されたが、労災保険では後遺障害等級14級に認定されるということがあります。 等級認定の結果に納得がいかない場合には、異議申立てをすることができます。

自賠責保険の等級認定を先に申請した方がよいケース

労災保険と自賠責保険のどちらの等級認定を先に申請するべきかは、特に決まっていません。自分で決めることができます。 労災保険の手続きと自賠責保険・任意保険の手続きを併行して進めることもできます。 後遺障害が残っている場合には、先ほど説明したように、労災保険の方が被害者に有利な認定結果になることがあるので、労災保険の手続きを先に進めることを検討してもよいでしょう。 ただし、次のような場合には、自賠責保険の手続きを先に進めることを検討しましょう。

  • 先に多くのお金を受け取りたい場合

先に多くのお金を受け取りたい場合

自賠責保険では、労災保険とは異なり、「慰謝料」を受け取ることができ、補償の範囲が広いです。 先に多くのお金を受け取りたい場合には、自賠責保険を先に使うとよいでしょう。

労災保険の等級認定を先に申請する場合の手続きの流れ

労災保険の等級認定の申請手続きは、会社が手続きを代わりに行なってくれることが多いようです。 会社に手続きをしてもらえないか、総務部などに確認しましょう。

労基署に障害給付を申請する

自分で手続きをする場合には、労働基準監督署に障害給付(仕事中の事故の場合には障害補償給付)を申請します。 労災保険の申請先は、所轄の労働基準監督署です。労働基準監督署は厚生労働省のホームページから探すことができます。 必要な書類は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。労働基準監督署に行って手に入れることもできます。 症状に応じてエックス線写真などを提出することもあります。どのような資料が必要か労働基準監督署に問い合わせましょう。

労災保険を先に使いたいことを任意保険の担当者に伝える

任意保険会社の担当者から連絡がきたら、労災保険を先に使いたいことを任意保険の担当者に伝えましょう。

「慰謝料」は労災保険からは受け取れず、自賠責保険・任意保険からのみ受け取ることができます。労災保険だけでなく、自賠責保険・任意保険の手続きも忘れずにしましょう。

自賠責保険の等級認定を先に申請する場合の手続きの流れ

自賠責保険の等級認定を先に申請する場合には、「事前認定」と「被害者請求」のどちらの方法で申請するかを検討しましょう。 事前認定をする場合には、任意保険会社に事前認定をしたい旨を伝えましょう。必要な書類などは任意保険会社が指示をしてくれます。 どちらの方法を選ぶべきかは、こちらの記事をご覧ください。

「障害特別年金(一時金)」と「障害特別支給金」は、自賠責保険から保険金を受け取ったとしても、労災保険から受け取ることができます。先に自賠責保険から支払いを受けた場合でも、労災保険に「障害特別年金(一時金)」と「障害特別支給金」だけを請求することができるので、労災保険を使うことができる場合は忘れずに請求しましょう。

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