物損のみ先に示談することができる
交通事故の賠償は、加害者が加入する保険会社から保険金の形で支払われることが一般的です。
具体的には、保険会社の担当者と事故の被害について話し合いを重ね(示談交渉)、示談の成立を目指していくことになります。人損と物損、両方の被害額をあわせた合計が賠償金として支払われることになります。
ただし、必ずしも物損と人損の被害を同時に請求しなければならないわけではありません。
ケガの治療に時間がかかったり、治療後も残った症状について後遺障害等級認定を受ける場合など、人損の範囲は確定するまでに時間がかかることが少なくありません。
そうした場合は、物損の部分だけ先に示談を成立させることができます。
保険会社も、物損と人損について、それぞれに担当者をつけて交渉を進めることが多いです。
人損が確定するまで時間がかかりそうな場合は、物損の部分について、まずは損害を確定させていきましょう。
物損について保険会社に請求できる賠償金の内訳
各賠償金についての詳細は、この記事の下の「次に読みたい記事」で説明しています。
車に発生した被害
修理費
車が修理可能な場合は、修理費用を請求することができます。
評価損
車を修理できても、事故によって車の価値が落ちてしまった場合、その落ちた車の価値を損害として賠償してもらえる可能性があります(評価損といいます)。
全損
車が修理できないほど壊れてしまった場合(あるいは、修理できても、その費用が車の時価額を上回ってしまうような場合)は、「全損」として、車の時価額を支払ってもらうことことになります。
代車(レンタカー)費用
この他、車を修理する間、または買い替える間に代車(レンタカー)が必要になった場合、その費用を支払ってもらえる可能性があります。
車以外に発生した被害
衣類や携行品など、車以外の物が破損することで発生した被害についても、賠償を求めることができます。
ペットが死傷した場合
飼い主としてはペットを家族同然の存在と考えていても、残念ながら法律では「物」として扱われます。そのため、ペットが交通事故の被害にあった場合は、物損事故として扱われます。
保険会社に賠償金を支払ってもらうための手続き
保険会社に請求できる金額を把握したら、示談交渉を進めていきましょう。ただし、あなたが主張する賠償金の額を、保険会社が必ずしも受け入れてくれるとは限りません。
保険会社との示談交渉がまとまらない場合、次にとりうる手段は主に3つあります。
- 弁護士に示談交渉を依頼する
- ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用する
- 裁判を利用する
これら3つの手段についても、人損から独立して物損のみ進めることが可能です。
それぞれの手段の特徴は、この記事の下の「あわせて読みたい関連記事」で詳しく説明しています。