交通事故

弁護士監修記事 2018年03月09日

【死亡事故】遺族間での賠償金の分け方のルール…誰がどのくらい受け取れるのか

死亡事故の被害者遺族は、加害者に対して慰謝料などの賠償金を請求することができます。では、実際に加害者から支払われた賠償金は、遺族間でどのようなルールに沿って分配すればよいのでしょうか。

  • 死亡事故の賠償金は大きく2種類に分けられる
  • 誰がどのくらい受け取れるのか
  • 遺族固有の慰謝料はどう扱われるのか

これらの疑問を解消するために、この記事では、死亡事故の賠償金の分け方について詳しく解説します。

目次

  1. 賠償金の内訳
    1. 被害者(死亡した人)の損害
    2. 遺族の損害
  2. 「被害者の損害」に対する賠償金の分配方法
    1. 法定相続のルール
    2. それぞれの取り分はどのくらいか
    3. 遺産分割協議とは
  3. 「遺族の損害」に対する賠償金を分配する方法
    1. 葬儀費用分の賠償金
    2. 遺族固有の慰謝料

賠償金の内訳

交通事故で家族が死亡した場合、被害者の遺族は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。 賠償金として請求できる費目は、次の2種類に分類されます。

被害者(死亡した人)の損害

加害者(保険会社)に損害賠償を請求できるのは、本来であれば被害者本人です。しかし、死亡事故の場合には被害者が亡くなっているため、遺族のうち、被害者の財産などを相続する権利を持つ人(相続人)が、加害者に請求することになります。 加害者に対して請求できる賠償金の内訳(費目)は、大きく次のとおりです。

  • 死亡にいたるまでの治療費
  • 逸失利益(交通事故にあわなければ得られたはずの利益)
  • 慰謝料

死亡にいたるまでの治療費

被害者が亡くなる前に治療を受けていた場合には、その間の治療費と、治療で働けなかった期間の休業損害も賠償金に含まれます。

逸失利益

逸失利益とは、被害者が生きていれば得られたはずの利益のことをいいます。被害者の年齢や収入、生前の生活状況に応じて金額が変わります。

慰謝料

慰謝料とは、精神的な苦痛に対する賠償金のことをいいます。被害者本人が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は、相続人が請求権を相続して、加害者に請求することになります。

遺族の損害

葬儀費用

葬儀費用には、式典にかかる費用の他に、お墓を建てる費用や仏壇を購入する費用も含まれることがあります。式典に参列する人のために用意する食事の費用や、香典返しは含まれません。

遺族固有の慰謝料

死亡事故の場合、死亡した被害者の慰謝料とは別に、被害者に近い関係にあった人の「被害者が亡くなったことにより受けた精神的苦痛」に対する慰謝料(遺族固有の慰謝料)が認められています。 遺族固有の慰謝料が法律で認められているのは、被害者の父母、配偶者、子です。 個別の事情に応じて、祖父母や内縁の配偶者など、相続人ではない遺族にも例外的に遺族固有の慰謝料が認められる可能性があります。 遺族固有の慰謝料については、次の記事で詳しく解説しています。

「被害者の損害」に対する賠償金の分配方法

法定相続のルール

このように、死亡事故の賠償金は大きく「被害者の損害」と「遺族の損害」の2種類に分けられます。このうち、「被害者の損害」に対する賠償金は、相続の対象です。他の相続財産と同様に、相続人の間で分配することになります。 交通事故で死亡した場合、被害者が遺言書を残している可能性は低いため、「誰がどのくらい賠償金を受け取るか」は、原則として民法のルール(法定相続)に従って決まります(遺言書が残されている場合は、遺言書の内容に従って分けることになります)。 法定相続では、配偶者(妻・夫)、子どもなど、被害者との関係によって、優先順位・相続できる財産の割合が決まっています。次の図のような関係になっています。 alt

「配偶者」は必ず法定相続人になる

常に法定相続人になるのは、被害者の妻か夫、つまり「配偶者」です。ここでいう配偶者は、婚姻届を提出していて、法律上の婚姻関係がある人のことです。 婚姻届を提出していない内縁の妻や夫、愛人などは、たとえ長年連れ添った親密な関係であっても、法定相続人にはあたりません。 また、法定相続人にあたるのは、被害者が死亡した時点での配偶者で、すでに離婚している前夫や前妻は含まれません。

配偶者以外でもっとも優先されるのは「子」

配偶者以外の法定相続人は、大きく3つのグループにわかれます。 いちばん優先順位が高いのが、被害者の子・孫のグループです。孫が法定相続人になるのは、被害者が亡くなった時点で子が死亡していた場合です。

2番目に優先されるのは「親・祖父母」、3番目が「兄弟姉妹」

子や孫がいない場合、被害者の父母・祖父母が法定相続人になります。祖父母が法定相続人になるのは、被害者が亡くなった時点で両親がどちらも死亡していた場合です。両親がどちらか存命の場合は、祖父母は法定相続人になりません。 父母や祖父母がいなければ、被害者の兄弟姉妹やおい、めいが法定相続人になります。

それぞれの取り分はどのくらいか

法定相続人が複数いる場合、それぞれの取り分も民法で決められています。主なパターンは次のようになります。

法定相続人 相続できる割合
配偶者のみ 配偶者が100%
配偶者と子ども(第1位順位) 配偶者1/2、子ども1/2
※子ども(孫)が複数いるときは1/2を均等に分ける
配偶者と父母(第2順位) 配偶者2/3、父1/6、母1/6
配偶者と兄弟姉妹(第3順位) 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
※兄弟姉妹が複数いるときは1/4を均等に分ける
子どものみ 子どもが100%
※子どもが複数いるときは均等に分ける
父母のみ 父1/2、母1/2
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹で均等に分ける

被害者本人の損害に対する賠償金は、このような法定相続のルールに従って分配することになります。 ただし、必ず法定相続のルールに従って賠償金を分配しなければならないわけではありません。相続人同士で話し合って合意できれば、そのとおりに分配することができます。

遺産分割協議とは

相続人全員で、相続財産の分け方について話し合うことを、「遺産分割協議」といいます。遺産分割協議を行って、相続人全員が合意できれば、そのとおりに財産を分けることができます。 遺産分割協議は、相続人全員ですすめる必要があります。相続人の一部が参加しないでされた遺産分割協議は無効になる可能性があります。 遺産分割協議を始める前に、誰が相続人なのかを確定しておくことが重要です。 できれば全員が一堂に会して話し合うことが理想ですが、遠方に住んでいる相続人がいるような場合、電話やメールのやり取りだけで合意に至ることもあります。 合意した内容は、「遺産分割協議書」という書面の形で残しておきましょう。

「遺族の損害」に対する賠償金を分配する方法

葬儀費用分の賠償金

葬儀費用を実際に支出した遺族が受け取ることになります。

遺族固有の慰謝料

「遺族固有の慰謝料」は相続の対象ではないので、固有の慰謝料が認められる遺族それぞれが受け取ることになります。 裁判で遺族固有の慰謝料が認められた場合は、誰にどの程度の額が認められるかが判決から明らかになるため、分配をめぐって遺族間で争いになる可能性は低いでしょう。 一方、保険会社との示談で支払われた場合、一括でいくらと提示されることもあるため、遺族固有の慰謝料が誰にどの程度認められたのか明らかになっていない場合もあります。 遺族固有の慰謝料を誰がどの程度受け取るかは、遺族間でよく話し合っておいた方がよいでしょう。

あわせて読みたい関連記事

【交通事故】死亡事故の被害にあった場合に遺族がすぐに進める必要があること

家族が交通事故で亡くなった場合、突然のことで何をすべきか考えられないかもしれませんが、葬儀の手配や保険金の請求など、進めなければならないことは少な...

交通事故で親族が死亡した場合の示談交渉の流れと請求できる賠償金の範囲

死亡事故で保険会社と示談交渉する場合、あらかじめ示談交渉の流れや請求できる賠償金の範囲を知っておくことで、落ち着いて交渉に臨むことができます。 *...

解決までの流れ

解決までの全記事

解決までにすべきことを確認する

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼
費用対処方針比べて選ぶことができます。

  • 弁護士費用がいくらかかるか知りたい
  • 弁護士の選び方がわからない
  • 弁護士が何をしてくれるか知りたい
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

交通事故を扱う弁護士を探す

交通事故に関する法律相談

  • 娘のおこした事故の賠償金は支払い能力がないと車の所有者である親に請求くるのでしょうか?

    娘が任意保険未加入で事故をおこしました。信号待ちで停車中の車に低スピードで接触し相手の方が首の痛みを訴えられて人身事故となりました。自賠責保険の方で対応してもらいましたが相手の...

    4弁護士回答
  • 人身事故 検察呼び出し

    人身事故の検察呼び出しについて教えてください。 人身事故でも過失運転致傷の場合、不起訴率が高いようですが、検察呼び出し後に不起訴になることが一般的な流れでしょうか? それとも検...

    3弁護士回答
  • 今年始めた店舗の休業補償

    損害賠償請求は昨年の年収等で算出するそうですが 今年商売を始めたばかりの店舗に車が突っ込んで店が壊れたら 店は直してもらっても 店舗の休業損害は 昨年実績がないと 保証してもらえ...

    2弁護士回答
  • 今までありがとうございました 刑務所

    刑務所前の相談。ひき逃げと無免許運転の代償相談… 半年前 通勤途中車同士で軽く接触しましたが場離れてしまいひき逃げになりました。 すぐに警察連絡し 現場に戻りましたがだめでし...

    1弁護士回答
  • 事故による後遺症が認定されるのか教えてください

    事故により、右足甲を骨折し右足甲にしびれが残りました。 主治医は改善される見込みはあるが極めて低いというコメントでした。 足の甲は感覚神経の異常だそうです。レントゲン、MRIともに所...

    2弁護士回答
1 2 3 4 5 ... 30 ... 50

法律相談を検索する

交通事故の法律ガイド

関連カテゴリから解決方法を探す

弁護士に相談しようと思ったら…

弁護士に見積り依頼をする

複数の弁護士にまとめて見積り依頼

  • 最短3分で依頼完了
  • 依頼内容は非公開
  • 分野に詳しい弁護士から見積り依頼が届く
一括見積りをはじめる無料

依頼前に知っておきたい弁護士知識

交通事故のニュース

  1. 「いじめの時効」はいつか…中学時代の同級生...
  2. 国内最悪「時速235キロ」で高速道路暴走した...
  3. 高速道路の落下物「年30万件」以上…タイヤ原...
  4. 高齢ドライバー対策、自動ブレーキ車など「限...
  5. 東名夫婦死亡事故、進路妨害した容疑者の「危...
  6. ひき逃げ事件「人をひいた認識はない」男性に...
  7. うちの車に便乗したがる図々しい「ママ友」、...