交通事故

弁護士監修記事 2018年02月28日

交通事故で後遺障害等級認定を受けた場合の逸失利益の計算方法【職業別】

交通事故で後遺障害等級認定を受けた場合、保険会社が支払う逸失利益の額は適正な金額なのか、判断に迷う人もいるでしょう。 逸失利益の計算方法を理解し、適切に交渉を進めることで、増額が見込める場合もあります。この記事では、逸失利益と計算方法について詳しく解説します。

目次

  1. 後遺障害逸失利益とは
    1. 休業損害との違い
  2. 逸失利益の計算方法
  3. 裁判基準で逸失利益を計算する方法
  4. 被害者の年収を計算する
    1. 症状固定前に被害者が死亡した場合
    2. 【A】給与所得者、30歳以上、年収が平均賃金より多い場合
    3. 【B】給与所得者、30歳以上、年収が平均賃金以下の場合
    4. 【C】給与所得者で30歳未満の場合
    5. 【D】事業所得者で収益の中に不動産収入などがある場合、家族の手伝いがある場合
    6. 【E】事業所得者の場合
    7. 【F】事業所得者で、年収が平均賃金以下の場合
    8. 【G】事業所得者で、年収の証明が難しい場合
    9. 【H】会社役員の場合
    10. 【I】兼業主婦の場合
    11. 【J】専業主婦・主夫
    12. 【K】無職者のうち、子どもや学生など
    13. 【L】無職者のうち、高齢者や年金受給者など
    14. 【M】失業者

後遺障害逸失利益とは

逸失利益とは、交通事故の賠償金の費目のひとつで、簡単に言えば「被害者が交通事故にあわずに後遺障害が残らなければ得られたはずの利益」のことをいいます。被害者の年齢や収入、後遺障害の程度などに応じて金額が変わります。 逸失利益は賠償金の中でも金額が大きい費目です。保険会社から提案された額が、どのような計算で算出されたのか、自分でも理解できるようにしておいた方がよいでしょう。

休業損害との違い

逸失利益と似ている賠償金の費目に「休業損害」があります。交通事故によってケガをしたため仕事を休まなければならなくなった場合、「仕事を休まなければ得ることができたはずの収入」を休業損害として請求できます。 休業損害と逸失利益は、どちらも被害者の収入を補償するという点で共通しています。 しかし、休業損害は、治療のために入通院したことにより仕事を休むことについての補償です。これに対して、逸失利益は、治療しても後遺障害が残った場合、そのことによって減少する将来の収入を補償する意味があります。 つまり、症状固定日(これ以上治療を続けても症状が改善しないと医学的に判断された時点) までの収入の補償が休業損害で、それ以降の損害が逸失利益という関係にあります。

逸失利益の計算方法

任意保険会社は、逸失利益などの賠償額を計算するために、「このような場合はいくら」といった基準(任意保険基準)を設けていることが一般的です。 任意保険会社は「任意保険基準」を見ながら、「今回のようなケースはいくら」と賠償額を計算します。 一方、逸失利益の算定方法には、裁判例で認められた逸失利益の額をもとにした基準(裁判基準)もあります。「裁判基準」は「弁護士基準」「日弁連基準」と呼ばれることもあります。 任意保険基準は、裁判基準よりも低いことが一般的です。 任意保険会社から提案された額に納得できない場合に、「裁判基準であれば賠償額はいくらになるのか」ということを把握して保険会社と交渉を進めれば、逸失利益の増額を見込めるケースもあります。

後遺障害の場合は、個別のケースごとに症状や仕事への影響などが異なるため、同じような等級や収入の場合でも逸失利益の金額が異なることがあります。具体的な金額を正確に知りたい方は弁護士に相談することを検討してみてもよいでしょう。

裁判基準で逸失利益を計算する方法

裁判基準で定められている逸失利益の金額は、次の順序で計算します。

  1. 被害者の年収を計算する
  2. 労働能力喪失率を確認する
  3. 労働能力喪失期間を調べる
  4. ライプニッツ係数を係数表で調べる
  5. 次の計算式に当てはめて計算する

逸失利益の計算式逸失利益=年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数

被害者の年収を計算する

年収は、仕事の収入があった場合は仕事の収入を、それ以外の場合には平均賃金をもとに計算していきます。平均賃金を調べるには、「賃金センサス」とよばれる統計を参照します。 賃金センサスとは、厚生労働省が毎年出している「賃金構造基本統計調査」のことです。 性別、年齢、学歴、産業ごとの平均賃金がわかります。 平成28年の賃金センサスによる男女別の平均賃金は、次の表のとおりです。

男性 年収額(単位:万円)
〜19歳 251.45
20〜24歳 325.83
25〜29歳 414.69
30〜34歳 486.28
35〜39歳 542.87
40〜44歳 599.52
45〜49歳 666.29
50〜54歳 698.59
55〜59歳 664.46
60〜64歳 437.03
65〜69歳 374.96
70歳〜 356.34
女性 年収額(単位:万円)
〜19歳 226.23
20〜24歳 291.22
25〜29歳 352.96
30〜34歳 379.67
35〜39歳 392.92
40〜44歳 407.86
45〜49歳 418.50
50〜54歳 417.65
55〜59歳 397.59
60〜64歳 313.84
65〜69歳 293.92
70歳〜 301.48

平均賃金を確認したら、次の図のうち、どれに当てはまるか確認してみましょう。 alt alt alt AからMまでの計算方法をそれぞれ説明しますので、当てはまる箇所を読んでください。年収を求めた後の計算方法については、それぞれのリンク先で詳しく解説しています。そちらを確認してください。

症状固定前に被害者が死亡した場合

被害者が症状固定前(治療が継続していた段階)に死亡した場合には、死亡事故として逸失利益を計算します。死亡事故の場合の逸失利益については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【A】給与所得者、30歳以上、年収が平均賃金より多い場合

給与所得者、30歳以上、年収が平均賃金より多い場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【B】給与所得者、30歳以上、年収が平均賃金以下の場合

給与所得者、30歳以上、年収が平均賃金以下の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【C】給与所得者で30歳未満の場合

給与所得者で30歳未満の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【D】事業所得者で収益の中に不動産収入などがある場合、家族の手伝いがある場合

事業所得者で収益の中に不動産収入などがある場合、家族の手伝いがある場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【E】事業所得者の場合

事業所得者の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【F】事業所得者で、年収が平均賃金以下の場合

事業所得者で、年収が平均賃金以下の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【G】事業所得者で、年収の証明が難しい場合

事業所得者で、年収の証明が難しい場合については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【H】会社役員の場合

会社役員の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【I】兼業主婦の場合

兼業主夫の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【J】専業主婦・主夫

専業主婦・主夫の場合の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【K】無職者のうち、子どもや学生など

無職者のうち、子どもや学生などの計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【L】無職者のうち、高齢者や年金受給者など

無職者のうち、高齢者や年金受給者などの計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【M】失業者

失業者の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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