後遺障害

弁護士監修記事 2018年01月19日

頭を負傷し「脳脊髄液減少症」に…後遺障害等級認定受けられる?

交通事故で頭に強い衝撃を受けると、ある程度治療をして症状固定(これ以上治療を続けてもよくならない状態)後も、様々な症状が残ることがあります。

  • 治療費を保険会社に請求できる?
  • 後遺障害等級認定を受けるためのポイントは?
  • 後遺障害等級認定の結果が「非該当」だったら?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をまとめました。

目次

  1. 脳脊髄液減少症の治療費を保険会社に請求できる?
  2. 後遺障害等級認定の結果が「非該当」だったら?
  3. まとめ

脳脊髄液減少症の治療費を保険会社に請求できる?

alt 交通事故で頭に強い衝撃を受け、「脳脊髄液減少症」と診断された場合、治療費を加害者側の保険会社に請求することはできるのでしょうか。

脳脊髄液減少症について


相談者の疑問
交通事故にあって、脳脊髄液減少症と診断されました。でも、保険会社からは「脳脊髄液減少症は医学的に認められていない病気なので、検査費用は出すが、治療費は出さない」と言われています。

治療費がでるかどうかは、裁判例によってもまちまちだと聞いており、その点は最終的には弁護士さんに頼んで裁判をしてもらうしかないと思っていますが、私としては、後でもらえるお金よりも、今すぐにしなければならない治療費が出してもらえないということについて大変な危機感を感じています。

でも、私には今お金がありません。保険屋さんに「慰謝料分とか、ほかに今後もらう可能性がある分の損害金について、仮払いしてもらえないか」と聞いても断られてしまいました。
このような場合、どうしたらよいのでしょうか。


好川 久治弁護士
現在の実務で脳脊髄液減少症で保険会社が治療費を認めるケースはほとんどないと思っておいて間違いありません。

そもそも脳脊髄液減少症と診断がついた時点で、いわゆる同研究会のガイドラインによる診断ということを想起されますが、これはまずもって保険実務では認められていません。

頭痛学会や日本神経学会の診断基準で、突発性低髄液圧症候群と認定されれば治療費は出ますが、その認定も厳しい基準がありますので、裁判でないと難しいと思います。

脳脊髄液圧減少症や低髄の患者さんが請求する場合、12級または14級で自賠責の認定を受けられるケースがありますので、まずは被害者請求でいったん等級認定を受け、自賠責の後遺障害逸失利益と慰謝料を満額受給して当面の治療費にあて、その後じっくり残額の請求をしていくという方法をとるしかないと思います。

現在の実務では、脳脊髄液減少症と診断された場合の治療費を、加害者側の保険会社から支払ってもらえる可能性は低いようです。 後遺障害等級認定を受け、その結果得られた後遺障害慰謝料と逸失利益から治療費を支払っていくという方法が現実的と言えそうです。

後遺障害等級認定の結果が「非該当」だったら?

alt 脳脊髄液減少症と診断され、後遺障害等級認定の申請手続きをしたけれど「非該当」の結果が出た場合、異議申立てで結果を好転させられる可能性はあるのでしょうか。

交通事故の後遺障害認定について


相談者の疑問
交通事故に遭い、脳脊髄液減少症との診断が下されました。現状は手術をしたことで少し回復しましたが、ムチ打ち症の症状は改善されません。

週3回鍼灸院・マッサージに通っています。そして、後遺障害等級認定は非該当でした。保険会社の脳脊髄液減少症の認否の現状や、後遺障害の定義も分かっているのでしょうがないのかなと思うところもありますが、できうる限りの主張はしたいと思っています。

今私にできる最善の方法は一体何でしょうか?異議申立てをする場合、弁護士の方と一緒にやった方がよいでしょうか?そもそも異議申立てをするだけの価値があるのかなど、この件に関してどれだけの可能性があるのか知りたいです。


黒岩 英一弁護士
脳脊髄液減少症という診断が出ているのであれば、あとはそれが事故によるものかどうかと、他覚所見があるかという問題があります。
診断を出してくれた病院の医師に意見書を書いてもらい、異議申立てを行う方法が考えられます。
可能なら弁護士に依頼して、異議申立書を書いてもらうなどした方が良いでしょう。後遺障害等級認定が下りなくても、損害賠償請求をすることに代わりはないため、その交渉も含めて依頼されると便宜かと思います。


比護 望弁護士
手続き的には異議申立てをする窓口で被害者請求手続きをした上で、自賠責保険を通じて行うことが可能です。
また、後遺障害等級認定を争う方法としては、他に「自賠責・共済紛争処理機構」に申請する方法もあります。

異議申立てで脳脊髄液減少症を後遺障害と認定してもらうためには、「脳脊髄液減少症が今回の交通事故によって発症したと証明できるか(交通事故との因果関係)」「MRI画像などで症状を確認できるか(他覚的所見があるのか)」といった点がポイントになるでしょう。 後遺障害にあたるかどうかは、一般的には保険会社を通じて、「損害保険料率算出機構」という機関が調査・判断することになりますが、「自賠責・共済紛争処理機構」という機関に申請する方法もあるようです。

まとめ

現在の実務では、脳脊髄液減少症と診断された場合に、その治療費を加害者側の保険会社から支払ってもらえる可能性は低いようです。 後遺障害等級認定を受けて、その結果得られた後遺障害慰謝料や逸失利益から治療費を支払っていくことが、現実的な方法と言えそうです。 後遺障害等級認定の結果が「非該当」になった場合、異議申立てをすることができます。結果を好転させるためには、交通事故との因果関係の証明や、画像で症状を確認できるかといった点がポイントになるでしょう。

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