交通事故慰謝料・損害賠償

2018年01月15日

高齢者が交通事故で死亡した場合の賠償金として適切な基準【弁護士Q&A】

高齢者が交通事故で死亡し、賠償金額を保険会社から提示された場合、遺族としては、その金額が適切なのかどうか判断に困ることもあるでしょう。 高齢者の死亡事故で、加害者に請求できる賠償金の額としては、どのくらいが適切なのでしょうか。

  • 加害者に請求できる金額はどのくらい?
  • 保険会社から提示された額より増額する可能性はある?
  • 逸失利益は認められる?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をもとに解説します。

目次

  1. 高齢者の死亡事故で加害者に請求できる金額はどのくらい?
  2. 家事をしていた高齢者が死亡したら、逸失利益は認められる?

高齢者の死亡事故で加害者に請求できる金額はどのくらい?

高齢者が交通事故で死亡した場合、遺族は加害者に対してどのくらいの賠償金を請求できるのでしょうか。

自賠責と任意保険について


相談者の疑問
父が、交通事故で亡くなりました。享年80才でした。相手方の保険会社が訪れ、損害賠償の算定に必要な書類を準備して下さいといわれたので準備しています。

自賠責について調べたのですが、本人が350万円で、3人以上の家族には750万円となっていて、1100万円になります。
金額ではないのでしょうが、喪失感や後悔の念に比べ低い気がします。もし変更できないとしたら、本人と家族の慰謝料の上乗せを任意保険に負担してもらえるのでしょうか。
自賠責の上限が3000万円となっているので、自賠責の範囲内の額ならば、任意保険は関係ないのでしょうか。


好川 久治弁護士
自賠責保険は、被害者の過失7割未満のケースを画一的かつ迅速に処理するために最低限の基準となっています。
高齢者であっても、弁護士が介入し、示談、調停、裁判になれば死亡慰謝料が2000万円を下ることはありません。
家族がいれば、配偶者、子に対し、別途固有の慰謝料が認められることもあります。

逸失利益が上乗せされるかどうかは、80才ですとケースによります。葬祭関係の費用も150万円程度を限度に加算されます。


清水 卓弁護士
自賠責保険の金額は、被害者保護の観点から最低限度賠償されるべき金額として認められているものに過ぎず、これが賠償の上限という訳ではありません。
相手方に任意保険会社がついている場合、被害者の方側の過失割合が高くなることが予想されるような場合などを除き、この自賠責保険の金額を超えた賠償を任意保険会社に求めていくことになります。

ただし、任意保険会社は、任意保険基準といういわば社内基準により算定した賠償額を提示してくることが傾向がございます。
任意保険基準に基づき提示された金額は、適正な賠償基準である裁判基準により算定した金額よりも低額なことがほとんどです。

「金額ではないのでしょうが、喪失感や後悔の念に比べ低い気がします」とのご指摘はごもっともであり、亡くなられたお父様やご家族の皆様のお気持ちを踏まえますと、弁護士に正式に依頼なされるなどして、裁判基準に基づく適正な賠償を目指されるべき事案だと思料いたします。

事案により賠償額は異なってきますが、お父様のご年齢が80歳であったということが賠償上ことさら不利に扱われるべきではありません。

ご参考までに、私が近時取り扱った事例の中に、①90代女性の死亡事故で、保険会社初回提示金額が1500万円でしたが、弁護士としての代理活動の結果、2500万円まで増額が認められたケース、②70代男性の死亡事故、保険会社初回提示金額が3000万円でしたが、弁護士としての代理活動の結果、5000万円まで増額が認められたケースなどがございます。

突然の事故で大変な思いをされていることと存じます。賠償問題につきわからないことも多いかと存じますので、そんなときは、弁護士への正式な相談・依頼を検討してみてください。

お父様が亡くなられた事案であることに鑑み、ご相談なされた弁護士は、きっと皆様のお気持ちを踏まえた解決に努力をしてくれることと思います。

被害者が高齢者でも、裁判基準で算出した金額を元に交渉すれば、死亡慰謝料として支払われる額が2000万円を下回ることは考えにくいようです。 保険会社から提示された賠償金額は必ずしも妥当な金額とは限らず、弁護士が介入したことで、保険会社の提示額よりも1000万円以上増額したケースもあるようです。

家事をしていた高齢者が死亡したら、逸失利益は認められる?

家事をしていた高齢者が事故で死亡した場合、逸失利益(事故にあわなければ得られたはずの利益)を加害者に請求できるのでしょうか。

夫死別,子3人の77歳主婦の死亡慰謝料は,赤い本基準で「母親,配偶者」に該当しますか?


相談者の疑問
母77歳が交通事故で亡くなりました。配偶者(夫)とは死別しており、私をはじめ子供が3人います。

赤い本(弁護士基準)には、死亡慰謝料が「一家の支柱」、「母親、配偶者」、「その他」と3区分されています。区分「その他」の解説をみると「③高齢者等」とする見出しがあり、そこには子供がいる高齢の母親についての判例が記載されています。

母親でも子供が成人している高齢者は、「その他」の区分になるのでしょうか?


泉本 宅朗弁護士
お母様は質問者様や他のお子様と同居されていたのでしょうか。また、家事労働などはされていましたか。
お子さんやお孫さんと同居し、家事を中心的にされている場合、高齢でも「母親、配偶者」に該当すると判断されることはあります。

また、逸失利益も主婦として女性の賃金センサス(77歳でしたら、さすがに全年齢平均は難しいでしょうが)基準で計算されることもあります。
お母様の生活状況や健康状態など、個別的な事情をどこまで立証できるかにかかっています。

子どもや孫と同居し、家事労働を中心に行っていた高齢者に対しては、逸失利益が認められるケースもあるようです。

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