交通死亡事故の賠償金はどのように分配すればよいのか【弁護士Q&Aまとめ】

交通事故で家族が死亡した場合、加害者に対して誰がどのように損害賠償請求するのでしょうか。

  • 遺族のうち誰が請求すればよいのか?
  • 賠償金を誰にどのくらい分ければよいのか?
  • 話合いで自由に分けてもよいのか?

ここではこれらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をまとめました。

目次

  1. 交通事故で母親が死亡したケース
  2. 法定相続分以外の分け方をしてもいい?

交通事故で母親が死亡したケース

交通事故で母親が死亡した場合、保険会社から支払われる損害賠償金は家族でどのように分配すれば良いのでしょうか。 父親はすでに他界していて、死亡した母親の娘である姉妹2人がいるケースを元に解説します。

遺産相続と交通事故の保険金請求について

相談者の疑問 昨年、母が交通事故の遭い亡くなりました。母の遺産の相続人は私と姉の2人なのですが、3年前に父が他界したときに父の預貯金などを引き出させないといわれ葬式代などの費用を私がすべて支払うようなことがあり、仲が非常に悪い状況です。

母が亡くなった後、何の連絡もなく郵便物などを送ってきたので開封せずに送り返しておりましたが、姉の代理人を名乗る弁護士より保険金請求の代理人になったとの手紙が郵送されてきました。

内容として、「貴殿と姉が共同で当職に交渉を委任するとのことであれば、当職までご連絡下さい」とのことでしたが、委任するつもりがなかったので連絡していません。

その後、代理人の弁護士より書面で検討状況を送ってくるようにとの手紙がきましたが、返信用の封筒も入れずに送ってきたので無視し、その後、1週間以内に連絡がなければ保険金請求を行う意思がないものと判断し保険金請求手続きを行うとの手紙が送られてきました。

代理人の弁護士は、父親の遺産の件を持ち出させなくして母の件のみを行うことに必死にみえるのですが、このようなことは普通によくあることでしょうか?

岡村 茂樹の写真 弁護士の回答岡村 茂樹弁護士 お父様もお母様も遺言がないことを前提とします。

1.亡くなられたご両親の遺産相続の問題と、交通事故で亡くなられたお母様の損害賠償請求の問題とを区別して考えたほうがよろしいと思います。

2.交通事故による損害賠償請求権ですが、相続人が子ども2名だけであれば、法定相続分にしたがい、子どもは、各1/2の損害賠償請求権をすでに取得しています。

3.取得しているといっても、これを具体的に実現するには、加害者側に対して損害賠償請求の意思を表示して、これを行使しなければなりません。

4.そして、1つの交通事故による損害額は、1個のものとして観念されます。ですから、相続人2名が共同して加害者側に請求した方が合理的です。

5.さらに、死亡事故ですので損害額が高額となり、また過失相殺(加害者と被害者の不注意の程度に応じて支払うべき損害額を認定する)の問題もあるでしょう。場合によっては、裁判による解決になることもあります。

6.以上を踏まえると、仲が悪いとはいえ、お2人が共同して加害者側と対峙した方が、結果としてベターな解決が望めるはずです。

7.まずは、連絡をよこした弁護士に貴方の疑問、注文を率直にお話しして説明を求めたらいかがでしょうか。

交通事故で家族が死亡した場合、加害者に対する損害賠償請求権は相続の対象となるようです。 上記のケースのように、母親の事故以前に父親が死亡している場合、賠償金は相続のルール(法定相続分)にしたがって子ども同士で分けることになるでしょう。 姉妹2人の場合、それぞれ1/2の取り分があります。 相続人同士の仲が悪かったり、疎遠だったりしても、相続人同士共同で加害者に損害賠償を請求したほうが、事故処理をスムーズに進められる場合があるでしょう。

法定相続分以外の分け方をしてもいい?

事故の慰謝料などは、絶対に法定相続分にしたがって分けなければならないのでしょうか。 相続人同士で話合いができるような場合、法定相続分以外の分け方で分配してもいいのでしょうか。

母親の死亡事故における慰謝料の分配について

相談者の疑問 母が交通事故により他界しました。自賠責の一時金を請求し、その1か月後にお金が振り込まれました。

相続人は、父・姉・私の3人のみです(お金は父の同意のもと私が管理しています)。分配方法については何も知識がなかったので、相続の分配値を参考にして父1/2、姉1/4、私1/4とそれぞれ分配しました。

現状保険会社と示談の交渉中です。提示案の内容を確認すると、現段階では先に受け取っている一時金と相殺してもプラスの提示額になっております。

先に振り込まれた一時金の分配についてはこのままで良いと思っているのですが、示談後に振り込まれるあろう慰謝料については、あくまでも家族間で協議をしますが、私1人のみで受け取っても法的に問題はないのでしょうか?

ちなみにこのような場合の慰謝料については、家族間協議にて分配率を決めても問題はないのでしょうか。

鈴木 崇裕の写真 弁護士の回答鈴木 崇裕弁護士 死亡慰謝料には、亡くなられたご本人に対して支払われるはずだったものと、近親者固有のものがあります。
前者は相続の対象となりますが、後者は相続の対象とはなりません。

したがって、前者については法定相続分で分け、後者は法定相続分とは関係がない、というのが、ひとつの理論上の建てつけとなります。

しかし、実際には、支払われる慰謝料は上述の前者/後者の区別がされず、全体で○○円とされることが多いです。

この場合、一番簡易かつ望ましいのは
・受取人全員の合意による分配
です。

合意ができれば、どのように分配しても法律上の問題はありません。
税金についても、基本的には非課税です。

全員の合意ができない場合には、調停などによって分配割合を決めていくことになりますが、死亡事故という悲しい事件に巻き込まれてしまった家族が、慰謝料の分配をめぐって紛争になることはできるだけ避けた方がよいでしょうから、できる限り調停などの裁判手続をとるよりも前の段階で、紛争化を避けて話合いをしたほうがよいと考えます。

なお、保険会社が提示してくる慰謝料金額は、交渉を前提としたものですから、低めに出されている可能性もあります。満足のいく金額であれば交渉の必要はありませんが、弁護士を立てて交渉した方がよい場合もあります。

相続人全員の合意ができれば、法的にはどのような分け方をしても問題ないようです。 話合いがまとまらない場合は、調停や裁判での解決を目指すことになるでしょう。

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