過失割合

2017年12月26日

「スマホ操作」自転車と衝突した場合の過失割合【弁護士Q&Aまとめ】

車を運転中に、スマートフォンを操作しながら走行している自転車と衝突してしまった。 このような事故が起きた場合、車側にも過失があると判断されるのでしょうか。

  • 車とスマホ操作中の自転車が衝突。過失割合はどのくらい?
  • 歩道上で停止していた車に自転車がぶつかってきた場合は?
  • 車が壊れた場合、修理費を請求するには?

これらの疑問について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答をまとめました。

目次

  1. スマホ操作中の自転車と車が衝突…過失割合は?
  2. 歩道で停止中にスマホ操作の自転車から衝突された場合は?
  3. 衝突した自転車が壊れ、修理代を請求されたら?

スマホ操作中の自転車と車が衝突…過失割合は?

車で直進している時に、突然、脇道からスマートフォン操作中の自転車がノーブレーキで飛び出してきて衝突した。 このような事故で、車側にも自転車側にも損害が発生した場合、過失割合はどのように判断されるのでしょうか。

過失割合に不満がある場合、誰に言えばよいのでしょうか?


相談者の疑問
私の車が一方通行の優先道路を直進中、一時停止のある左脇道から自転車がノーブレーキで道路の中央付近まで飛び出してすぐにハンドルをきって私の車の左側に入ろうとしました。

私は右にハンドルをきり、ブレーキをふんだのですが、車の左前と自転車がぶつかってしまいました。自転車の方は両足に通院2週間程度のケガを負いました。車はレッカー移動され、自転車は前輪がくにゃりと曲がってしまいました。

その道路の制限速度は30キロで、飛び出しの多い道路なので、私は普段から道路の中央をもちろん制限速度内で走行していますし、特に危なそうなところはさらに徐行しています。ぶつかった時も急ブレーキにもかかわらずシートベルトはロックされない位のスピードでした。

それに対し自転車は、スマホをしながらの(片手運転ということですね)一時停止無視、おそらく自転車から見て右折しようとした時に道路中央付近まで飛び出さないと曲がれないほどのスピードでした。

私の気持ちとしては私は全く悪くないと思っています。それでも保険屋は自動車6、自転車4が定石なんですと言ってきました。

私は納得できないと言ったのですが、保険屋には、それでしたら弁護士を立てて相手方と交渉してもらった方がいいと思いますと言われました。相手の過失割合を上げてもらうには弁護士さんにお願いするしかないのでしょうか?

私の車は新車を購入してまだ2か月しかたっておらず、修理に25万円弱かかるそうです。私としては新車で返してほしい所ですが、修理でも全額弁償してくれればいいと思っています。


好川 久治弁護士
四輪と自転車の信号機のない交差点の事故ですから、四輪の過失がゼロということはありません。

保険会社の言っているのは本件ケースの基本過失割合です。

相手がスマホをしながら片手運転であったことや、高速度進入であったと推認されることからすると50:50あるいは自転車60、四輪40になる可能性はあります。
弁護士に依頼すれば、このようになる可能性はあります。

相手がケガをしなかったことが幸いとして、示談で解決するのが望ましい事案ではないかと思います。

万が一死亡事故にでもなっていれば、現行犯逮捕されて今ごろ勾留されているかもしれません。四輪を運転している以上、やはり責任が重くなることは仕方がないです。

信号がない交差点での車と自転車の衝突事故では、自転車側がスマートフォンを操作しながら走行していたとしても、車側の過失がゼロになることは考えにくいようです。 ただし、スマートフォンを操作しながらの片手運転であったことや、高速度で侵入してきたことなどは自転車側の落ち度と考えられ、過失割合を交渉する際の1つの要素になるでしょう。

歩道で停止中にスマホ操作の自転車から衝突された場合は?

完全に停止している車に対して、スマートフォンを操作中の自転車が衝突した事故の場合、過失割合はどのように考えられるのでしょうか。

歩道を塞いで停車中に、片手スマホ自転車が自車の側面にまともに衝突


相談者の疑問
コンビニから国道へ出るため、歩道をまたいで、車が途切れるのを待っていました(30秒くらい停止状態で待っていました)。

すると、右の後ろのドアに正面から自転車が衝突してきました(スマホ操作しながら運転)。

お互いに保険があるので、示談はすべて任せています。私は止まっている車に、スマホ運転で勝手に衝突してきたのだから、一切非はないと思ってますが、相手が自転車で1か月の診断書が出てるので、0.5割は過失をみてやろうと思ってます(警察へは人身にしています)。

しかし相手は歩道を車体で塞いでいたのだから、車の過失がほとんどだと言ってるそうです(なお、私の車には後ろから室内を広角に映すドライブレコーダーがありますので、相手がスマホ片手に衝突してきている様子がバッチリ映ってます)。

この場合の基本的な過失割合をご教授ください。


井上 祐司弁護士
別冊判例タイムズ38号299図という、路外施設から出ようとする車と直進の自転車が衝突したケースがあり、これに従えば基本過失割合が車:自転車=90:10となります。

機械的にこの図を適用し、車両の頭出し待機10%と自転車の著しい前方不注視10%の修正(合流先が幹線道であった場合はさらに5%修正)を加えると、車:自転車=70:30という過失割合が導けそうです。

しかし、今回のようなケースでは私はこの図を用いるべきではないと考えます。

この図は、道路外から進入する車両が減速・徐行をしつつ、直進自転車に軽度の前方不注視義務違反がある場合を想定しています。

今回あなたの車両が歩道上で完全に停止中であったことが立証できた場合、スマートフォンを運転しながらの操作は、単なる画像注視を超えて視界・意識が完全に遮られる非常に危険な運転態様であることを考え併せると、追突に準じて、車:自転車=5:95~10:90程度の過失割合を主張してよい事案ではないかと考えます。

昨今、スマートフォンを運転しての事故が多発していますが、走行中のスマートフォン利用は自殺行為に等しく、従来よりももっと厳しい姿勢で過失割合を認定すべきであると考えます。

完全に停止している車に対して、スマートフォンを操作中の自転車が衝突したようなケースでも、車側の過失がゼロになることは考えにくいようです。 ただし、車側が歩道上で完全に停止していたことや、自転車側がスマートフォンを操作中だったことなどを立証できれば、過失割合を車:自転車=5:95~10:90程度に調整できる可能性があるようです。

衝突した自転車が壊れ、修理代を請求されたら?

スマートフォンを操作中の自転車が車に衝突した際、自転車本体やスマートフォンが壊れた場合、車側が修理費用を支払う必要はあるのでしょうか。

交通事故、物損の弁償額について


相談者の疑問
先日こちらが車、相手方様が自転車で事故を起こしました。

事故状況では裏道を20キロ程で走行していたら、左側を音楽聴き携帯を触りながら自転車に乗っている女性がいたので、その右側をゆっくり抜けました。

そしたら相手方がビックリしたのか車体の左後ろに追突してきてそのまま転んでしまいました。慌てて自分も降りて確認したところ、すみませんでした!私の不注意です!と謝られたのですが、一応警察も呼んで調書をとってもらいました。

その相手方のご両親から連絡が入り、軽い痣ができた。しばらくバイトが行けない。その分と壊れた自転車と腕時計とスマホの代金を保険屋に請求する、と言われました。

任意保険に入っていたので保険屋さんに任せていたところ昨年の9月に車両変更したのですが変更手続きを忘れており使えないと言われてしまいました。なので今回は自賠責のみ使うことになりました。

その旨を相手方に伝えたらすぐにでも修理代と治療費とバイト代を払えと言われてしまいました。こちらも悪いのでもちろん治療費は自賠責から、その他かかった代金もある程度は払うつもりです。

ですが、こちらは相手方から請求された金額を全額払わなくてはいけないのでしょうか?
入っていた任意保険屋さんがもう保険が使えない以上こちらでは関与できません、と事故割合も教えてくれません…。

自転車修理1万8000円
スマホ9万8000円
時計のベルトの修理25万円

このような場合、この金額は全て支払うべきなのでしょうか?


藤本 一郎弁護士
双方に過失が認められる事案だと思います。
その場合、自分の過失部分についてのみ支払をすればいいので、全額を支払う必要はありません。

また、物損の場合、賠償すべき額は、その物の現在の価値です。スマホも時計も中古としての価値を賠償すればよいことになります。

本当に今回の事故で壊れたのか、相手に証明してもらうべきでしょう。


大西 敦弁護士
自転車修理が1万8000円とのことですが、修理費用が時価を上回る場合は時価額が損害になります。そもそも、修理費用が1万8000円もするのかという疑問もあります。

スマホが修理が可能であれば、修理代が損害額です。新しいスマホへの機種変更代は過剰な請求だと思います。

時計は、そもそも事故時に時計をしていたのかという疑問があります。少なくとも、その時計の損傷の内容、購入金額は確認すべきです。

調停申立てを行うのがいいと思います。怪我についても過剰な通院が予想されるところです。

自分にも相手方にも過失がある事故の場合、それぞれの過失割合に応じた賠償金を支払うことになります。 必ずしも、相手方から請求された金額を全額支払う必要はないようです。 物が壊れた事故(物損事故)の場合、賠償するのはその物の現在の価値にあたる金額です。 修理が可能な物であれば、修理代が損害額になるので、新品への買替え費用を支払う必要はないでしょう。

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