進路妨害からの追突事故の過失割合について
車を運転中に後ろから急にあおられるなど、危険な運転がニュースなどで問題視されることがあります。
あおられたあげく、追い越しざまに急ブレーキを踏まれて追突してしまったというケースで、過失割合はどのように判断されるのでしょうか。
追突した側にも落ち度があると考えられるのでしょうか。
相談者の疑問
一般道で法定速度運転中に、後ろからあおられました。
特に気にしなかったのですが、その後も執拗にあおられ、最終的に追い越し可能箇所と交差点前30メートル(追い越し禁止箇所)の境目辺りで急激に追い抜きをかけかれた挙げ句にウインカーも上げずに前方に割り込まれ、相手車両は私の進路を塞ぐような形を取り、急ブレーキをかけられました。
私は止まりきれず追突。私の右前方と、相手乗用車(セダン)の左後方ドアの後ろ部分、ちょうど給油口のあたりが接触。
もちろん警察を呼びましたが、警察到着後の相手の言い分は「あおってはいない」、「適切に車線変更をしたが、私が見ていなかった」、「完全に追突で、こちらに過失はない」の一点張り。
進路を妨害されて追突してしまった場合は、やはり追突した方に過失があるのでしょうか。
弁護士の回答石田 岳彦弁護士
一般の方々にはしばしば誤解されているようですが、追突の際に、追突車の過失が原則100%となるのは、追突車と被追突車がそれなりの距離と時間、同一進路上を走行し、後続車(追突車)が道路交通法の車間距離保持義務(先行車が急停止した場合でも、追突せずに停止できるだけの距離を維持して走行する義務)を負う場合です。
被追突車が、追突の直前に、追突車の進路前方に割り込んだような場合には、被追突車側に道路交通法違反(進路変更車は後続直進車の通行を妨害してはならないなど)が認められるので、被追突車側の責任が大半となることが多いです。
割り込んだ車と追突された車が異なる場合は?
では、急な割り込みをによって前の車が急ブレーキをかけ、その車に追突してしまったようなケースの責任はどのようになるのでしょうか。
つまり、割り込みをした車と追突された車が異なるようなケースはどのように考えればいいのでしょうか。
相談者の疑問
先日国道において追突事故を起こしました。私が追突した車の前に突然割込み車が来て、それを回避するために前の車が急ブレーキを踏み、私の車がブレーキが間に合わず追突してしまいました。
事故原因の割込み車は車の損傷はありません。そのため私の前方不注意、車間距離不十分で、事故の割合は100:0と言われ、私の保険で追突した車の修理、治療費を払わなくてはいけません。
割込みがなければ起こらなかった事故なのに納得がいきません。この場合、割込み車の責任はないのでしょうか?過失割合は100:0なのでしょうか?
弁護士の回答黒岩 英一弁護士
>この場合、割込み車の責任はないのでしょうか?過失割合は100:0なのでしょうか?
割込み車の挙動などを確認しないと、責任があるかどうかの判断はできません。急ブレーキをかけるほどの割込み方だったということですから、いくらかの過失が認められる可能性がないとはいえないと思います。
ただ、あなたが追突した車との関係でいうと、あなたの車間距離不十分が問題になるということになるため、ここでは100:0となります(不真性連帯債務として、割込み車の責任を主張してもあなたの支払うべき金額が減ることはありません)。
割込み車に責任があるといえるなら、別途あなたが割込み車に対して請求していく必要があります。
走行中であっても「過失割合ゼロ」を主張できるケースとは?
相手の強引な進路変更が原因で接触事故を起こされた場合は、たとえ走行中であってもこちらの過失割合は0を主張することができるのでしょうか。
相談者の疑問
片側2車線の高速道路の走行車線を制限速度80km/hのところを80km/hで走行中、追い越し車線を早いスピードで走ってきた車両が当方の車両に追い付く直前で進路変更し、当方の車両の右後ろと加害車両の左前が接触、追突するような形で衝突しました。
修理代が150万円ほどかかる大事故です。私は事故時、加減速はしていません。
これについて、相手方保険会社は進路変更時の事故だと譲らず、修正後過失割合1:9で、当方にも過失があるが、修理代は全て持つと不自然な主張しています。
このように後方から来た追い抜き車両の突然の進路変更での事故は、どの程度の過失割合となるのでしょうか。
わたしは、追い抜きは後方の車両により多くの注意義務がある事と、衝突の形が激しい追突である事から追突事故として0:10を主張しております。
弁護士の回答好川 久治弁護士
どう考えても10ゼロでしょう。
こちらは走行車線を制限速度で走っているだけで、相手が後方に進路変更をしてこちらの右後方に接触しているわけですから、こちらは避けようがありません。
保険会社は進路妨害事案と勘違いしているのではないでしょうか。お互いに走行中の事故だから多少の過失はあるだろうという、保険会社の常套文句でしょう。この事案ではありえません。