交通事故

弁護士監修記事 2017年12月18日

【交通事故】ケガをしたのに加害者が「物損事故で届け出て」…応じてよい?

交通事故の加害者から「人身事故ではなく、物損事故で届け出てほしい」と言われた場合、要求に応じていいのでしょうか。ケガをしているのに物損事故として届け出た場合、被害者にとって不利益なことが起きる可能性はあるのでしょうか。このような疑問について、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をまとめました。

目次

  1. 「物損事故で届け出て」加害者の要求に応じてよい?
  2. 人身事故で届け出たら加害者はどうなる?
  3. 物損事故のままでも、加害者から慰謝料をもらえる?
  4. まとめ

「物損事故で届け出て」加害者の要求に応じてよい?

alt 交通事故で、物だけが壊れた事故を「物損事故」、人がケガや死亡にいたった事故を「人身事故」といいます。交通事故の被害にあった場合は、どちらかで警察に届け出る必要があります。 では、事故の加害者から「人身事故ではなく物損事故で届け出てほしい」と言われた場合、応じてよいのでしょうか。物が壊れてケガもしたという場合でも、物損事故で届け出てよいのでしょうか。

人身事故と物損事故について


相談者の疑問
ロードバイクで坂道を下っていて、自分を追い越したタクシーが左折してきて止まれずに巻き込まれてケガしました。ブレーキの反動で吹っ飛び頭から落ちて後輪にヘルメットをバキバキに踏まれましたが、頭は踏まれずにすみました。

結果的に打撲数か所とすり傷多数・自転車壊れ・眼鏡壊れな感じです。1番重症な打撲で全治4週間位みたいです。

事故が起きたあとの話なんですが、物損事故で処理しても、支払われる金額は同じなので物損事故扱いにしてほしいと言われました。

警察の人も人身事故と物損事故の違いはドライバーを法的に裁きたいかそうでないかの違いと言われました。何も変わらないなら物損にしてあげてもいいかなと思いますが、本当に何も変わらないのでしょうか?


吉田 大輔弁護士
事故状況やそれに基づく過失割合について、双方の捉え方は一致しているのでしょうか。もし一致していないのであれば、人身事故扱いにする必要があるかもしれません。
  
理由は、物件事故扱いの場合、警察は事故状況について物件事故報告書というものを作成しますが、極めておおざっぱな内容が記載されるだけということが少なくありません。人身事故扱いの場合には、原則として当事者双方の立会いのもと実況見分がなされ、実況見分調書が作成されます。

この実況見分調書は、事故状況が詳細に記載されることから、証拠としての価値が高く、交通事故に関する民事裁判でも証拠として利用できるからです。

物損事故で届け出た場合と人身事故で届け出た場合の違いの1つが、警察の捜査(実況見分)が行われるかどうかです。 実況見分が行われることで、事故状況の詳細な記録(実況見分調書)が残ります。事故が起きた当時の状況や過失割合について、自分と加害者の主張が食い違っていたり、後に対立する可能性があるような場合は、実況見分調書が重要なポイントになることもあります。 加害者から「物損事故で届け出てほしい」と要求されたとしても、安易に応じず、自分の場合はどちらで届け出るべきか慎重に考えましょう。

人身事故で届け出たら加害者はどうなる?

alt そもそも、加害者が「物損事故で届け出てほしい」と要求するのはなぜなのでしょうか。人身事故で届け出た場合、加害者はどうなるのでしょうか。

自転車・自動車の接触事故 被害者(自転車)にとって、人身・物損の違いはなんですか?


相談者の疑問
今日、接触事故に遭いました。こちらは自転車、相手は自動車です。相手がすぐに警察を呼んでくれ、救急車で搬送されました。見てわかるケガは、額の大きなたんこぶと膝のすり傷で、CTの結果は問題ありませんでした。

警察には、「人身にするなら、金曜日までに交通課に連絡するように」と言われ、人身・物損の違いがわからないまま帰宅したところ、先ほど来た保険会社の人に、「人身でも物損でも対応内容は変わらない。骨折などならともかく、今回のケースは物損でいいのでは?」というようなことを言われました。

初めてのことで、混乱しています。たんこぶ以外に、手も痛くなってきました。被害者にとって、人身、物損で何が違うのですか?


泉田 健司弁護士
人身事故となれば、警察は自動車運転過失傷害罪として立件することになります。そうすれば、加害者は、罰金などの刑事処分や行政上の処分を受けることになります。そのため、加害者は、物損扱いにしてくれと被害者に懇請することがあります。

被害者にとって不利益といえば、物損事故だと警察が実況見分調書を作成しないので、後に紛争が拡大したときに事故状況を証明するのが大変になることがあります。

ときに、刑事処分や行政処分を受けるのは加害者がかわいそうだと考えて人身事故扱いにしないという方もいます。この点は、弁護士としては、お気持ち次第ですとしかいいようがありません。

人身事故として届け出た場合、加害者は刑事処分(自転車運転過失傷害罪)や行政上の処分を受ける可能性があるようです。 加害者としては、そのような処分を避けるために、物損事故で届け出ることを被害者に要求するケースがあるようです。

物損事故のままでも、加害者から慰謝料をもらえる?

alt 警察に物損事故として届け出たとしても、後日身体に痛みなどの症状が出てきて、通院や入院をすることになるケースもあるでしょう。その場合、加害者に、入院・通院をしたことに対する慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

物損事故と人身事故の保証の違い


相談者の疑問
交通事故にあい物損事故として処理しましたが、事故当日午後から痛みを感じ、その日のうちに受診して「約2週間の加療を要する見込み」という診断書をいただきました。事故から既に1か月以上経っていますが、未だに痛みが引かずリハビリに通う日々です。

ネット上で、物損では慰謝料は出ないとの記載を目にしたのですが、後遺障害の可能性もあるならば今からでも人身に切り替えてもらった方がよいのでしょうか?治療費は相手の保険会社から支払いがされています。


松本 篤志弁護士
警察への届出が人身事故か物件事故かに関わらず、事故によりケガをして通院などをしたのであれば、入通院慰謝料の発生は問題なく認められます。

治療費について相手方任意保険会社が支払っているとのことであれば、事故の通院治療との因果関係については特に争わないとのことでしょうから(治療が長期化した場合は別かもしれませんが)、入通院慰謝料についても発生自体を争われることはないでしょう。

なお、「物損で慰謝料が認められない」というのは、ケガしておらず通院などもしていないという意味での物損事故の場合、たとえば車両損害だけは発生したからといってそれでは慰謝料は認められない、という意味です。

物損事故として届け出た場合でも、事故のケガで通院や入院をしたことを保険会社が認めているのであれば、入院・通院したことについての慰謝料を請求することができるようです。

まとめ

物損事故として届け出た場合と人身事故で届け出た場合との違いの1つは、警察による捜査(実況見分)が行われるかどうかです。 人身事故として届け出た場合は実況見分が行われ、警察によって事故状況に関する詳細な記録(実況見分調書)が作成されます。事故当時の状況について自分と加害者の主張が食い違っているような場合は、実況見分調書の内容がポイントになるかもしれません。 事故の加害者から「物損事故で届け出てほしい」と要求されたとしても、まずは自分の状況を省みて慎重に判断することをおすすめします。 物損事故として届け出た場合でも、保険会社が事故によるケガで病院に行ったことを認めている場合は、入院・通院したことに対する慰謝料を請求できるようです。

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