【交通事故】後遺障害等級の認定を受けるメリットと保険加入への影響

交通事故被害でケガをし、「これ以上治療を続けてもよくならない」という状態(症状固定)になった後も痛みなどが残った場合、その症状について「後遺障害等級認定」の手続きをすることができます。

  • 後遺障害等級認定とは
  • 後遺障害等級認定を受けることのメリット
  • 保険に入るときに不利になる可能性はあるのか

この記事では、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と、弁護士の回答をもとに、後遺障害等級認定のメリット・デメリットについて解説します。

目次

  1. 後遺障害等級認定を受けるメリットは?
  2. 逸失利益はどんな場合でも認められる?
  3. 生命保険に加入するときに不利になることがある?

後遺障害等級認定を受けるメリットは?

後遺障害等級認定を受けると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

後遺障害認定を受けることによるデメリットはありませんか

相談者の疑問 交通事故による後遺障害等級認定について教えてください。
今年6月に自動車と自転車の衝突による交通事故に遭いました。

胸椎の圧迫骨折により、5日間の入院、2週間のギプス固定、その後2か月間コルセット装着指示でした。約3か月(と言っても通院は6回ほど)の治療の上、医師からは、どこを怪我したのかわからないくらい綺麗になりました。

後遺症など心配はないでしょうとお話いただいていました。しかし、先日、相手方の保険会社より、怪我の場所から判断すると、おそらく後遺症認定がおりるので、再度MRI検査を受けるように連絡がありました。

質問です。後遺障害等級認定を受け、認定がおりたと仮定します。

この場合のメリットはなんですか?たとえば、今後、何十年かに渡って保証が延びたりしますか?今回保険金が増えるだけですか?まだ高校生のため、就職や進学・保険加入などに影響することはありますか?また、後遺症認定を受けなくても、胸椎圧迫骨折をしたという情報はどこかに流れて行きますか?

半田 基の写真 弁護士の回答半田 基弁護士 医師、弁護士、損害保険会社は守秘義務を負っていますので、情報が漏れたりして就職に不利になるなどは考えなくてもいいと思います。

企業は、そのような情報をリスクをとって集めることはありません(コストをも考えると、何のメリットもないこともおわかりになると思います)。

後遺症認定を受けると、後遺症に対する慰謝料(後遺症の等級により、ほぼ自動的に算定されます。)、逸失利益(後遺症の等級に応じた労働能力喪失の程度×想定される収入ー生活費、実際はライプニッツ係数という係数を乗じて、ほぼ機械的に計算されます)を受け取ることができます。

ただ、ご本人が現在何の痛みもないということからすると、後遺障害等級認定がおりたとしても、等級は軽いと思われますので、何十年にもわたる分の逸失利益を受け取ることはないと思います。

後遺障害等級認定の手続きをすると、症状の程度によって1級〜14級の等級のどれかが認められる可能性があります。等級に応じて慰謝料が支払われます。 また、後遺障害等級認定を受けると、逸失利益(交通事故がなければ本来得られたはずの利益)が認められ、慰謝料とは別にお金を受け取れる可能性もあります。

逸失利益はどんな場合でも認められる?

後遺障害等級認定を受けると、後遺障害を負ったことに対する慰謝料と逸失利益の両方が賠償として認められる可能性があります。 等級認定を受けた場合、逸失利益は必ず賠償として認められるのでしょうか。たとえば、顔に傷が残ったようなケースでは認められるのでしょうか。

後遺障害逸失利益

相談者の疑問 後遺障害の等級が認定された場合、後遺障害逸失利益は必ず認められるのでしょうか?

好川 久治の写真 弁護士の回答好川 久治弁護士 必ずというわけではありません。

例えば、歯牙欠損、軽度の外貌醜状痕、短縮など、逸失履歴が認められないケースはあります。

もっとも裁判実務ではその場合に、後遺障害慰謝料の増額で考慮されることが多いです。

交通事故の逸失利益について

相談者の疑問 交通事故の被害者(女性)です。

先日相手保険会社から示談書が届きましたが、内容に納得がいきません。後遺障害9級16号が認定されているのですが、顔面醜状痕だけなので労働能力に影響がないとのことで逸失利益は無し(0円)との説明でした。

質問内容
1.女性の顔面の傷(40代前半、即婚、専業主婦)でも相手保険会社の言う通り逸失利益は無しになってしまうのでしょうか?

2.ライプニッツ係数表で見ると9級16号では35/100となっていると思いますが、この表は適応されないのでしょうか?また、就労可能年数は短縮されてしまうのでしょうか?

3.過去の判例等での落としどころはあるのでしょうか?

湯本 良明の写真 弁護士の回答湯本 良明弁護士 > 1.女性の顔面の傷(40代前半、即婚、専業主婦)でも相手保険会社の言う通り逸失利益は無しになってしまうのでしょうか?

→そうはなりません。たしかに外貌醜状については逸失利益を否定している裁判例もありますが、肯定している裁判例のほうが多いです。

> 2.ライプニッツ係数表で見ると9級16号では35/100となっていると思いますが、この表は適応されないのでしょうか?また、就労可能年数は短縮されてしまうのでしょうか?

→35/100は労働能力喪失率ですね。基本的にこの喪失率が適用されることになります。ただ、具体的事案により、増減されることはあります。

就労可能年数は67歳までとされていますので、短縮されるされないの問題ではないでしょう。おそらく労働能力喪失期間のことをおっしゃっているものと思いますが、外貌醜状は基本的に生涯残るものですので、基本的に67歳までの労働能力喪失期間が認められることが多いようです。

> 3.過去の判例等での落としどころはあるのでしょうか?

→上記のとおり、外貌醜状でも逸失利益は肯定されますので、現段階で落とし所を探る必要はなく、争っていけばいいと思います。

一度弁護士に相談に行かれるとよいと思います。

篠原 優太の写真 弁護士の回答篠原 優太弁護士 >1.女性の顔面の傷(40代前半、即婚、専業主婦)でも相手保険会社の言う通り逸失利益は無しになってしまうのでしょうか?

→確かに交通事故によって、顔面など人目に触れる可能性のある身体の部位(外貌)に目立つほどの傷跡(醜状)が残ってしまった場合、後遺障害として認定されますが、逸失利益が認められるかについては争いがあります。外見については労働能力に直接影響しないため、逸失利益が認められないと判断をする場合も有ります。

裁判では、傷の部位、程度、性別、年齢、職業、業務に対する支障、就職・転職の可能性等を考慮して労働能力喪失の有無、喪失率、喪失期間が判断されます。
モデルや芸能人など、外見を商売道具としている方はもちろん、接客業をやっている方も認められる傾向に有ります。

> 2.ライプニッツ係数表で見ると9級16号では35/100となっていると思いますが、この表は適応されないのでしょうか?また、就労可能年数は短縮されてしまうのでしょうか?

裁判所で争った結果、そうなることもあると思います。

>3.過去の判例等での落としどころはあるのでしょうか?

過去の判例とご相談者様の職業とが類似していれば、それを主張していくことになると思います。

逸失利益が認められる1つのポイントは、「労働能力に影響があるかどうか」という点です。 事故で顔に傷が残ったようなケースでは、後遺障害等級認定を受けても、労働能力には影響がないとして、逸失利益が認められないことがあるようです。 一方で、芸能人やモデル、接客業といった職業に就いている場合は認められる可能性があります。 逸失利益が認められない場合でも、後遺障害慰謝料の増額という形で考慮されるケースがあるようです。

生命保険に加入するときに不利になることがある?

生命保険に入る際、持病や障害がある人は、加入することができなかったり、加入条件が不利になったりすることがあります。 後遺障害等級認定を受けたことは、保険に入る際に何かしら影響するのでしょうか。

後遺症認定された後について

相談者の疑問 今回事故で腰椎の奇形の後遺症障害が認定されました。この場合今後、任意で保険に入る場合、不利になる場合はあるのでしょうか?例えば、後遺症があるので、保険の条件が悪くなる等。

久保田 匡彦の写真 弁護士の回答久保田 匡彦弁護士 加入を考えておられる保険の種類にもよるのでしょうが、一般的に医療保険や傷害保険等には告知義務があります。
その告知内容が保険金支払い条件に関わる場合は、保険加入を拒否されたり、免責状況を付けられたり、保険料がそういった後遺障害のない方より高額になったりする可能性はゼロとは言えません。

ただ、おそらくご記載の後遺障害等級認定は、交通事故に伴う自賠責での認定の話だと思いますが、これは簡単にいえば、交通事故に伴う損害賠償額算定のための基準という位置付けですので、たとえば障害者手帳の何級というのとは違うレベルの話ということになります。

したがって、この自賠責による後遺書障害何級ということが、今後の保険加入において、無条件に悪影響をもたらすというわけではありません
詳しくは、ご加入を考えておられる保険を販売する代理店等にお問い合わせください。

後遺障害の内容や、加入したい保険のタイプにもよりますが、後遺障害等級認定を受けたとしても、必ずしも生命保険の加入で不利になるわけではないようです。

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