症状固定

弁護士監修記事 2017年09月27日

【交通事故】症状固定後の治療費を加害者に請求できる? 弁護士Q&Aまとめ

交通事故で負ったケガ。医師から「これ以上回復の見込みがない(症状固定)」と言われたけど、まだ治療は続けたいーー。 症状固定後も通院を継続した場合、治療費は自分で負担することになるのでしょうか。加害者に請求することはできないのでしょうか。 こうした疑問について、「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答をもとに解説します。

  • 症状固定後も通院を続けた場合、治療費を加害者に請求できる?
  • 症状固定後に残った症状が「後遺障害」として認められるケースは?

目次

  1. 症状固定後も通院を続けた場合、加害者に治療費を請求できるのか
  2. 「後遺障害」と認められるのはどんなケース?
  3. まとめ

症状固定後も通院を続けた場合、加害者に治療費を請求できるのか

alt 症状固定後の通院にかかる治療費は、自己負担することになるのでしょうか。加害者に請求できないのでしょうか?

症状固定後の治療費請求


相談者の疑問
事故にあい、半年通院しました。

まだ痛みや痺れがあったのですが、仕方なく症状固定をしましたが、日に日に痛みが増して1ヶ月経たないうちにリハビリを再開しました。

これからリハビリの治療費は自腹になるのでしょうか?

あきらかに事故に因る痛み再発なのですが、請求はできないのでしょうか?

裁判するしかないのでしょうか?


石田 岳彦弁護士
これ以上、積極的な治療行為を行っても、症状の根本的な改善が医学上、期待できなくなった状態を「症状固定」といいます。

判例・実務では、症状固定時以降の治療費については、原則として、事故との相当因果関係のある損害とは見做さず、加害者は支払い義務を負わないとされています。

また、症状固定時において残存している症状については、自賠責保険等の認定により「後遺障害」として、傷害とは別に損害賠償の対象となり得ます。

> あきらかに事故に因る痛み再発なのですが、請求はできないのですか?裁判するしかないのでしょうか?

医師の症状固定診断が出た以上、加害者側としては、その後の治療費の支払いは拒否する可能性が高いです。

また、訴訟に移行した場合でも「当初の症状固定診断が不当であったこと」(症状の更なる根本的な改善が医学的に可能であったこと等)を相談者の側で立証できない限り、裁判官としては、医師の症状固定診断を信用し、これを前提に症状固定日を判断するでしょう。

判例や実務上では、症状固定後の治療費は、加害者が負担する義務はないという考え方がされているようです。 裁判で争う場合も、「当初の症状固定の判断が適切ではなかった」と被害者が証明できない限り、加害者に治療費を支払わせることは難しいでしょう。 ただし、症状固定後も残った症状が「後遺障害」として認められた場合は、別の損害として賠償を請求できるようです。

「後遺障害」と認められるのはどんなケース?

alt では、「後遺障害」と認められるのはどのような症状なのでしょうか。後遺障害保険金の額はどのくらいなのでしょうか?

後遺症害認定???後遺症害認定は、受けられるのでしょうか?


相談者の疑問
息子が交通事故に遭いました。全身打撲、右足首捻挫、右肘骨折です。
右肘は手術して、ワイヤーで止めています。今は、リハビリ中です。半年から、1年後にいワイヤーを抜く手術をします。

事故当日、担当のお医者様の話では、将来的に支障がでると言われています。完全に元の状態には戻らないと言われました。なので、少しでも可動域を広げるために、リハビリを頑張っています。完全に元の状態に戻らないと言うことは・・・後遺症ということですよね。

後遺障害認定は受けられるのでしょうか?また後遺障害認定とは、どういったものですか?

それによって、慰謝料の金額も変わるよ・・・と聞きました。息子はまだ18歳です。将来なりたい職業もあります。手を酷使する職業です。

半年から1年後、治療が終わり、その後、支障がでた時には相手の保険会社からの医療保障は受けられるのでしょうか?

治療が全て終わったら、その後にでた関節の不調や障害は自己負担になるのでしょうか?


加藤 雅己弁護士
自動車事故の場合、加害者の自賠責保険に直接後遺障害による損害賠償金の請求をすることができます(被害者請求といいます)。後遺障害についてこの請求をする場合、自賠責保険において後遺障害の有無・程度を判断します。

また、加害者の任意保険を通じてこの手続を行うこともできます。自賠責保険では、後遺障害として認める障害の内容と程度を予め設定しています。

肘の骨折ということですので、参考までに肘関節に障害が残った場合の後遺障害について簡単にご説明します。なお、後遺障害は1級から14級までの等級があります。

■8級 三大関節中の1関節の用を廃したもの
→健側(障害のない方の肘)の可動域の10%程度以下に制限された場合
■10級 同1関節の著しい機能障害
→健側の可動域の1/2以下に制限された場合
■12級 同1関節の機能障害
→健側の可動域の3/4以下に制限された場合

なお、肘関節の場合、標準的な可動域は屈曲145度、伸展5度とされておりますので、健側の可動域がこれと同じだと仮定しますと8級→20度以下、10級→80度以下、12級→115度以下となってしまった場合に後遺障害の認定がなされます。

このような可動域制限の後遺障害以外にも、骨がきちんとくっつかなかったりした場合、変形障害としての後遺障害認定も考えられます。

ご子息については、今後治療を続け、いずれ「症状固定」と呼ばれる時期に至ります。
「症状固定」とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態であって、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したときをいうとされています。
簡単に言えば「治療を続けてもそれ以上良くならない状態」になるということです。

原則としてその症状固定に至るまでは治療費を加害者に請求することができますが、症状固定後はできなくなります。

そして、自賠責保険における後遺障害の有無・程度の認定についても、その症状固定後に行われることになります。

手を酷使する職業とのことですが、仮に前述の基準によって後遺障害の認定に至らない場合でも、職業と障害の関係によっては、慰謝料等の請求ができる場合もあると思います。

後遺障害は残らないことが何よりですので、辛いことと拝察致しますがリハビリをできるかぎり頑張って頂くことが今一番大切なことだと思います。

損害賠償の対象となる「後遺障害」の内容は、障害の程度に応じて14の等級が法令で定められています。等級をもとに後遺障害保険金の額が算出されます。たとえば、8級の場合は限度額819万円、10級の場合は461万円です。 症状固定後に残った症状が14等級の内容にあてはまらない場合、後遺障害として認定されないこともあります。 その場合、後遺障害保険金を請求することはできませんが、場合によっては慰謝料といった形で請求できる可能性があるようです。

まとめ

実務上、症状固定後の治療費について、加害者側が負担する義務はないという考え方がされているようです。 裁判で争う場合も、「当初の症状固定の判断が適切ではなかった」と被害者側が証明できない限り、加害者側に治療費を支払わせることは難しいでしょう。 ただし、症状固定後も残った症状が「後遺障害」として認められた場合は、障害の程度に応じて算出された「後遺障害保険金」を請求することができます。 損害賠償の対象となる「後遺障害」の内容は、障害の程度に応じて14の等級が法令で定められています。等級をもとに後遺障害保険金の額が算出されます。

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