一時停止を無視して飛び出してきた自転車と接触した場合の過失割合
路地などから急に自転車が飛び出してきた場合、回避できず接触してしまうことがあるでしょう。
では、一時停止を無視して飛び出してきた自転車に接触した場合、過失割合はどうなるのでしょうか。
相談者の疑問
父が車で直進中、脇道の細い路地から高校生が運転する自転車が一旦停止を無視して飛び出してきてボンネットに乗り上げる事故が起きました。警察も呼び、自転車の一旦停止無視による事故と言われたそうです。
高校生も一旦停止無視を認め、ケガもないので人身事故扱いにはなっていませんでした。しかし、翌日病院に行くことになったそうで、おそらく人身事故になると思います。当方の保険は対人対物のみで車輌保険未加入。クルマの修理費用は25〜50万の見込み。
修理費用は相手に請求可能なのでしょうか?過失割合はどうなるのでしょうか?
弁護士の回答松本 篤志弁護士
過失相殺の基本割合は、一時停止義務違反の自転車40:四輪車60となり、修正要素があるとしても50:50程度となることが想定されます。
相手方が任意での支払をしない場合は、車両保険の契約がない以上、訴訟提起の方法によることになります。
子どもが飛び出してきた場合の過失割合について
自転車に乗って飛び出してきた子どもと接触した場合、過失割合はどうなるのでしょうか。
相談者の疑問
友人の話ですが、先日自動車で走行中、自転車に乗る子どもとの接触事故を起こしました。
友人は自動車で走行中、公園に差し掛かるため徐行しました。突然、子どもが自転車に乗って飛び出して来たので急停止しましたが、自転車は友人の車に側突しました。
友人は公園を右にして走行、右側の公園から飛び出してきた自転車は友人の車の運転席側に接触しました。幸いけがはないようですが、交通弱者であることを理由に、警察からはものすごく強い口調で怒られたそうです。
保険会社にも事故の連絡をしましたが、保険代理店は自車両70:相手30の過失割合だと言ってきたとのことです。相手が子どもで、自転車という交通弱者であることは十分にわかるのですが、この過失割合は本当に正しいのでしょうか?
弁護士の回答泉本 宅朗弁護士
自転車が路外から道路に出てきた場合、直進自動車との過失割合は、自転車:自動車=4:6が基本です。
ただ、自転車の運転者が子どもということで、1割くらい有利に扱われ、3:7と言われているのかと思います。
お友達の方としては、自転車の子どもが飛び出しをしてきたということから、子どもにも著しい過失があったと主張して、基本の4:6に戻せる余地があるかどうかだと思います。
過失割合については、『別冊判例タイムズ38』という本をご参照下さい(このケースは300類型です)。
子どもの年齢がいくつなら過失割合が修正されるのか
子どもが飛び出した場合は、基本過失割合が修正される可能性があることはわかりました。
では、具体的に、子どもの年齢がいくつなら過失割合が修正されるのでしょうか。
相談者の疑問
先日子どもが交通事故にあいました。子どもが、見通しの悪い十字路の一時停止がある側からの飛び出し右折進入をし、右側から来た車と接触しました。
保険会社から過失割合について連絡があり、判例タイムズを参考に今回の過失割合は5対5になると言われました。
子どもが小学校5年生の11才で児童減算の-10はないのか尋ねたところ、児童として減算されるのは小学校2年生までで5年生であれば大人扱いであると言われました。
11才では本当に大人扱いの過失割合になるのでしょうか?
弁護士の回答好川 久治弁護士
道路交通法上の児童は6歳以上13歳未満の者です。車両などの運転者が通行を妨げないようにしなければならない児童は、監護者の付き添わない児童です。
ですから、判例タイムズで想定している減算対象となる児童に含まれると考えてよいです。
なお、お子さんは自転車でしょうが、基本過失割合の50対50も怪しいですね。詳しい事故態様を弁護士に相談して適正な過失割合を判断してもらってください。