
車線変更が原因で事故が発生…過失割合はどうなる?3事例をもとに解説
交通事故が起こる原因の1つに、車線変更があります。
- 車線変更中にウィンカーが切れて接触した
- 車線変更した車同士が接触した
- 追越しのために車線変更して接触した
上記のような事故の過失割合について「みんなの法律相談」に寄せられた実際の相談事例と弁護士の回答を元に解説します。
車線変更中にウィンカーが切れて接触した
車線変更をするときは、周りの車にそのことを知らせるためにウィンカー(方向指示器)を出さなければなりません。
事前に出したウィンカーが、車線変更中に切れてしまい、その後、直進車と接触した場合、過失割合に影響するのでしょうか。
相談者の疑問
事故の過失割合についてですが、車線変更をする際に、車線を変更する車の方向指示器が車線変更途中で合図が切れ直進車とぶつかった場合、過失割合は変化するのでしょうか?
弁護士の回答松本 篤志弁護士
車線変更途中で合図が切れたことが、事故の発生に特に寄与したといえるかどうか、個別具体的な走行状況などから判断することになるでしょう。
その上で、通常は、車線変更先へ進路を変えて進入を開始した時に合図をしていたのであれば、進入先車線の後行車両も十分気を付けることができるのであって、途中で合図が切れたことは事故の発生には特段影響していないとして、過失相殺率に特段の影響を与えないことが多いように思われます。
車線変更した車同士が接触した
片側3車線の道路で、両サイドの車線から同時に中央の車線に車線変更した車同士が衝突した場合、過失割合はどうなるのでしょうか。
相談者の疑問
先日、交通事故を起こしてしまいました。片側3車線以上ある道路での出来事です。時間帯は夕刻、交通量の多い道路で、私(A車)は左車線を走行していました。走行していた道路が左折レーンだったことから、中央車線にウインカーを出して車線変更をしました。
車線変更をした後、中央車線に入り少し走行したところで、トランクで物音がしたか、何かぶつかったような音がしました。フロントミラーを見ると、後続車(B車)が止まっており、運転手が何か合図をしていたため、ぶつかったのだと気づきました。
B車を運転していた運転手によると、B車は三車線の追い越し車線から走行車線(中央車線))に車線変更をしようとしたところ、右側車線から、すごい勢いで私が運転するA車が入ってきたとのことです。
私はB車のウインカーサインを確認することができなかったので、本当に何が起きたのか分からない状況でした。
この場合、過失の割合はどの程度になる可能性が高いのでしょうか。
弁護士の回答齋藤 裕弁護士
車線変更同士の事故では基本50:50かと思います。
それが追突、つまりあなたの方が先に入っていたことであなたの方の過失割合が減ることになります。
それがどの程度なのか、相手方車がウインカーを出していたか、それをあなたが認識可能だったか、あなたが車線変更してからどの程度後に衝突が発生したかなどの事情で変わってくると思います。
ということでかなり大ざっぱな見方ですが、相手方60~70パーセントくらいの過失ではないかと見ます。
追越しのために車線変更して接触した
前の車を追い越すために車線変更したときに、前の車が車線をはみ出してきて接触した場合、過失割合はどうなるのでしょうか。
相談者の疑問
片側一車線道路で法定速度で走行、前方にトラックが走っていたため、交通規則通りにウィンカーを出し、右側反対車線から追い越しをしようとしました。
するとそのトラックがセンターラインをはみ出してきて、左側のサイドミラーにトラックのサイドボディが接触し、サイドミラーが一部破損しました。
過失割合はどのくらいになりますでしょうか?
弁護士の回答松本 篤志弁護士
道路状況などにもよりますが、一般に、追越し禁止場所でない場所での同一方向進行中の事故であれば、追越し車80:先行被追越し車20が基本割合となります。
その上で、修正要素の検討となり、たとえば先行被追越し車が追い付かれても左に寄らなかった点につき10%責任が加重されるとなれば、追越し車70:先行被追越し車30ということになります。
ただ、上記は一例で、たとえば、接触が交差点付近で、先行被追突車が右折を試みた事故であるとか、さらには交差点以外での追越しで、先行被追突車が故意に(わざと)速度を上げたり右にハンドルを切って追越し車の妨害をしたための事故である場合だとか、事情によって、過失相殺の基本割合自体が変わってきます。
任意保険の契約があるのであれば、今後、過失相殺率についても任意保険会社側の見解もお聞きできるでしょうし、弁護士に相談する場合は実際の現場道路状況などを図面などで確認しながら相談するということをご検討ください。