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死亡事故

交通事故で被害者が死亡した場合の慰謝料や逸失利益の相場や計算方法、過失割合の注意点

交通事故でご家族がお亡くなりになった場合には、深い悲しみと加害者への怒りで苦しい思いをされていることでしょう。何をしても亡くなられた方は戻ってきませんが、せめて加害者にはしっかりと責任をとらせなければ、被害者は報われません。ここでは加害者に請求できる慰謝料や損害賠償と注意点を説明します。

目次

  1. 死亡事故の慰謝料・損害賠償の種類
  2. 慰謝料・損害賠償の相場
  3. 治療費や葬儀費
  4. 死亡に対する慰謝料
  5. 死亡による逸失利益
  6. 死亡事故における注意点

死亡事故の慰謝料・損害賠償の種類

交通事故で被害者が死亡した際には、加害者に慰謝料や損害賠償を請求することができます。請求できるものは次のようなものです。

  • 死亡に至るまでの治療費や葬儀費
  • 死亡に対する慰謝料
  • 死亡による逸失利益

慰謝料・損害賠償の相場

交通事故で慰謝料額などを決める際には、用いる基準に応じて相場が異なります。基準には自賠責基準と任意保険基準、そして裁判基準があります。 自賠責基準は自賠責保険で最低限保障されている金額で、それを基に保険会社が独自基準を作成しており、任意保険基準と呼ばれます。自賠責保険による支払いは、最低限の水準であり、保険会社の提示する金額も十分なものでないことに注意しましょう。 裁判基準は、裁判で自身の主張が認められた際に、判決で決定される金額です。裁判所が補償として妥当と認めた金額であり、本来被害者へ賠償すべき金額の基準としては、裁判基準が最も適切なのです。 請求できるものの種類ごとに、自賠責基準と裁判基準を確認しておきましょう。

治療費や葬儀費

交通事故の被害に遭ったことで直接発生した費用は、加害者に負担させることが可能です。例えば、死亡に至るまでの治療費や親族の付き添い費用、葬儀関係の費用などが挙げられます。

自賠責基準の治療費・葬儀費

自賠責保険による治療に関わる費用の支払いは、必要性のあるものであれば原則発生した費用の全額が認められます。ただし、親族が看護のために通院した交通費や諸雑費も含め、上限が120万円と定められていることに注意が必要です。上限を超えた部分は保険会社の負担となります。 葬儀費に関しては、上限が原則60万円となっており、60万円を超えることが明らかな場合には、100万円までの範囲で支払われます。

裁判基準の治療費・葬儀費

裁判基準では、治療に関わる費用に上限はありません。もちろん必要性のあるものに限られますが、必要性があれば全額加害者が負担するというのは納得のいくものでしょう。 ただし、葬儀費に関しては、裁判基準でも130万円〜170万円が相場となっており、この金額を超えてしまっても、特別な事情を除いて認められないことが多いです。葬儀費の他にも仏壇や墓石の購入費用なども含めることが可能ですが、香典返しは含まれないので注意しましょう。

死亡に対する慰謝料

交通事故によって被害者が死亡した場合には、遺族には精神的苦痛の埋め合わせとして、慰謝料が支払われます。請求できる遺族は、亡くなった方の配偶者と子、親や兄弟となります。お金で解決できるものではありませんが、せめてもの弔いとしてしっかりと請求しましょう。

自賠責基準の死亡慰謝料

自賠責保険では亡くなった本人への慰謝料として、350万円が支払われます。 遺族には、請求者が1人なら550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円が支払われます。遺族の方が、亡くなった方に扶養されていた場合には、200万円が追加されます。 自賠責基準を用いると、最大で1300万円の慰謝料となります。

裁判基準の死亡慰謝料

対して裁判基準の場合には、より高額となり、次のような相場となっています。

亡くなった方の区分 慰謝料の範囲
一家の支柱の場合 2,800万円
一家の支柱に準ずる場合 2,400万円
その他の場合 2,000〜2,200万円

「一家の支柱」とは、被害者の世帯が、亡くなった方の収入を主として生計を立てている場合を指します。一家の支柱に準ずるとは、家事の中心を担っている主婦や幼い子を持つ母親、独身であっても両親や兄弟を扶養しているような場合が当てはまります。 裁判基準では様々なケースを想定し、亡くなった方の年齢や加害者の責任度合いなども考慮するため、金額に幅があります。

死亡による逸失利益

交通事故で被害者が死亡すると、被害者が将来にわたって得られたであろう給与所得などの収入が失われてしまいます。こういった本来得られたのに、得られなくなってしまった利益を「逸失利益」と呼び、加害者に請求することができるのです。 死亡による逸失利益は次の計算式で計算することができます。

基礎収入 × (1 - 生活費控除率) × 就労可能年数に対応する係数

基礎収入の算定方法

基礎収入は原則として事故前の年収額で計算を行います。サラリーマンであれば給与やボーナスなどの総所得、自営業であれば申告した事業所得、主婦や学生などの収入のない場合には、賃金センサス(政府の賃金調査の結果)の平均賃金を用います。

生活費控除率とは

死亡によって被害者が生きていた場合に得られた利益がなくなる一方で、生活費などの支出もなくなることとなります。そのため、収入から生活費分を控除して計算を行うのです。 生活費控除率は次のように決まります。

亡くなった方の区分 生活費控除率
自賠責基準 裁判基準
一家の支柱 被扶養者1人 35% 40%
被扶養者2人以上 30%
男性(独身や学生) 50% 50%
女性(主婦・独身や学生) 30%

就労可能年数に対応する係数

将来得られた収入を現時点で受け取ることとなり、もしそれを銀行に預金した場合には利息を得ることができてしまいます。そのため、単純に就労可能年数を用いるのではなく、年数に応じた利息分を加味した係数を用います。 その係数はライプニッツ係数と呼ばれるものを使うのが一般的です。具体的な数値は「逸失利益の計算に使用するライプニッツ係数表」をご覧ください。 例えば、亡くなった方がサラリーマンの40歳男性で、被扶養者は妻と子どもの計2人、年収が600万円であった場合には、死亡による逸失利益は次のようになります。

6,000,000円 × (1 - 0.3) × 14.643 = 61,500,600円

死亡事故における注意点

交通事故で被害者が死亡した場合には、これまで見たように計算方法が確立されているため、後は請求するだけと思うかもしれません。しかし、死亡事故では保険会社と大きなトラブルに発展するケースも多くなっています。 死亡事故では次のような点が問題となります。

  • 保険会社の提示額と裁判基準に大きな差がある
  • 過失割合について被害者が発言できない
  • 相続問題が起こる

任意保険基準と裁判基準の乖離

死亡事故では、慰謝料や逸失利益の金額が大きくなる傾向にあります。先ほどのサラリーマンの40歳男性の例では、逸失利益が6,000万円強となりましたが、これに慰謝料が追加され、総額9,000万円程度となるのです。 しかし、これはあくまで裁判基準であり、裁判で主張が認められた場合の金額です。そのため、示談の段階では保険会社も自賠責基準・自社基準での金額を提示するでしょう。 裁判となれば弁護士に依頼することがほとんどですが、弁護士を立てた途端に、保険会社が示談に応じるということも少なくありません。裁判基準は弁護士基準とも呼ばれ、交通事故における弁護士の貢献は非常に大きなものとなります。

死亡事故と過失割合

交通事故では過失割合をめぐってトラブルとなることが多くあります。死亡事故の場合には被害者が事故当時の証言ができないことが多く、加害者の一方的な発言が重視されてしまう危険性があります。 保険会社によっては、「100%被害者が悪い」として、1円足りとも払おうとしない会社さえあるのです。そこで泣き寝入りしては亡くなった方は報われません。過失割合の対処法については「交通事故の過失割合の決め方や過失相殺の仕組み」をご覧ください。

死亡事故と相続問題

死亡事故の賠償請求は、亡くなった方の相続人が行うことができます。この際、相続人を全員洗い出し、全員で請求を行う必要があります。しかし、人数が増えたからといって金額が増えるわけではなく、それぞれがいくらずつ受け取るのかは自分たちで決めなければならないため、相続をめぐるトラブルにも発展しやすいのです。

このように、交通事故により被害者が亡くなった場合には、様々な問題が発生し得るのです。ただでさえ家族を失い悲しみに暮れているのに、自身で全て解決していくのは非常に困難なことでしょう。家族が死亡事故に遭ってしまったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。 弁護士に依頼するとなると費用が心配になりますが、依頼者に負担のかからない料金体系にしている弁護士も多いです。最終的な金額と保険会社が提示していた当初の金額の差分から、何パーセントかを成果報酬で受け取る料金体系の場合、決着するまで費用はほとんどかかりません。一人で悩まず、まずは相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

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